犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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遺品

2013年11月01日 | 毎月馬鹿
近所に、道の狭いところがある。
道なんか狭くていいと私は思っているのだが、なんせ車社会である。
住宅街の中でも、立派な車がスイスイ走れるような道を通すのが、
今の東京では当たり前のようだ。
住宅街では車がスイスイ走れない方が、空気も良いし
騒音も無いし子どもたちも安心して遊べると思うのだが。

その狭い道に、さらに張り出して花壇を作っちまっている家がある。
これは違法なのではないか。
それが幼馴染の家なのだ。

私の友人のお祖父ちゃんが、ご存命中にしっかりこさえたものらしい。
どれくらいしっかりこさえたかと言うと、
孫である友人が先年、もちろんお祖父ちゃんの没後だが、
この花壇を撤去しようとしたところ、ブロックから地中へちゃんと
鉄骨が埋めてあったのだそうな。

お祖父ちゃんは社交ダンスもする、スラリとすてきに歩く人だったが、
晩年はボケて徘徊したりしていた。
元気な頃にはこんなに丁寧な作業をしていたのだ。

鉄骨にぶち当たって、友人は撤去を諦めた。
狭い道の、更に狭くなっているその一画は残った。
ところが今年、隣家が引っ越して売却され、後に4軒の家が建った。
それに伴い、道路が拡幅されたのだ。

隣の前の道は狭くなくなり、友人宅の前は狭い上に更に出っ張ったままだ。
これはいけない。
見るからにいけない。

ついに、友人はこの出っ張り花壇の撤去に本腰を入れることにした。
私も斧とディスクグラインダーを持って手伝いに行った。

まずは花壇にはえている物を抜く。そして土を掘り出す。
けっこうな量の土を、庭へ運び込む。
並行して、ブロックを崩す。
斧の刃ではない側で、ブロックをぶっ叩き割る。
根元まで割れたら、現れた鉄骨をディスクグラインダーで切る。

隣で工事をしているから、車は通らないのでのびのびと作業ができる。
しかし、ほんのブロック2つ分くらいを壊すのに1時間かかる。
必死で丸2日分はある。しかし身体がもたない。
3ブロック目、これができたら一旦昼食へ出ようという頃、
花壇の土はもう4分の3ほどは掘り進んでいた。

そこで、スコップの先に何か当たる感触があった。
そもそも道に張り出して作った花壇なので、スコップに何か硬い物
つまりは舗装が当たるから、さして気にとめなかった。
しかし、土の底ではなく、土の中だ。
案外大きな塊だ。

「なんか出たぞー!」
掘り出してみると、甕だった。
茶色のところに黒いのが垂れている、いわゆる甕。
蓋がしてある。
「出たー!!!こんな所に有った、徳川埋蔵金!」
手も肩も腰も痛く、疲れ切っていたが、一気に盛り上がる。

蓋にはビニールが挟んである。
防水のためだろうが、そのビニールも既にボロッボロだ。
埋めた人には気の毒だが、湿気は入ってしまったようだ。
中から出てきたのは、一足のカビだらけのダンスシューズだった。


毎月一日は法螺話を書いています。
ほんとは小判がたくさん入っていました。

ってまた嘘を重ねて

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