旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

ぐるり台湾 台北→菁桐

2010-11-07 00:00:00 | 台湾日記

自助早餐

民國99年8月1日星期日、日曜日である。台北の定宿で目覚める。朝食をとりに地下の食堂へ。ご飯に味噌汁。やっぱりこうじゃないと。納豆、生玉子はないけど。おいしい朝ごはんを食べたら今日も出掛ける。連泊なのでホテルに荷物を置いてゆけるので、身軽である。


東呉大飯店 (台北市大同區延平北路)

捷運の駅まで、いつもとは違う道を歩く。朝市なのか、活気のある商店街を通り抜ける。肉も魚も野菜も何でもある。お菓子や雑貨の店もある。何も買わないが、風情だけは味わえた。

台北捷運 淡水線 民權西路(8:53)→台北車站(8:57) 1310
※ダイヤ不明のため、実際の時刻を記す。

台北車站に到着。少し時間があるので、駅構内の郵便局に寄っていく。そうこうするうちに乗る予定の區間快の発車時刻が迫り、慌てて改札前へ。自動券売機で切符を買おうとするが、紙幣が使えない。仕方がないので両替機を探すが見つからない。もう発車時刻になってしまう。改札氏に切符を買えずに乗りたい列車の発車が迫っている事を言ってみる。乗車証明書の様なものを貰い、車内で車掌から切符を買えないかと思っていたが、改札氏はそこの売店で両替、または何か買って釣銭をもらうように言う。そんな暇はない。発車時刻を過ぎてしまい、區間快を諦める。前もって窓口に並んでいたら紙幣も使えたし、時間があれば両替も出来ていただろう。しかし自動券売機で紙幣が使えないのはいただけない。日本の自動券売機は本当に便利である。さて、改札氏に次の列車はと尋ねると、莒光號があるという。區間快は非對號列車(全車自由席)だが、莒光號は對號列車(全車指定席)である。對號列車自動售票機(券売機)なるものが設置されており、こちらは紙幣を使って切符を買う事が出来る。


車票 莒光40次 台北→瑞芳

切符は買えたのだが、何やら但し書きが。「七堵以後餘程無座」とある。文字からして、七堵より後の行程については席は無い、と読める。再び改札氏に確認すると、やはりそうであった。台北から七堵までは表示の席に座れるが、七堵から別の客がこの席に来るから立たなければならない。なかなか芸の細かい切符を発券する。



月台に行くと、すぐに列車が入ってきた。客車には扉がひとつしかなく、乗降に時間が掛かる。発車時間を過ぎてもまだ乗る事が出来ない。やむなく若干空いている隣の車両に乗車して、車内の通路の人をかき分けて指定の車両の席にたどり着いた。列車は遅れて台北を出発。2日前に太魯閣號に乗った時も、先行するこの莒光號は遅れていて、後続の太魯閣號も遅れたのだが、遅れの原因は乗降に時間の掛かるひとつ扉にあったようだ。車内は座席のない無座票の客で通路まで一杯である。若い人が多い。2日前に太魯閣號で快走した線路をゆっくり走る。途中で駅でもない所で止まってしまった。事故でもあったのか。それでなくとも遅れているのに。暫く止まっていて、ようやく動き出した。七堵に到着し席を立つ。これで自分も無座の客である。降車駅の瑞芳に到着。どれだけ遅れたのかと時計を見ると、何と定刻である。事故があって止まっていた訳ではなく、そうゆうダイヤなのか。釈然とせぬまま瑞芳の月台に降り立つ。便當売りの声が響く。

東部幹線 莒光40 台北(9:20)→瑞芳(10:18) 40FP10031(K)T


東部幹線 莒光40次 [E228牽引] (瑞芳)


metro 莒光號で瑞芳站到了symbol6

プラットフォーム上に改札口と切符売場がある。ここで「平渓線一日週遊券」(54元)が買える。瑞芳-(宜蘭線)-三貂嶺-(平渓線)-菁桐間が乗り降り自由である。瑞芳-菁桐間が區間車で片道30元なので、単純往復するだけで元が取れる。莒光號の切符は例によって證明章のハンコを押して持ち帰る。


平渓線一日週遊券(正面)


平渓線一日週遊券(反面)


宜蘭線 瑞芳車站 (臺灣省臺北縣瑞芳鎮龍潭里明燈路)


寂しい駅前…

平渓線の列車まで時間があるので、駅の外に出てみる。人気の観光地、九份への玄関口と聞いていたが、人通りも少ない。それもそのはず。こちらは裏駅だったのだ。


宜蘭線 瑞芳車站 正面 (臺灣省臺北縣瑞芳鎮龍潭里明燈路)


こっちは栄えとる!

地下道を表口の方へ。通路では四重奏か何か(クラシック音楽に疎いので不明)演奏している。やはり休日の観光地なのだ。こちらの駅頭はまずまず賑わっている。裏駅と違い、表口の駅舎には切符売場や待合室、売店も揃っている。


2號坑(月台) 第二ホーム

再び先程の月台へ。階段を上っていると、「おじさん」と呼ぶ声がする。誰がおじさんやねん。まあ、おじさんで間違いはない。振り向けば、自分より年配の女性が、やはり自分より年配の男性に落し物をしたと声を掛けているところだった。二人とも日本人ではなく、日本統治時代に教育を受けた程のお年寄りではない。「おじさん」という日本語の単語が今も使われているのだ。


気動車のメーカーは日本車輌製造!

縦貫線と宜蘭線との分岐駅、八堵発菁桐行の列車が入ってきた。便當の売り子さんは、ロングシートの列車でも立売をしている。乗車する前に車両を確認したら日本製だった。瑞芳を出発した列車は暫く宜蘭線を走る。基隆河に沿っている。三貂嶺を出発すると宜蘭線は基隆河を渡り、隧道へ消えてゆく。菁桐行は尚も基隆河に沿う平渓線を走る。山峡の良いローカル線である。座席がロングシートなのが惜しまれる。沿線の名勝の十分瀑布の入口付近には多くの人が来ている。車窓を見ていたが、滝は判らなかった。十分の駅が近づき、再び車窓に注目する。街の細い通りを列車が走っていくような感じなのだ。街にいる観光客が列車にカメラを向けている。十分で菁桐発の列車と交換する。十分の次の望古では駅に小さな鯉のぼりが泳いでいる。カープとは関係なさそうだが、気分が良い。沿線の中心地、平渓へ。元宵節(旧暦1月15日)に行われる天燈節で有名な町だそうだ。写真や映像を見ると壮観だが、山火事になりはせんかと思う。川沿いの小さな町で、日本なら鮎の塩焼きを食わせる店がありそうなところだ。下車してみたい駅だが、そのまま終点の菁桐へ。これで平渓線の乗りつぶし終了。

平渓線 區間車3213 瑞芳(10:46)→菁桐(11:38) 45DR1021


平渓線 區間車3213次 [DR1000型車両] (菁桐)

お、月台の先端には台湾の鉄道好きの方々が。昭和11年の時刻表を見ると、平渓線は6往復運転されており、225列車は三貂嶺發午後0時05分、菁桐坑著午後0時53分とある。今乗ってきた列車3213次は三貂嶺発11時03分、菁桐着11時38分。現在の気動車の方が幾分早い。


metro 區間車で菁桐站到了symbol6

菁桐の「菁」の字だが、現地での表記と、うちの日本語のPCで表示される字体が異なる。他の文字にも多少の違いがあるのだろうが、これは気になったので両方の字体を載せておく。左が現地の字体。右がうちで表示される字体。




元は石炭輸送の路線 (菁桐)


平渓線 菁桐車站 (臺灣省臺北縣平溪鄉菁桐村菁桐街)

昭和一桁の木造駅舎の残る菁桐駅。元の駅名は菁桐坑で炭鉱街だったが、今はレトロな街並に観光客が溢れる。


駅頭の風景


じゃれあう、たいわんこ(喧嘩ではない)


老街を散策もせずに風情ある木造駅舎に戻るsymbol6


転轍機も見られる! (菁桐)

手に赤い天燈を持った人がいる。元宵節じゃなくてもあるのか。


木造駅舎に椰子の木! (菁桐)

実は駅舎の他にも見所の多い菁桐なのだが、今乗ってきた列車で折り返す。 (つづく)


いずれも民國99年(2010)8月1日撮影
※切符の画像をのぞく