図書館から借りて読んだ本の紹介。
1980年代~90年代にかけて、フランスでベストセラーのトップに躍り出た作品・・・とか。
フランス女流作家、アニー・エルノーの作品を3冊読んだ。
「場所」(仏)アニー・エルノー(訳)堀茂樹・・・1993年早川書房
厳然と存在する階層社会そこから抜け出した父と私との関係を乾いた文体で描く。
「ある女」アニー・エルノー(訳)堀茂樹・・・1993年早川書房
亡父の事を語って4年の後、母について語っている。見たくない現実も隠すことを拒否するように。淡々と・・・・。
「シンプルな情熱」アニー・エルノー(訳)堀茂樹・・・1993年早川書房
父について語って1984年ルノード賞を受賞した「場所」、4年後の母について語った「ある女」そしてこの「シンプルな愛」は1992年に発表された、一転して自己の性愛体験をあらわして反響を呼びベストセラーのトップに躍り出た作品。
どの作品にも共通しているのは、文体が極めて淡々としていて情動といったものを極力排除しようという意図がある、またもう一つ共通するのは、描かれた時代の(あるいは今の時代でも)職業や出身地や学歴など社会を構成する階層というものが抜き差しならぬ現実として立ちはだかっているということである。