夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

田園の憂鬱

2009年06月26日 08時57分56秒 |  岬な日々
岬の朝を迎えました。
私の岬の日々を表す日記でクリシェのように使っている言葉に「静かな」という単語があります。
ただこの「静かな」には「鳥の声」とか、日によっては、「風の音」、「かえるの声」 あるいは「潮騒」、、以外にはなにも聞こえないというのが枕詞のように付いていることが多いですね。

岬の生活を知らない都会の方には、鳥の声、風の音、蛙の声、、、、なんと自然の溢れるところだろうとうらやましく思われるかもしれません。

確かに、一面ではその通り。
車の音すらほとんどしない、テレビも電波が弱いので映らない。新聞すら取っていない。世の中からは隔絶した隠遁生活。仕事に明け暮れる毎日からみれば、夢のような生活空間がここにありました。
って言うのは、こちらに来た最初のころの感想でした。

ところが、こちらに長くいるようになると、その自然を演出しているはずの、 鳥、蝉、虫、蛙、そして風や波、、、、、
過ぎたるは及ばざるが如し。



こちらの朝は、小鳥の声で始まります。

朝といっても、空が白けはじめるころ、、、
今ごろだと、4時前には、「とうちゃん、早う起きんば、仕事に出んといかんばい」って声が聞こえ始めます。
種類によって、起床時間が違うようで、それから朝が完全に明けるまで延々といろんな鳥の声が続きます。

お出かけ前の、ごたごとが終わって、やっと静かになったかと思うと;
今度は鶯や餌を見つけに立ち寄るさまざまな鳥の声。

鶯なんて、そんなうっとりとした顔をしないでくださいな。
そりゃ、たまに聞くなら嬉しいでしょうけど、この家を間に、あっちこっちで一日中、鳴き叫んでいる。
「そこのぶなの木からこっちは私のもんだからね。手を出さないで」
「なにをいっているのよ、そこは私のもんよ」
てな具合なのでしょうかね~
それとも「今度の彼女、とても優しくって、、、」延々延々、、、、、なんてのろけているのでしょうか、、、、
今時、「恋人が欲しいよ~」なんてアラフォーの叫びはもう遅すぎますものね~~~
(ごめん、あなたのことじゃない。だってあなたはもうアラフォーはとっくに、、、、、、ゴメン)


小鳥だって、群れてやってきて、「あんた、私の彼氏に色目を使ったでしょう」とか「なによ、あんな濡れ落ち葉、私の趣味じゃないわよ」なんて大騒ぎしているのを聞いていると、「もう少し静かにしてもらえませんか」ってお願いしたくなりますよ。


でも、今まではま~だよかった。
近年はちょっと異変が起こりました。


まず、キョン。これが一晩中、ギャ~ギャ~って鳴いています。あの声をお聞きになってことがある方にはお分かりと思いますけど、どこをとっても風流とか風雅といったものには全く無縁の声。近くで鳴かれるとさすがの私も水をぶっ掛けたくなる、、、、

そして、東京特許許可局の回し者。夜中も、昼間もトウキョウトッキョキョカキョクって鳴き叫んでいるのですね、、、、 眠れないよ~っていうのはホトトギスの方ではなくって、私の方なんですけど。。
   ホトトギス、鳴きつる方を見上げれば
     今日も不眠の朝を迎える、、、、泣
          風車 

最近はまた、カケスが加わりました。
いつ、この近くに巣を構えたのでしょうか。引越し蕎麦も来なかったので、分かりませんけど、   
彼らは、声が大きいし、けたたましいですよね、、、、
これが大騒ぎしていると、私の平安はなくなってしまう。


街頭放送が喚き、車のクラクションやブレーキの音、ドアの開閉に応じて軍艦マーチが響き渡るパチンコ屋さん。声高く話し合う人の声、、、 一昔前の場末の駅の駅前風景。今だったら即、騒音防止条例に引っかかってしまいそうですね。
静かな朝を迎えるためには岬を引き払って、こんなアナクロの風情を残すどこかの駅前にでも引越しをしなければならないでしょうか。



蝶よ、お前の美徳は、その美しさではなく、お前が鳴かないことなのだよ、、、



                            (去年の写真から)