なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

洞徐脈

2023年06月04日 | Weblog

 火曜日の救急当番の時に、めまい・ふらつきの87歳男性が救急搬入された。回転性めまいのBPPVではなかった。

 両膝関節の変形性関節症があるが、家族の話では家の仕事をなんでもやるらしい。年齢の割に元気で認知症もない方だった。

 いつもは午前6時ごろ起きて自室から出てくるが、その日は午前8時になっても起きてこなかった。家族が見にいくとまだ寝ていた。覚醒はしていて、トイレに行こうとしたが、手を貸してもふらふらしていた。

 結局トイレまで行く前に尿失禁してしまった。自室に戻して、着替えさせて、そのまま休ませていた。午前9時半ごろに食事をとりたいというので居間まで連れて行ったが、やはりふらふらしていた。食事を食べ終わるころに嘔吐したので、家族が救急要請したという経緯だった。

 搬入時、閉眼していたが、呼びかけると開眼して普通に会話はできる。ただ朝からのことははっきり覚えていないという。血圧は180/73と高く、心拍数が40~43/分の徐脈だった。洞徐脈で不整脈はない。(体温36.2℃、呼吸数12回/分、酸素飽和度は室内気で98%)

 血圧高値+徐脈だと脳血管障害などの頭蓋内の疾患になるが、明らかな神経症状はなかった。点滴と採血を出して、頭部CTを行ったが、出血はなかった。小脳脳幹部に低濃度?のところがあり、はっきり病変とはいえないが、MRIで確認することにした。

 頭部MRIで新規の脳梗塞はなかった。脳委縮はあるが、87歳の年齢相応なのかもしれない。

 

 血液検査でも有意な異常はなく、洞徐脈だけだった。以前の心電図は2021年の紹介受診時のだけだったが、心拍数46/分の洞徐脈だった。

 高血圧症(血圧コントロール不良)と尿蛋白陽性・軽度の腎障害(血清クレアチニン1.0mg/dl程度)で、市内の内科クリニックから当院の腎臓内科に紹介されていた。

 クリニックからは、カルベジロール2.5mg1錠が処方されていて、他にはARB+降圧利尿薬の合剤・Ca拮抗薬が処方されていた。腎臓内科では、合剤の分を、ミネブロ(エサキセレノン)1.25mg1錠から2.5mg1錠、エンレスト100mg1錠に変更していた。

 それで血圧が120くらいに安定して、尿蛋白は陰性化していた。内科クリニックに戻して、処方はそちらからとして当院は3か月おきのフォローとなっていた。カルベジロールは継続していた。

 カルベジロール2.5mgを中止してどのくらい心拍数が違うかと思われたが、翌日には50~60/分になっていた。症状もなくなった。

 Ca拮抗薬はシルニジピン5mg2錠を朝夕に内服している。Ca拮抗薬は心拍数増加をきたさないのがいいとされるが、この場合はむしろ心拍数増加をきたすニフェジピンの方がいいのだろうか。

 入院後は症状もなく、普通に動けて食事摂取も良好だった。MobitzⅡ型の2:1房室ブロックが気になって心電図を見返したが、V1で見てもQRSにつながらないP波は認めなかった。

 

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