なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前立腺炎・前立腺癌

2023年06月14日 | Weblog

 6月8日に前立腺炎の症例にコメントをいただいたが、3年前の症例(2020年4月11日記載)なので覚えていない。電子カルテで確認した。

 

 前立腺肥大症があり、排尿障害の症状もあった。尿検査で尿路感染症の所見があったので、「急性腎盂腎炎で前立腺炎を併発した」とすることもできる。

 入院治療は内科の若い先生(自治医大の義務年限、卒後3年目)にお願いした。前立腺炎の治療を開始して、順調に解熱して、炎症反応も軽快した。抗菌薬は、前立腺に移行性の良好なセフトリアキソンを使用した。
 

 血液培養と尿培養から大腸菌が検出され、菌血症を呈していた。血清PSA値は前立腺炎の治療で順調に12まで低下した。外来治療に移行して、泌尿器科外来に紹介した。

 前立腺MRI検査が行われたが、明らかな前立腺癌の所見は認めなかった。炎症の影響がまだ残っているものと判断された。

 3か月後(入院してから6か月後)に血清PSA値は6.9まで低下した。さらに3か月おきのフォローとなり、12か月後も血清PSA値は4.7~5.1と軽度上昇のままだった。

 前立腺MRI検査の再検で、右葉辺縁域に前立腺癌を疑う所見があった(結節状のT2高信号域)。

 泌尿器科の先生(非常勤)は、血清PSA検査と前立腺MRI検査を行って、前立腺癌が疑わる時は、基本的にがんセンターに紹介されている(生検での診断確定と治療目的)。高齢者で家族が連れて行くことになるような場合は、より近い地域の基幹病院に紹介する方針と伺った。

 この患者さんは住所が基幹病院のすぐ近くだったので、そちらを希望されたようだ。診療情報提供書の返事が来ていて、前立腺の生検で癌と診断されて、stagingの検査を行ってから治療を行う予定と記載されていた。

 その後当院受診はないので詳細は不明だが、おそらく周囲への浸潤・転移はないだろう。根治的治療(手術か放射線治療)が行われて、治療後のフォロー中だと思われる。

 

 

コメント
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