台風接近の影響だろうか風は吹かないものの雨がシトシト・・・と。
秋の夜長でなくとも、昼間っから本でも読んで過ごすしかない。
今度の土・日は徹底的に読書と決めた。
で、まず土曜日の分としては、これ「デニーロ・ゲーム」(著)ラウィ・ハージ(訳)藤井光(2011白水社)
冒頭の書き出しが印象に残る。
「一万の砲弾が降り注いだ街で、僕はジョルジュを待っていた」・・・・ああ、こりゃもう、次を読まざるを得ない。
ところはレバノン内戦下のベイルート。
カミュの「異邦人」に似た香りのする文体で、少年の内面が描かれていく。
オマケに、この主人公がパリのホテルでの時間つぶしに、客が忘れたという本の束の中から選んでベッドで読む本が「異邦人」
書き出しの「きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かも知れないが、私にはわからない」が主人公の心に響いたという設定もおもしろい。
革命の実態、隣国・大国の思惑などを噛み合わせながら、内戦の最中にあってベイルートの街の人々の様子がテンポ良く描かれていく。
恨みが新しく生まれ・更新され、そして復讐の連鎖は国際政治に利用される。
尖閣・竹島・北方四島の問題も・・・・恨みの基点を何処に置くかの話に過ぎないのに・・・。
紛争の芽の発芽を抑制する人間としての知恵はないのだろうか。
答えは簡単なんだけどね・・・・「相手の視点を持つこと」だけ。
それが出来ないようなシステムなんだろうなあ、人間の脳の仕組みが。
出来の悪い脳で、久し振りに考え込んでしまったぞ。