なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

洞徐脈・洞停止

2023年06月08日 | Weblog

 月曜日に、病棟看護師長が日曜日に内科当番だった先生と話をしていた。日曜日に救急外来を受診して入院になった96歳男性のことだった。

 2日前から食欲不振・脱力があり、体動困難となって救急搬入されていた。大学病院からバイトで来ている外科医が対応した。

 血圧が95mmHgと低めで(ショックなのだろう)、体温37.1℃、心拍数102/分、呼吸数22回/分・酸素飽和度95%(室内気)だった。

 血液検査(簡易検査)で白血球11800・CRP23 と炎症反応の上昇を認めた。肝機能障害もあったが、AST・ALTのみなので評価が難しい。血液ガスでpH7.366・HCO3 18.1と代謝性アシドーシスを呈していた。

 胸腹部CTで、肺は陳旧性変化があるが、明らかな肺炎像はなかった。腹部も胆嚢炎の所見、腹膜炎の所見はなかった。尿路感染症を疑ったようだ(時間外は尿沈渣は検査できない)。

 心電図は洞調律だが、完全右脚ブロックがある。読みにくいが、ST-T変化はないようだ。上室性期外収縮はあった。

 お昼過ぎに入院して点滴と抗菌薬投与を開始したが、午後に洞徐脈から洞停止(心停止)になってしまった。日直の先生が心肺蘇生を行って一時的に(というか一瞬)心拍が出たが、結局心停止(心静止)となり、死亡確認に至った。

 

 この患者さんは4日前にコロナワクチンを接種していて、日直の先生はその影響はあるのだろうかと言っていたそうだ。ただこの患者さんはコロナワクチン6回目の接種で、過去5回は何ともなかった。直後のアナフィラキシーではないので、あるとすれば急性心筋炎・心膜炎だが、画像と心電図からそうはいえない。

 感染症による全身状態悪化と思われるが、詳細はわからない。

 

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