6月21日水曜日の午後に整形外科医から声をかけられた。外来を受診した患者さんのことで相談したいという。
施設入所中の89歳男性で、腰痛(食欲不振と体動困難も)で紹介されていた。胸腰椎のMRI検査で多発性の骨転移を認めた。さらに3年前から肺の腫瘤を指摘されていたので胸部CTを行うと、明らかに肺癌があった。
整形外科の問題ではないので、内科入院で診てほしいといわれたので、そのまま引き受けた。
2010年に脳出血を発症していた。ADL低下と認知症もあり、施設入所になっていた。(発症時と今回の頭部CT)
1週間前から発熱があり、施設嘱託医が抗菌薬を投与していた。いったん解熱しているようだが、また発熱があった。肺癌と軽度の胸水があるが、肺炎としてははっきりしない。
腫瘍熱の疑いもあり、ナイキサン(ナプロキセン)で経過をみることにした。嚥下障害はあり、誤嚥性肺炎を併発してもおかしくない。
翌日閉眼したままで疼痛刺激でも開眼しなかったが、その後開眼した(意識障害ではなく、寝ていたことになる)。簡単な会話はできて、嚥下調整食3程度(ムース状)ならば嚥下できるようだ。
理想は「しばらく病院で診て、いったん施設に戻して、病状悪化時に再入院」だが、入院継続になってしまうかもしれない。
Dダイマーが40と著明に上昇していてトルソー症候群も疑ったが、明らかな血栓塞栓症の症状はないようだ。γグロブリンが著明な高値で、肺癌として説明し難いのも分からない点だ。
4月から新任の整形外科医は、内科医の使い方に慣れてきたようだ。