月曜日に地域の基幹病院脳神経内科から、脳梗塞の89歳男性がリハビリ目的で転院してきた。
診療情報提供書には脳梗塞とあり、抗血小板薬2剤(バイアスピリンとクロピドグレル)が処方されていた。転院時にはバイアスピリンは中止して、クロピドグレルのみにする予定とあった。(DAPTからSAPTへ)
ところが転院してくると、処方は抗凝固薬のエドキサバン(リクシアナ)に変更されていた(薬局作成の退院時の処方内容)。送られきた診療情報提供書は、転院依頼の時と同じだった。
担当医は、6月9日記事「奇異性脳塞栓症」に記載した若い女性医師だった。また電話してみた。すると、「下肢エコーで深部静脈血栓症を認め、さらに経食道エコーで卵円孔開存を認めたという。金曜日から抗凝固薬に変更している」、と淡々と説明された。(それがどうかしましたか、という感じ)
抗血小板薬(動脈血栓予防)と抗凝固薬(静脈内および心腔内血栓)では目的が異なり、どちらでもいいというわけにはいかない。病態も治療法も違うので、普通は変更内容を記載すると思う。
ちょっと「不思議ちゃん?」な感じがして、「わかりました。抗凝固薬を継続します」とだけお伝えした。
この患者さんは、頭部外傷の既往があり、その後水頭症となって、VPシャント造設術が施行されている。6月2日に右片麻痺で発症している。
受診時の頭部CTで梗塞巣が描出されなかったことから、tPAを行っているが、症状は不変だったという。
その後、左放線冠に梗塞巣が描出された。
梗塞巣としては小さいが、場所が悪い。右上肢はわずかに動くがほとんど完全麻痺だった。リハビリをしても介助で車いす移乗までになるだろう。家族は在宅介護は困難ということで、施設入所の手続きをしてもらうことにした。