十一月十八日(金)晴れ。
昼過ぎに、上の子供が帰って来たので、昼食を済ませてから一緒に伊勢佐木町の有隣堂に行った。私は、行き慣れているせいもあって、書店ではこの有隣堂が一番好きだ。本の並びから、何が何処にあるかが瞬時で分かるからだ。初めての書店に行くと、その並びを見つけるのに時間がかかる。エッセイとノンフィクションのコーナーが離れた場所にあったり、書店別に並んでいる文庫も、並びが違うと欲しい本を探すのが億劫になる。
子供が、「幾らまで買っていい」と聞いたので、「三千円まで」と答えたら、持ってきた本の合計は三千五百円だった。子供曰く「五百円は私が出すから」と殊勝なことを言う。ここは一番いい格好をして「心配すんな。それくらいいいよ」と出してあげたが、考えて見れば、子供もたかが五百円ぐらいで父親から威張られてはたまったものではないか。
私も一冊。沢木耕太郎さんの新刊「ポーカー・フェイス」(新潮社)を買った。沢木さんの本は好きで、殆ど読んでいる。友人のカシアス内藤さんのことを書いた「一瞬の夏」が最初だったかもしれない。名作「深夜特急」には感動したが、ある程度の歳となってから読んだので、私には、いわゆる「バック・パッカー」の旅は出来ないと思った。
私の「旅」とは、のんびりと、美味い料理と、旨い酒と、景色を味わうものでなければ、旅をした気にはなれない。良く、旅を「自分探し」とか言う人がいるが、気色が悪くなる。友人の黒沢博さんの歌ではないが「馬鹿言ってんじゃないよ」。日本にいて、自分と言うものが確立できない者が、旅をして人生や生き方の何が分かるというのだ・・・。まあ人それぞれですからね。
夜は、松本佳展君と共に、後輩の菅生勇人君のご母堂の通夜式に出席。お寺の名前をそのまま駅名にした東横線の妙蓮寺にて行なわれたのだが、その出席者の数の多さには驚いた。千人以上は来ていたのではないか。ご焼香をするのに一時間半も待ったくらいだ。個人のお付き合いの広さに敬服した次第。
終了後に、先日、社友のカメちゃんに連れていって頂いた中華料理の「愛福楼」にて夕食。カメちゃんとヒデちゃんが合流。小皿料理をつつきながらも紹興酒を一本空にしてから「黒霧島」に変えた。食後は、サリーに香典返しを届けるために関内へ。偶然に会った友人の年ちゃんから、「いつもベロベロだね」と言われたが、私のせいではなく、酒のせいです。十二時近くに帰宅。