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「京都ぎらい」&「着物ぎらい」

2016-12-24 10:00:41 | きものの本&本

 

「京都ぎらい」(朝日新書)

 

はい、今年よく売れた本です。

「お前、京都に喧嘩売っとるんちゃうか」

と言われるのはワタクシではなく、

著者井上章一さんの戦略的口上。

 


故郷が広島ですから、学生時代に帰郷するとき、

京都にはよく寄っていました。

当時特に思い入れもなく、

友人がいるから寄るという程度。

着物着るようになってからは、

逆に避ける~~。


つまりあまり着物着て行きたくはない。

京都では生活のなかで普通に着物着ている人を

見るのが好き。

やはり着慣れている、かっこいい、

着くずし上手?
 

この本、書店に平積みになっている頃から

気にはなっていたのです。

何回か手に取り、ぱらぱらして戻すこと

数回~~。

逆説的な京都愛好書なんだろうな、と。

しかし、井上さんといえば、あの

「つくられた桂離宮神話」などで、

「桂離宮は本当に美しいか」との疑問を投げかけた

偏屈といえば偏屈、率直といえばば率直。

定説をそのまま信じないで、

自分の目で見て、味わえよ。

でないと本当のことは見えないぞ、などと

言外に(いや、直接)仰っている方。

 

「美人論」(リブロポート刊)や「美人の時代」(文春文庫)

などでは、一味違う女性論を展開。


その説を嫌うにしろ、うなづくにしろ、

灰汁(あく)が強い著者であることは確か。

で、読んでみました。

曰く、

「同じ京都といっても、洛中に住んでいる人は

洛外の嵯峨に住む著者を田舎者とさげすみ、

バカにしている」

いや、これは彼の被害妄想ではなく、その証拠に

あるプロレスラーが「京都に帰ってきました」と

アピールすると、客席からは

「お前なんか京都人とちゃうやろ。宇治やろ」

「宇治のくせに京都というな」

とのブーイングが飛んできたとか。


京都の下鴨神社。

 

ことほど左様に京都の洛中の人は洛外の人を、

「言葉づかいがおかしい」

「肥えを汲みにきてくれたなあ」などと揶揄する。

~~。

ううん、いや、これは京都だけに限りませんね

東京だって、「川向う」とか「ダサイ00」とか

自分の住む土地を優位づけようとする

傾向はないとはいえない~~。

いや、京都、東京だけに限りませんね~~。

 

ある人が「同じ00大卒と言ってほしくない。

あいつは00学部だし~~」なんて言うのを聞いて

驚いたことがあります。

 

そんなこんなで、いろんな理屈をつけて

自分の優位性を

強調しようとする人もいるでしょう。


 

 

~~なんて人ごとのように言っているけど、

ワタシのなかにも~~、

残念ながらあると思う~~。


本は、京都の神社の拝金主義のいやらしさ、

南朝、北朝にまで遡って、

彼の生まれた嵯峨が由緒ある場所で

あることを確認しようとする。

自分の優位性を証明するために)


京都人は著者のことばに、

「確かに京都人の一面を写し取っている」

「それにしても、ようあんなこと書くなあ」と

感心?しているとか。

だからよく読まれた?


京都下鴨神社から割烹めぐり

 

「千年古都のいやらしさ、ぜんぶ書く」と

帯にありますが、著書の、いや、人の「いやらしさ」

を書いていることは確か。

もちろんそれだけではなく

京都の歴史や、裏事情もね。


 

面白かったのは、

信長が京都の「本能寺」で撃たれた理由。

それは~~。

あんまりネタバレしちゃうんまずいんで。

 

「京都ぎらい」で思い出したのは、白洲正子さんの

お嬢さんがいうところの「着物ぎらい」の弁。

彼女は母正子さんの着物好きを「批判」して、

「(きものを着ると)バッグが肩にかけられない、

車の運転に草履は禁止、

帯の結び方によっては椅子によりかかれない、

簡単に洗濯できない、

そして、

人様に自分の好みを押しつける

いやらしい人々に出会う~~」

なんて、ね。

耳が痛い??


容姿と趣味と思想が一致した幸せー白洲正子のきもの」



 

何年か前、着物オフ会で何人かで歩いているとき、

「邪魔だなあ、ぞろぞろ歩くな」

と後ろの人が言っていた。

それ以来着物着て大勢では歩かないように

気を付けるようになった。

 

「いいご身分ですね」と揶揄する人もいますね。

いいご身分ですね」って言われたって」


当たり前ですが、どんな場所、どんなモノも

自分が好きだから、

誰でもいいと思っているとは限らない。

嫌いを大声でいう人は貴重?

ときには、

そんな斜め、冷たい視線を取り込むことも必要かも。


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コメント (2)
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