なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病変は肺に

2023年06月25日 | Weblog

 土曜日の日直の時に、午前8時ごろから腹痛(臍周囲)と嘔気を訴える81歳男性が救急搬入された。

 前夜に飲酒(ビールジョッキで2杯)して刺身(マグロなど)を食べたということで、本人も家族もそれが影響していると思っているようだ。

 腹部は平坦・軟で臍部に軽度の圧痛があった。排便は1回あり、最初は普通便で最後の方は柔らかったというが、下痢ではない。

 別の病院に通院して、ワーファリンが処方されていた。不整脈があり、心電図では心房細動を認めた。βブロッカーと利尿薬も処方されていて、心房細動・慢性心不全の処方だった。

 通常ならば腹部CTは単純だけにするが、ワーファリン内服で治療しているとはいえ、血栓塞栓症が気になった。造影CTを行うことにした。

 腹部の主要な血管に血栓塞栓症は認めなかった。小腸内の消化液は目立つような印象はある。他にも異常はなかった。外来で点滴とアセリオ注で経過をみて、症状は軽快した。

 排便があり、血便(というか鮮血そのもの)が出たという。患者さんは落ち着いていた。何でも、2年前に前立腺癌に対してがんセンターで放射線療法を受けた。その後から、4~5日に1回同様の症状(血便)があるそうだ。

 別の医療機関で大腸検査も受けているそうだが、放射線直腸炎とされたかどうかは不明だった。少なくともふだんからある症状で今回の問題ではないようだ。

 その日は点滴が終わって、胃腸薬処方(ドンペリドンとミヤBM)で帰宅した。

 

 月曜日の午前中に放射線技師さんから連絡がきた。土曜日が出番だった若い技師さんだった。放射線科の読影レポートが出ていて、右肺門部の腫瘤を指摘されているという。大学病院の遠隔診断だが、随分早くレポートが出たのだった。オーダーは腹部CTだが、撮影範囲は肺門部まで含まれている。

 患者さんに電話を入れた。腹部症状は消失して何ともなかった。呼吸器症状はない。CTで肺の病気が見つかった、とお話して、呼吸器科外来のある木曜日に来院してもらうことにした。

 火曜日の午後に、放射線科の先生が病院に読影に来られたのでCTを診てもらった。肺門リンパ節転移ともとれるが、反対側にはないので肺門部肺癌かもしれない、ともいわれた。

 木曜日に呼吸器外来で来られた先生に相談すると、腫瘍は間違いないので、がんセンターに紹介するようにといわれた。胸部CTは撮影していないが、やるとすれば頸部~骨盤で造影CTをするので紹介先で施行してもらった方がいいともいわれた。

 患者さんと家族(娘さん)が来院したので、肺癌疑いでがんセンター紹介したいとお話した。娘さんから治療はできるでしょうか、と訊かれたが、一度は専門医に診てもらいましょうと伝えた。CTは撮ると思うが、それ以上の精査はしないで、経過観察になるのかもしれない。

 

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