今年は春の訪れが異常に早いという噂。
例年より早いと思いつつネコヤナギを探しに行ったが駄目だった。
去年までの場所には枯れたようなネコヤナギの木があるばかり・・。
これも少し早いと思ったが、過日ツクシを探しに芭蕉林に向かった。
(加勢川)
町の中を溝のように流れていた藻器掘川が、水前寺の湧水を加えて水嵩が増し加勢川と名を変える。
(川面でジャンプする小魚)
当日は小雨が降っていて、時々木の葉から落ちる大粒の雨の滴と川面の虫でも捕ろうとするのか盛んに小魚がジャンプしていた。
この川を制御して下流の耕作地を確保すべく施した清正の土木工事によって生まれたのが江津湖である。
ヒョウタンの様な形をした江津湖の上流部に芭蕉林はある。
(河畔のマンション)
加勢川の河畔には以前には料亭などが多かった。
今はマンションになってしまったが、ここも古い趣のある料亭があって、一度だけ謡曲の発表会で訪れたことがある。
左岸一帯に旧細川砂取庭園があり、その一角に芭蕉林はある。
(芭蕉林)
地上にも水の中にも芭蕉は茂っている。
芭蕉の間を縫うように水が流れている。
(芭蕉の実)
芭蕉の花が枯れかかっている付け根辺りに小さな芭蕉の実が付いていた。
直ぐ横には高浜虚子の句碑があって、カワセミの飛来する池もあるがその日は留守だった。
(虚子の句碑)
昭和3年に九州旅行の際に芭蕉林に立ち寄って詠んだ句らしい。
「縦横に水の流れや芭蕉林」とある。
虚子の頃にも、水の流れの中に芭蕉が茂っていたのだ。
この下流域には下江津湖があり、五校のボートコースもあるのでボート部長だった夏目漱石にはお馴染みの場所。
ちゃんと句碑も建っている。
(漱石の句碑)
「ふるい寄せて白魚崩れん許りなり」・・・漱石
この辺りの清流では、白魚の漁場があったのだろうか。
辺りを見回したら、漱石に馴染みらしい猫が二匹居た。
(吾輩たちも猫である)
吾輩は猫である、名前はまだない・・・と言いたそうな猫ばかりで誇り高い。
餌など欲しがる素振りも見せない。
そう言えば、釣り人が川面に糸を垂らすとやおら傍に寄って行って、一緒に川面を眺めているのを見たことがある。
釣果を頂くのは当然の権利といった風情が漂っていた。
当日出会えたのは、散策の数名と猫の数匹だけで、目的のツクシにはお目にかかれなかった。
また後日、顔を洗って出直すことにしよう。
「公園で白靴下の猫と会う」・・・しろ猫