犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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ノックのこたえ

2015年02月01日 | 毎月馬鹿
20代の頃、オーケストラの先生とちょくちょく山に行った。

登山の後に、当地の温泉に寄るのも楽しみのひとつだった。
その時寄った湯は、木造の八角形の建物が有名な場所だ。
男女日替わりで、その日は女湯がその建物だったので、
私ともうひとりの同行女性はラッキーだねと言い合った。
後で聞けば、男湯はさらに掃除中だったようで、
湯もほとんど張っていなくて、先生は冷えきってしまったそうだ。

履物や脱衣籠や、雰囲気から察するに、先客は何人かいる様子だ。
私は先に小用を足そうと、脱衣場の隅にあるトイレをノックした。

「どうぞ」

と中から声がするので、個室ではないのか、と思いスッと扉を開けた。
すると、別に手洗い場があるわけではなかった。
なあんだ、やっぱり個室じゃないか。
と思った。

???

・・・

同行の女性はこの手の話が苦手だし、
先生の奥さんはホンモノの霊感の持ち主だし、
結局、この話はまだ誰にもしていない。

そういった感覚に鈍い私は、温泉に入る前で良かった、と、
鳥肌の立った体を白濁した湯に沈め、芯から温まった。

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