先週外来(内科再来)を診ていると、脳神経内科医から連絡が来た。GI療法のやり方はどうするのか、という。
GI療法を行うことはあまりないが、知らないわけではないと思う。緊急事態で確認して安心したい、ということだろう。無難な10%グルコール500ml+速効型インスリン(ヒューマリンR)10単位でどうでしょうか、と答えた。
外来が終わって病棟(回復期リハビリ病棟)に行ってみたが、すでに一般病棟に転棟になっていた。徐脈(心拍数20~30/分)だが、血圧・呼吸は安定して、会話可能だった。(臥床していればめまい・ふらつきはない)
それまであったP波が確認できなくなっている。QSR波の形は以前と同じだった。一瞬心室頻拍になって、心臓マッサージ(胸骨圧迫)をしたそうだ。
心電図ではもともと50/分くらいの洞徐脈(1度房室ブロックあり)で、QSRは心室内伝導障害だった。陳旧性下壁梗塞を疑う所見がある。
処方は前医の処方をそのまま継続していたようだ。βブロッカー(ビソプロロール5mg)と抗不整脈薬(ピルジカイニド50mgを朝夕)が入っていた。βブロッカーは減量か休止でもよかったようだ。ピルジカイニドも必要なのかどうかだが、中止する根拠もないか。
数日前から下痢があったそうで、血液検査では血清クレアチンが1.80mg/dl(それまでは0.58mg/dl)に上昇して、血清カリウムが6.4(それまでは4.5)に上昇していた。下痢→脱水症→腎前性腎不全ということだった。
GI療法の効果もあるだろうが、補液が効いたようで、その日のうちに血清カリウムは5台に下がった。ただ徐脈は続いている。
βブロッカーと抗不整脈薬は中止しても、おそらく上昇した血中濃度が下がってくるまで時間がかかる。一時的ペーシングが必要になるかもしれないので、循環器内科に相談することを勧めた。
脳神経内科医は、当院から地域の基幹病院循環器内科に転勤になった先生といっしょだった時期がある。直接その先生に連絡すると、徐脈ではあるがそれ以外は安定していることと、その日は忙しくて対応困難ということで、1日経過を見て相談ということになった。
幸い翌日には心拍数が40~50/分となって、転院の必要はなくなった。β刺激薬のツロブテロールを貼付するようにとアドバイスがあった。