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古典サンスクリットが独習できる!菅沼晃著『サンスクリット講読 インド思想篇』

2023年05月11日 | 梵語入門

「古典サンスクリットが独習できる!」
と、帯に書いてある。
これは本当で、この本は古典サンスクリット独習者の最大の味方だと思う。

サンスクリットは、文を構成する各々の語の、
性・数・格を分析することが一番の要である。

この本は、文中の全ての語の性・数・格が書いてあるのだ。
助かるぅぅぅ。



サンスクリットは基本的に口伝えの言語だ。
長く文字を持っていなかったほどだ。
暗誦しやすいように、韻律が発達している。
学問的な論書も韻文で伝えられている。

日本だって中国だって、独自の韻律による詩の世界が在るけれど、
論文を詩で書くという習慣は無い。

詩で議論するのが古典サンスクリットの魅力の一つだと思う。



独習に限界を感じて、講座を探したら、
東大仏教青年会という所にサンスクリット講座が見付かった。
初級講座に一年通った。
その上は上級講座で、このレベルは当時の私には難しかった。

コロナ禍の時代になり、東大仏教青年会はオンライン講座を始めた。
そして、中級が設けられた。わーい。
今は、サンスクリット中級と上級を受講している。



詩の題材は幅広い。
ある時の詩は、女神を礼賛するものだった。

神を讃える詩はそれこそ五万と有る。
何篇もの詩を連ねて、幾度も幾度も神を讃える。
そういうのをストートラと言う。

中級講座では毎回、様々な詩の中から一つを紹介してくれる。
この前はある女神を讃える詩だった。

女神と言ってもこれまたヒンドゥー教の世界には
何人かの女神がいて、しかもそれぞれにいくつもの化身を持っていたり、
たくさんの別名を持っていたりする。
そんなのを知っていくのもこれまた楽しい。

荒ぶる女神、ドゥルガー、
またの名をマヒシャースラマルディニー。
マヒシャという名のアスラをやっつけたお話である。



講座で扱ったのはその一偈であった。
マヒシャースラマルディニーストートラ全体は、
私が見付けたものは21偈有った。

神々を讃える詩は、楽しい。
みんなが楽しく唱えられるように作られている。
語呂合わせが多い。
音だけでも楽しいようになっている。

なんかまあ例えばこんな感じ↓
https://www.youtube.com/watch?v=442ewPgXHQ0
これなんかは、歌い出しの詞を取って「aigiri nandini」というタイトルになっている。

4句で一偈であり、最後の1句は毎回繰り返しだ。
だから、どなたでも聴いていたら4句目は聞こえてくるんじゃないだろうか。
「ジャヤジャヤへーマヒシャースラマルディニラムヤカパルディニシャイラステー」

ここいらなんか聞きどころ↓
https://youtu.be/442ewPgXHQ0?t=413
意味は、まあなんか、慈悲深いとか恵み多いとか暗い夜も照らす光とか
美しいとか魅力的とかそんなふうに褒めちぎる。

あ、神様に向かって美貌をほめ讃えるというのは、
日本ではあんまり無い感覚かもな。



どうせならこのお話全体を読みたいなあ。
と思っていたら、この『サンスクリット講読 インド思想篇』に
収められていることに気付いた。
「デーヴィーマーハートミヤ」と題されている。
「マヒシャースラサイニャヴァダ」ともいう。
こちらは68偈で成る。

デーヴィーが女神という意味。
デビ夫人は女神を称しているんである。


つづく


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