いそげや いそげ
リンドウ・ラッパが ぷぷ~ぷぷぷ~
おまえ うまそうだな
ストレス発散
働きすぎなんだよ!
【十勝岳山麓のナキウサギ 2023.09 撮影】
秋色に染まり始めた草木を運びます
見上げれば雲か
なんの花だろう?
こちらは、花はついていないがリンドウの茎のようだ
【十勝岳山麓のナキウサギ 2023.09 撮影】
風を見ていたナキベエ
振り向きざま
新鮮な葉を
優先して運びます
緑色の新鮮な草木を好んで運ぶ(貯食する)傾向にあるようだが
時折こうした枯草も口にくわえていた
この草は枯れかけのリンドウか?
【十勝岳山麓のナキウサギ 2023.09 撮影】
おまえ うまそうだな
忍び寄る秋
シラタマの実を運ぶ
貯食用に最適な葉の茂った草木をゲット
次はどれを運ぼうか?
あまりにりっぱ過ぎて、うまく運べず
何度も口にくわえ直すも、結局諦める
(近くの岩陰に隠しておいたこの大きな草木は
乾燥させ軽くなった頃合いの後日
無事巣穴まで持ち込んだようだ)
【十勝岳山麓のナキウサギ 2023.09 撮影】
もしかして、イワブクロの花には
睡眠薬に類する成分が含まれているのではなかろうか?
たまたまかもしれないが、イワブクロを食べた直後に
眠りに誘われるナキウサギの姿を何度か見かけた
このちびうさも、直前に花を食べたのだ
サイケデリックな背景は狙ったものでなく
エゾイソツツジの群落が望遠効果でにじみ
ミラーボールみたいに輝いている
【そっとおやすみ そっと~(リョウビ・ドアマンのCMより)
~十勝岳山麓のナキウサギ 2023.07.10 撮影】
今回図書館でお借りしたのが、「黄土館(こうどかん)の殺人/阿津川 辰海
(あつかわ たつみ)著」です。朝日新聞紙上で紹介されていたのを、早い
タイミングで予約できたためか、早期に手にすることができました。
地震により閉じこめられた空間(芸術一家の大きな館)で起こる連続殺人事件。
大仕掛けで繰り広げられる殺人手法など、スケール感たっぷりな大長編作品で、
とても面白く拝読しました。しかし、細々とした点がいくつか気になりました。
まず、内(館内)と外(館近郊の温泉旅館)で同時進行で物語が展開するさまが、
綾辻行人さんのとある作品を連想させます。この作品が阿津川さんの「館四重奏」
の三作目にあたるらしくて、「館」をテーマにしているところなど、明らかに
綾辻作品を意識しているのはいいとして、既視感を覚える展開にはやや興醒め
しました。ところで、物語の舞台となる大邸宅は荒土館(こうどかん)のはずが、
なぜタイトルのみ黄土館なのでしょうか? 過去作品が「紅蓮館=炎」「蒼海館
=水」と色付けされていたので、「黄土館=土」でそろえたのでしょうけど、文中
特に説明がなされておらず(私が読み飛ばしていなければ)、唐突なんですよね。
館名は、最初から黄土館で良かったのではないでしょうか?
さらに、館の大掛かりな仕掛けはスペクタクルであるものの、あんな大きなものが
動くとなると、振動とか音とか半端なくて、誰もがすぐにからくりに気がつくと
思うのです。犯人や一部の人しかその秘密を知らないというのは、ちょっと無理が
ないでしょうか?
しかも、細々したトリックまでは解読できなくとも、犯人らしき人物は、かなり
早い段階でうすうすわかってしまいました。かなりフェアに経緯などを説明して
くれている裏返しともいえるけど、さすがにこれではいくらなんでもミスリードに
引っかかりません。
シリーズ第三作で、この作品は第一作の「続編」的な位置づけでもあり、遡って
それを読んでみたいと考えている身には、ネタバレがないかヒヤヒヤしましたよ。
さすがに「犯人」の名前をズバッと記載される場面はなかったけど、修羅場を
乗り越え、誰が生き残ったのかはわかっちゃいますよね。でもそれは、シリーズ
ものを逆算して楽しもうとすると、避けては通れない宿命なのです。
大掛かりなエンターテイメントとしては面白く楽しめたし、力作であることは
確かで、細かなマイナス点(上記の理由のほか、登場人物の性格付け不足とか、
霧がいつまでも晴れない等の都合のいいやや強引な設定など)が足を引っ張った
のが惜しいです。でもやはりそこは乗り掛かった舟、シリーズ第一作を読んでみる
しかなさそうです。そちらが、いい意味で期待を裏切る完成度の高い作品だったら
と思います。
今回図書館でお借りしたのは、「明智恭介の奔走/今村昌弘著」です。早めの
予約が功を奏して、早々に順番が来て読むことができました。
「屍人荘の殺人」に登場した学生探偵・明智恭介は、てっきり彼が事件を解決する
のだろうとの期待をよそに、物語前半で姿を消します。ワトソン役である後輩・
葉村 譲との巧妙なコンビネーションもよろしかったのに、突然主役格がいなくなる
展開に驚きましたが、すぐさま真主人公の美少女探偵・剣崎 比留子が実力発揮、
葉村も彼女の助手役を見事に勤め上げて、事件を解決へと導きます。
続編二編でもこのコンビが躍動、私を含め特に男性陣は、艶やかな剣崎の活躍に
満足し、明智のことはすっかり忘れ去られたかのようでしたが、著者本人の希望、
あるいは読者からの要望もあったのでしょう、彼の前日譚の活躍を集めた短編集が
今回の~の奔走です。事件解決に注ぐ情熱が有り余って空回り、明智の猪突猛進さに
ハラハラさせられながらも、どこかしら憎めないキャラクターは、脇役で消えて
しまうにはやっぱりもったいなくて惜しいですよねえ。しかし、彼が天真爛漫に
振舞えば振舞うほど、最期を知る我々は、おもしろうてやがて悲しき…となるのです。
彼の異才・鬼才ぶりを発揮できる機会を与えられて本当によかったですよ。まだ、
もう一冊分くらいの、探偵エピソードが残っているんじゃないかと期待です。
夏の北への旅でお供した本は、「悪魔の百唇譜(ひゃくしんふ)/横溝正史著」
でした。表題作一編のみ収録の中長編です。元々あった「百唇譜」という短編を
改題、長編化し刊行されたもので、こうした例は横溝作品にはいくつかあります。
関係のあった女性たちの性癖を克明に記録した『百唇譜』をもとにゆすりを
働いていた元俳優が殺害された事件は迷宮入りしていたが、新たにトランク詰め
殺人事件が起こり、過去の事件で隠されていた真相まで明るみになるストーリー。
車を利用したトリックが用意されているなど、本格推理のテイストは感じさせ
つつも、実質的には大衆向き娯楽小説色が強い作品でした。金田一耕助は早い
段階から登場、ほぼ出ずっぱりの割には印象が薄く、最後は事件解決を待たず、
おおよその見当がついた時点で放浪の旅に出てしまいます。忌まわしい事件に
相対したあと、いつも金田一はナーバスになってしまうのです。
一方で、東京での彼の暮らしぶりの一端が紹介され、朝から「アスパラガスの
缶詰」なんて洒落たものを食べていることが判明。アスパラガスの缶詰って、
おそらく私は食べたことなくて、たぶん、ホワイトアスパラガスが詰められた
やつだよねえ? 昭和三十年代当時は、食品の流通もまだまだ発達しておらず、
アスパラなども、新鮮な状態(生野菜)で店頭に並ぶことってまずなかった
のだと思われます。一般人は、アスパラを実際見たこともなかったでしょう。
金田一はアメリカで生活したこともあるので、早くからアスパラに馴染んで
いた可能性があります。それにしても粋だよねえ。
とはいえ、アディショナルな場面はともかく、金田一ものではあまり出来が
いいとは言えない本作は、横溝さんの筆力をもってどうにか体裁を保っては
いるものの、金田一初心者は、早い段階で手を出さないほうがいいでしょう。
他作品を読んだあと、「こういうのもありなのか」と、冷静に受け流すくらい
がちょうどいいのではないでしょうかね。
7月31日付け朝日新聞夕刊で紹介されていた「六色の蛹(さなぎ)/櫻田智也著」
を読むことができました。今回は、予約したタイミングが良かったためか、比較的
早めに順番が回ってきました。本書はタイトルから連想されるように、短編六編で
構成されており、最終章はエピローグ的な掌編、実質五編と考えていいでしょう。
探偵役の魞沢 泉(えりさわ せん)は昆虫好きの心優しい青年という設定なので、
短編いずれにも昆虫のエピソードが絡むのと、各話テーマとなる色を前面に押し出す
ことで、連作短編としてシリーズ色をより鮮明にしています。昆虫が取っつきに
なっていたりはするものの、メインとなる題材は「猟銃」「土器」「花」「音楽」
など多岐に渡り、それに臆することなく正面から挑む魞沢の知識量と神出鬼没ぶり
が目覚ましいです。魞沢は流浪の民なのでしょうか? 定職についているようで
なく、自分の興味ある事柄にひたすらまい進するさまに、個人的に共感は覚えます。
魞沢を主役に据えたシリーズ第三弾とのことで、前二作には、彼の経歴などを紹介
したくだりがあるのかもしれません。
短編という構成上、各話登場人物少なく物語が進行するので、ポインセチアが鍵と
なるエピソード『赤の追憶』などのように、トリックというか、結末への展開が
なんとなくわかってしまう物語もありました。このあたり、最近「探偵小説の鬼」
と化している私の審美眼がいよいよ目覚め始めた成果なのかもしれないですがね。
鋭い推理で犯人を追い詰める一方、罪びとの心に寄り添うような魞沢の気遣いが
すべてのエピソードで見え隠れし、いずれも比較的優しい結末を迎える読後感は
悪くなく、いずれ近いうち、前二作も読むことになるかもしれません。
エゾイソツツジにはあまり関心を示さなかったちびうさ
イワブクロ(タルマイソウ)は大好物らしく
この個体は、繰り返し花畑に姿を見せた
【ちびうさはイワブクロが大好き!~十勝岳山麓のナキウサギ 2023.07.10 撮影】