犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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鍼灸に関する誤解の4 痛みを昇華させる編

2014年01月31日 | 日々
[あらすじ] 鍼灸治療についての誤解をといたり新たな誤解を生んだりしているよ。


鍼は太めの髪の毛くらい細いものだけれど、
それでも避けられないくらいみっちりと痛みのセンサーは皮膚にある。
しかしうまいこと打つと痛くないものだ。
という話でした。

下手くそが鍼を打つと痛いのですが、
鍼治療を受けていて痛かったからと言って、その鍼師が下手くそか、というと
そうではない。

昨日まで「うまく打てば痛くない」と書いたら、
「痛い鍼は下手」とか、「下手な鍼師は痛い」とかいう誤解が生まれてしまった。
シマッタ。



鍼は、痛くない方が良い、という考え方がある。

痛いと、人は緊張する。
身構える。
身体を固くする。

筋肉もこわばる。

これが治療にとって妨げとなる、逆効果になってしまう、ということだ。



私が鍼灸師を目指すきっかけとなった治療家は何人かいるのだが、
そのうちの一人は、川向こう(私は調布に住んでいて、稲城や川崎の方をこう呼ぶ)の
柔整師(柔道整復師つまり接骨院の先生)だ。

以前は、つげ義春の漫画に描かれた鉱泉だった、天徳接骨院という
なんだかありがたーい名前の治療院。
ここは「ペインシフト」という療法をやっている。

手の甲の反応点を、ボールペンの先みたいな棒(刺さないが、これも鍼の一種の道具)で
グリグリとやる。
すると患部がスーッとほぐれて痛みが取れる。
内臓にも効く。

とっころがこの「グリグリ」が、痛えの痛くねえのって。
ヨダレが出ちゃう。
60歳くらいの立派な男性が、足をバタバタさせて「せんせい、やめて」なんて
かわいく言ったりする。

けれど、施術が終わって立ってみると、「ああ、楽になってる」。となる。

私は憧れた。
大の男を手玉に取り、しかも治療する。
こんな術を身に付けたい。

少しコリが残っていたりすると、立ったまま手の甲グリグリをやっては
また動いてみて患部を試す。
「グリグリ」「痛ててて」「どう?」「あ、いいです。」



手の甲グリグリの強烈な痛みで、全身が緊張する。
けれど、ちゃんと患部はゆるむ。

施術の痛みによる一時的な緊張は、問題にならない。

このペインシフト療法を経験して、少々の(少々じゃないけど)痛みが
治療に伴うのは当たり前だと強く思うようになった。

だって治るんだよ?
何年も痛かったものが、治る。
そのために数秒痛いのなんか、天秤にかけたら屁でもねえじゃねえか。
と、思うのだ。

手の甲グリグリに比べたら、鍼のチクチクなんて、くすぐり程度でしかない。
問題にならないと思いながら、でも丁寧に打っている。

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