夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

介護予防って? 

2006年10月30日 14時23分09秒 |  姥捨て山は大騒ぎ
朝日新聞の10月29日号のトップは「介護予防 出足は低調」というもので、将来介護が必要になるようなお年寄りに運動などをしてもらい、要介護状態になるのを防ごうと導入された介護予防事業が目標を大きく下回っていることを報じていた。
記事によると、その対象が厳密に制限されていて、現場からは「これを全てクリアーする人は、予防ではなく、介護そのものの対象になるような人」だとの嘆きがあることと、それに対して政府は範囲を拡大する気はないとする意見を持っていることを伝えていた。

これで思い出したことが二つある。

一つは40歳になったときに、役所から老人手帳(名前は違っているかもしれない)なるものが送ってきたこと。吃驚仰天して、よくよく中を見てみたら、老人になる前に健康な生活を送ってもらい、病気にならないための予防的なものと説明されていて、日本の政府もこれだけの見識のある行動をとるのかと感激したものだった。
でも、その後この手帳に関連した、検診とか、保健プログラムの紹介といったものは一切なく、要するに、これもまた、役人の壮大な無駄遣いの一つだと判るのにあまり時間も必要ではなかった。今ではその手帳すらどこに行ったのか判らなくなってしまっている。

もう一つは、それより少し前から町会などでの企画の話のときに、老人クラブのメンバーを積極的に町会への活動に参加してもらうように呼びかけてはと、ことあるごとに話をしていたのだけど、「いいアイデアですね」とは言われても、何一つ実行プランができなかったこと。

最初の問題は、手を広げると予算が必要になるということが一番のネックになるのだろう。
でも高齢者と呼ばれるようになって、仕事からも離れていても、健康で元気な人たちはたくさんいる。この人たちにとって、町や、遊びに頻繁に出歩くことは、年金の範囲ではちょっときつい。仕事人間で周りとの関係もあまりないとなれば、後は家に引きこもりするしか他にやることがない。そうして、この引きこもりが、認知症やその他の高齢者の病気の大きな原因の一つになっている。
このサイクルを切り、これらの高齢者を町に出していくためには、町会の組織、活動というのはとても適しているのではないかと思う。
最初は特に、小さな子供たちのための交通指導とかといった形での取り込みから、だんだんと町会のいろんな活動へ取り込んでいければ、町や周りと隔絶し、家の中だけで生活している高齢者にとっても、生きていく楽しみを与えるものじゃないだろうか。
でも町会の現場では、高齢者に仕事をお願いすることを躊躇する気運がなんとなく見られる。逆に、そのことで高齢者が生きがいを持ち、もっと仲間を増やし、元気に生きていくチャンスを与えるんだということを考えて欲しい。

そして政府もこのような草の根の活動に、もっと目を向け、それを奨励し、援助するような活動をとれば、予算だって、それほどかかるものじゃないと思う。


ずいぶん昔に、高齢者向けの雑誌に「日本の高齢者の問題は、絶対的に年金などが少ないというような問題ではなく、、、(っていっても、国民年金などは絶対的に少ないのは承知しているけど)、それ以上に仕事人間で、仕事を離れたときにやることがわからない、生きがいをもてない人が多いのが問題だ」って書いたことがあるけど、少なくとも周りの高齢者で、何かやることをもち、それを活発にやっている人たちはいくつになっても若いと感じさせるものがある。病気でもなく、健康で、最低限の生活は何とかなるような人でも、やることがなく、周りに興味がない人は、家に閉じこもって、周りからも隔絶してしまう人が多い。

政府に望むのは、もしその予防介護をやるのであれば、それこそ昔のように高齢になって発症してくる生活習慣病の予防を含め、40くらいからそれを始めてもおかしくないって思うのだけど。