火曜日に地域の基幹病院脳神経内科から、86歳女性がリハビリ目的で転院してきた。脳神経内科医が今月で退職するので、今後は内科で脳血管障害のリハビリ転院を受けるようになる。
転院依頼の診療情報提供書を見ると、5月26日に左半身のしびれ(左不全麻痺も?)で発症していた。右前頭葉・左小脳・橋右側背側に梗塞巣と記載されていた。前方循環・後方循環に複数の梗塞が同時に出ていれば、脳動脈硬化症からのラクナ梗塞というより、心房細動からの心原性脳塞栓症になる。
処方はクロピドグレルとバイアスピリンのDAPTになっていた。その点はどうなっているのかと思った。
転院してくると、処方が変わっていた。抗血栓薬は抗血小板薬ではなく、抗凝固薬(リクシアナ)に変更されている。転院時の診療情報提供書はそのままで、特に記載はなかった。
直接電話で訊くことにした。脳神経内科の若い先生(女性医師)が出た。新任の先生らしい。心電図では洞調律で、心房細動はなかった。発作性心房細動を疑って観察したが、出なかったそうだ。
その後、深部静脈血栓症があることが分かった。心エコー(経胸壁)で卵円孔開存は証明できなかったが、深部静脈の血栓が卵円孔を通過して脳塞栓症を来す、奇異性脳塞栓症と判断された。そこで抗血小板薬から抗凝固薬に変更になったという経緯だった。
橋右側背側の梗塞巣が症状の責任病巣と判断されていた。それは確かなのだろう。
そのまま抗凝固薬が継続することにしたが、転院の段階ではまだ抗血小板薬をやめたばかりでまだ効いているので’(DAPT+DOACの状態)、気持ちは悪かった。
実は転院前日に発熱があるが、そのまま転院でいいかというと問い合わせがきていた。コロナの検査は陰性だという。尿混濁はあるが、入院当初からあるので尿路感染症ではないかもしれないという。偽痛痛疑いとされていた。
(続く)