夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

寂しさはその色としもなかりけり

2008年09月22日 21時16分37秒 |  気になる詩、言葉


三夕の歌は西行の

心なき身にも哀れは知られけれ
      鴫立つ沢の秋の夕暮れ

を、椎木堰の紹介のときに使っているだけでした。

この歌の他は、藤原定家の

見わたせば花も紅葉もなかりけり
      浦の苫屋の秋の夕暮れ

寂連の
          
寂しさはその色としもなかりけり
      真木立つ山の秋の夕暮れ
           
があることはご存知だと思います。


秋は花や紅葉で飾られます。
でも秋の寂しさはその花や紅葉の色から来るのではない、
杉や檜のような常緑の山にも、夕暮れとともに、秋の寂しさは忍んでくるのだ、、、

三夕の歌の中で、寂連法師のこの歌はともすれば軽んぜられる傾向があるようです。上の二つに比べれば、ストレートに響いてくるものではないかもしれません。でも、噛み締めていると、この歌の詩情があなたの心にじわっつと沁みてくるかもしれませんよ。