なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原発性胆汁性肝硬変

2023年06月21日 | Weblog

 先週の土曜日の日直の時に、内科クリニックから電話が入った。当院に通院している原発性胆汁性肝硬変・肝性脳症の71歳女性を受診させたいという。来てもらうことにした。

 この患者さんは初めて診る。カルテのサマリーを見ると、20年前に大学病院で肝生検を受けて、原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断されていた。胃食道静脈瘤を認めるが、肝細胞癌はこれまでなかった。

 4年前に大学病院から当院内科に紹介となった。大学病院の肝臓グループの先生方が交代で内科外来の応援にきていたので、そこの外来(一般内科+肝外来)に通院していた。(応援は3月で終了となった)

 ウルソ600mg/日と分枝鎖アミノ酸製剤のリーバクトなどが処方されていた。4月からは新任の常勤医が外来処方を出していた。2か月分の処方が出されて、当院外来と大学病院の外来を交互に受診する形になっている。

 来て見ると、歩行はできて話もできるが、ぼんやりしているような印象がある。血液検査では脱水傾向にあるようだ。現在時間外の検査は簡易検査で、末梢血と特定の生化学検査しかできない(血清アンモニアは測定できない)

 入院で補液と分枝鎖アミノ酸製剤の点滴(アミノレバンのジェネリック)をして経過をみることにした。食事摂取もできるので、週明けの採血で確認するくらいでいいようだ。

 月曜日に病室に行くと、(受診時より)すっきりとした表情で会話も来た時よりスムーズだった(言葉が出るまでちょっと間があるが)。血清アンモニアは97(<70)と軽度に上昇していた。受診時はもっと高かったのだろう。数日点滴を継続して、普段の内服に戻すことにした。

 受診のCTでは肝硬変の所見だけで、胸水・腹水は認めなかった。下肢の浮腫も軽度だった。下腿浮腫で内科クリニックでスピロノラクトンが処方されていて、最近アゾセミドが追加になっていた。

 感染症による悪化は否定的で、利尿薬による脱水傾向で肝性脳症が悪化したようだ。とりあえず、利尿薬はスピロノラクトンのみに減量した。非代償性肝硬変では、腹水・浮腫で利尿薬を増量して肝性脳症悪化というのはよくある。

 

 事務の方から、「原発性胆汁性胆管炎で特定疾患の適応をとっていて、今回の病名は原発性胆汁性肝硬変となっていますが、適応がありますか」、と訊かれた。(病名変更になっただけで、同じ病気ですと答えた)

 

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