村上春樹さま、ノーベル受賞は逃してしまいましたね。
彼の言葉によれば、
「賞は、その作品に光を当てることはできるけど、
命を吹き込むことはできません」
生命力あふれているし、光も十分に当たっているから、
これ以上はもういいよね。
「自伝的エッセイ・職業としての小説家」(スイッチ・パブリッシング)。
書店で見かけたときは、スルーしていたのですが、
息子が買ったらしくて、家においてあった。
息子は、特に文学に興味があるわけではないのですが、
村上春樹は、彼の姿勢、生き方みたいなものを尊敬しているようです。
で、拝読。
これまでの本のなかでも語られていることが多いのですが、
今回は、それをきっちり書いた感じ。
彼の真摯な生き方が、とても納得できる形でつづられています。
大学を卒業したものの、会社勤めできないだろうと
ジャズ喫茶を始めた経緯など、
彼は社会の枠のなかでは生きることができない体質。
小説を発表したものの、文壇というシステムから離れ、
多くの関係者から揶揄冷笑、嘲笑、「結婚詐欺師」とまで言われ~、
とにかく風当たりが強かった。
しかし、彼は断固として、既成の枠、システムに迎合しようとはせず、
自分なりのシステムを築きあげ、毎日毎日35年間それを続けてきた。
スゴイです。
NHKで特集やってた。
彼のジャズ喫茶が寄贈した提灯。
小説家としては、当然好き嫌いがあるとして、
その生き方は、既存のシステムに合わない人たちにとって、
大きな励み、モデルケースになるのではないでしょうか。
「学校が好きではなかった」と語った章
「学校ついて」では、教育に関心がある方なら立ち読みでも一読してほしい。
この世には、一定数、学校や社会というものになじめない人々がいて、
そういう人たちが、どうすれば、自分なりのペースで世の中を渡っていけるのか。
こんな提案とともに、
そういった少数の人たちへの視線を持ち続けることの大切さを改めて教えてくれます。
いや、もう書き始めたらどんどん長くなる~~。
有名な春樹語。
誰かが地道にコツコツやらなくてはいけない雪かき。
わが愚息は、学校嫌いではないのですが、
社会に出て、いろいろ考えることが出てきたらしく、
うーん、親としては、出世、上昇するより、
自分のなかに村上言うところの「深い井戸」を掘っていく生き方をしてほしい、
井戸に落ちないでね。
ついでにいえば、お風呂に入ったあとの後始末と水回りに気を使うことを~~、
いや、どんどん自己都合になっているね~~、
失礼、こういう些事、大切です。
いや、もっと大きい人間になりたいって?
愚息、ワタシに読ませようとしてわざと置いていったわけではない、
と思いますが~~。
本のページの上にあるドッグイア(角折れ)、
なるほど、息子はここに「感動したのか」と、
春樹を読みながら、息子を読むというのも、一石二鳥であります。
自分で決めたことは、「とりあえず意味が把握できなくても、
毎日、雨の日も風の日も走るという習慣を維持してきた」
「僕の人生にとって、とにかく必要なんだ」と
自分に言い聞かせてやってきたという春樹さま。
彼が偉大な小説家になったのは、
いろんな幸運が歯車がきちっとかみ合うように
めぐってきたからではありますが、
システムに迎合せず、反発もせず、
ひたすら自らの身体と感受性に向き合ってきた「彼の生き方」は、
天才的、生き方の名人なのではないかと思います。
これを読めば、春樹さまのことがより理解できる、と思う。
真の「ハードボイルドだぜ」
まっ、たまにはこんな記事も。
気が向いたら
応援ポチ嬉しいです。