なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

自宅で仰臥位のままで

2023年06月18日 | Weblog

 火曜日の午前中に(救急当番だった)、自宅で動けなくなっていたという67歳女性が救急搬入された。

 訪問したヘルパーさんが、呼んでも返答がないので、自宅内に入って発見したのだった。仰臥位のままで過ごしていたらしい。仙骨部に褥瘡ができていた。

 この患者さんは一人暮らしで、統合失調症で市内の精神科病院に通院していた。薬剤性パーキンソン症候群で当院の脳神経内科外来に通院していた既往がある。

 そのころは県庁所在地にある精神科病院に通院していた。2年前に通院困難となり、市内の病院に替わったそうだ。前にの病院とうまくいかなくてと、来院した姉が言っていた。

 両親はすでに亡くなっているが、そのまま実家で生活していた。二人の姉がいて、長女は県内の遠方に、二女は北海道にすんでいる。連絡を受けて長女がタクシーで病院に来ていた(相当なタクシー代になる)。

 

 開眼して簡単な会話はできる。薬の管理は自分でやるしかないが、内服すると印をつけることにしていたそうだ。その印は1週間前が最後だった。数日から最長で一週間、そのままになっていたと推定された。

 ADLは杖歩行だった。病院受診時はヘルパーさんが付きそってタクシーで行っていた。簡単な家事はできていたようだ。

 精神科病院からの抗精神薬は長年オランザピン(ジプレキサ)を内服していた。印のついた最後の日の前日に受診して、オランザピンを減量して、別の抗精神薬(アセナピン=シクレスト)が追加されていた。

 胸部CTは脳委縮だけで、胸腹部CTでも肺炎はなく、それ以外の(動けなくなるような)異常もなかった。追加された抗精神薬の影響なのだろうか。

 炎症反応が上昇していたが、褥瘡や筋挫滅(CK上昇)を反映しているのかもしれない。脱水症としての血液濃縮・腎障害・高カリウム血症がある。点滴で脱水症の治療をすることにした。

 追加された抗精神薬の影響かもしれない(当院にない薬)、抗精神薬はオランザピンだけ継続して経過をみることにした。(それ以外にパーキンソン薬・安定剤・睡眠薬などもある)

 

 姉の話では、そろそろ施設入所をさせたいと考えていたが、すぐに入れるところもなくて、ということだった。いったんこういうエピソードがあると、リハビリをしてもADLは低下したところで固まってしまう。

 社会的な精神科病院入院や施設入所としなければ、退院のあてがないかもしれない。通院している精神科病院は数か月から半年待ちになる。当院向きの患者さんではある。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする