食事の合い間に、越冬用の備蓄分を集める様子も確認できた
一本、二本、そして続けて三本目の枝葉をくいちぎり
くわえるとすばやく反転、巣へと舞い戻った
【食べるか溜めるか、それが問題だ 2021.11.12撮影】
ここしばらく、最高気温が10℃に満たない寒い日が続いていた和歌山市です。
ようやく寒気が抜けたとのことで、今日は急激に暖かくなりました。次週にかけ
この陽気は続くようなので、一気に春めくかもしれないですね。
コマツナ(小松菜)の一回目の間引きです。写真は作業後のもので、このあと
しばらく日光浴させました。
数日前に軽く込み合ったところを引き抜いておいたので、間引き菜は少なめです。
さらに、サザンカの枝を少しだけ剪定しておきました。先を見越してもう少し刈り込んで
おきたかったのですが、まだ花が咲いていて思いきれませんでした。12月から咲き続けて
いるので息の長い咲きっぷりです。100個単位くらいに、つぼみの数があったのかも
しれません。
咲き始めた赤紫色のクリスマスローズ。
花数を増やす匂いスミレ。
咲き誇るビオラ。
ピークを迎えつつある早咲きのスイセン。
スイセンと桜のコラボ生け花。桜の枝は市販のものです。
ここでいったん横溝正史少年小説コレクションシリーズを離れ、読んだのは
「弔い月の下にて 倉野憲比古著」です。朝日新聞夕刊記事で紹介されていたのが
読もうと思ったきっかけで、それから、図書館での貸し出しが解禁されるのを
待ち構えるようにしてお借りしました。記事は1月中旬頃の掲載でしたから、
そこからでも約一か月かかりました。なにかしらの、新刊本に対する図書館への
導入に際してのルール、取り決めのようなものがあるのでしょうかね。以前、
新刊本がすぐに図書館で読めるせいで、ベストセラー本の売り上げに影響が出ている
というようなニュースを聞いた覚えがあります。そのため、わざと発刊直後本の
図書館への導入時期を遅らせているのか、関係なく、単に予算がなくてすぐには
入れられなかっただけなのか… 事情はともかく、どうやらこの図書館での貸し出し
第一号となったらしく、待たされた分、なにかしら得したような気分もあるのです。
さて、私は作者の倉野憲比古(くらの のりひこ)さんの名前も存じてなくて、
もちろん作品を読むのも今回が初めてで、記事によるとこの弔い月~は、探偵役に
心理学を専攻する学生・夷戸武比古(いど たけひこ)を登場させたシリーズの
第三弾となるようです。カバーに作者の言葉として、「謎の使用人、異常心理学、
宗教、怪奇趣味etc.と、私の趣味嗜好をすべて注力した…」と記載されているとおり、
かなり偏りのあるクセ球がこれでもかと投げ込まれた変格的っぽい推理作品です。
探偵役夷戸は、心理的、あるいは精神病理学的側面から不可解な犯行を暴き、真実に
近づこうとしますが、かなり突拍子もない論理の展開に、正直こちらがついていく
のに四苦八苦します。登場人物の他の面々からもあまりの「現実味のなさ」を指摘
されるほどの、一見的外れのように思えた彼の論理的思考はやがてすべてを解き放ち、
絡まっていた糸を一本の線へと導きます。
非科学的かと思われた事件は理詰めな筋道で解決され、謎が謎を呼ぶ仕掛けの舞台
装置だけ見ると徹頭徹尾変格ものなのかと思わせておいて、実は筋の通った本格的
推理小説だったのだと考えを改めさせられた矢先にどんでん返し、人知の及ばぬ
超常現象が真の原因でないかと啓示があり、最後まで読者をけむに巻きながら真相は
迷宮の度合いをますます深め、すべてをつまびらかにしないまま物語は終わりを
告げます。「弔い月」だけがすべてを知っている…って感じでしょうかね。
正直とっつきにくくて、独特のマニアックな世界観を持て余し気味になるのは確か
でしょうけど、のめり込むと、あっという間に読み終えてしまう濃~い中身でも
あります。馴染んでくると楽しめますよ。前作2冊も図書館に蔵書され、こちらを
先に読んでみることも考えましたが、せっかくだし、この新刊を読んでから判断
しようと借りるのを思いとどまりました。むろん今は読む気満々なので、いずれまた
底なし沼ようなラビリンスに引き込まれるのを楽しみにしたいと思います。
昨日の雨は上がり、天気は回復傾向、晴れ間が多くなりましたが、北寄りの風が
冷たく、気温もあまり上がりません。週末に向け徐々に気温が高くなりそうなので、
もしかしたら本格的な寒さは、今回がこの冬最後になるかもしれないですけどね。
カゴ×2で育てているチンゲンサイを間引いて最終形態にしました。写真は作業後
のものです。生育速度が増しているので、順調にいけばあと十日ほどで収穫できそう
です。
この前種まきしたコマツナ(小松菜)が発芽しました。発芽がまだらにとどまっている
先行のフダンソウ(うまい菜)を追い越した形です。さらに、先日土を再整備した
プランターにコマツナの種をまいておきました。
いっぺんに2個ずつくらいまとめて栽培を進めれば管理が楽なのですが、こんな面倒な
工程で進められるのは、暇人ならではです。勤め人時代だと週一くらいのペースで
しか作業に着手できなかったので、こんな七面倒なことやってられませんでした。
たっぷりの間引き菜をナキちゃんに献上しました。
横溝正史少年小説コレクションシリーズ第4集「青髪鬼(せいはつき)」を
読み終えました。こちらには、新聞記者・三津木俊介と探偵小僧・御子柴進
(みこしばすすむ)少年が活躍する長編三作とノンシリーズ短編五作、未完作品
二作が収録されています。
探偵小僧ってネーミングは、"怪獣男爵”並みにへんてこりんでインパクトのある
造語のようなもので、乱歩の少年探偵団・小林少年と同様の役割を期待し横溝さんが
編み出したキャラクターです。ただ残念なことに、小林くん並みの国民的認知が
得られなかったのは周知の事実でしょう。少年ものでは活劇場面が多くなるので、
それに見合ったキャラとして肉体派の三津木が重宝されたようで、このあとシリーズ
5,6集と三津木ものが続くようです。そこで多くのコンビを組むのが御子柴くん
というわけです。
収録作中、『真珠塔』は第3集収録の『深夜の魔術師』(由利・三津木もの)の
改作であるし、また、『獣人魔島』での獣人が誕生するくだりのあらましは、
第1集の『怪獣男爵』で男爵(ゴリラ+人間のような)が生み出される背景と
話がダブっています。さすがに多作で鳴らす横溝さんとはいえ、アイデアには
限りがあるようで、これ以外にも、部分的には似たようなシチュエーションが
繰り返し出てきたりもします。追い詰められた怪人が逃げ出すのに用いる手段は
たいてい軽気球だし、潜伏場所はサーカスであることが多く、秘められたお宝を
探すために洞窟や迷宮に潜入します。ワンパターンだと言ってしまえばそれまで
ですが、一般向け小説と並行しつつこれだけの膨大な物語を生み出す創作意欲は
凄まじい限りです。しかも子供向けだからといってそんなに手を抜くこともなく、
少年少女らをどうにかしてハラハラドキドキさせてやろうと思案し、一心不乱頭を
ひねって物語を紡いだのでしょう。大人目線では「子供だまし」と見えなくも
ない設定や筋書きは確かにあれど、一般向けでは我々も簡単にミスリードされ、
難なく「大人だまし」にあうわけですからねえ、偉そうなこと言えまへん。子供の
目線まで下がり、子供が喜ぶような場面設定を悪戦苦闘しながら生み出し続けた
横溝さん、本当に書くことがお好きだった、物書きが天職だったのだと思われます。
『青髪鬼』では二大怪人が激突し、悪役・青髪鬼に変装名人・白蠟仮面(びゃくろう
かめん)が横槍を入れ割り込むことで、物語はさらに混迷の度合いを深めます。
白蠟仮面は乱歩の怪人二十面相を意識して創り出したキャラのようで、複数の作品に
またがり活躍するらしく、次の第5集のタイトルはずばり「白蠟仮面」となっています。
これもある種、横溝流少年少女らへのサービスだったんでしょうか。当時複数の横溝
作品を愛読していた彼らは、馴染みの悪党のゲスト出演にやんやの喝采をおくり、
煮え沸き立ったのかもしれないですね。
前出のナキちゃんが巣穴に引きこもってしばらくして
別の方角の巣穴から出てきて食事を始めたのが彼
方角は180度違ってはいたが、巣穴は中でつながってそうで
同じ個体かもしれないなと思いながら撮影した
当初距離があったのを、やはりイチかバチか
足元が悪い中、1メートルくらい前進して近づいた
【雪中お食事散歩だ~ 2021.11.12撮影】
暖かいうちにと、プランターに植え付けたチンゲンサイを引き抜いてしまいました。
これで一連の収穫作業は、ひとまず一段落です。ボールに二杯の分量ですからまずまずの
収穫量ですが、品質はやや劣るように思えます。収穫まで時間がかかりすぎたせいかも
しれません。
先日収穫したコマツナ(小松菜)を植えてあったカゴにフダンソウ(うまい菜)の
種をまいておきました。
散歩コースにある早咲きの桜、この前までつぼみが硬いままだったのに、今日見ると
花芽が緑色を増し大きく膨らんでいました。日曜日しっかり雨が降った後、今日
急激に温度が上がったので、開花への準備を促したのでしょう。
我が家の早咲きのスイセンも一気に開花し始めました。
ボケのつぼみにも赤味が増しました。
ただ、明日以降しばらくまた寒くなるようですし、このまま一気に春めくというわけでは
なさそうです。
横溝正史少年小説コレクション第3集「夜光怪人」を読み終えました。
表題作のほか、『幽霊鉄仮面』『怪盗どくろ指紋』『深夜の魔術師』の長短編が
掲載され、深夜~には未完成品と未発表版も同時に収められているのに加え、
さらに一般向け未発表原稿『死仮面(デスマスク)された女』も収録されています。
3集には由利鱗太郎が活躍するジュヴナイル作品が集められていて、由利が登場する
一般向け未発表作の死仮面~は、本来先の「由利・三津木探偵小説集成」に含められる
はずが漏れてしまったとのことで、今回の収録が実現したそうです。突然テイストの
違う作品の登場に戸惑いますが、この隠微かつ怪しいムードが本来の横溝さんなんだと
改めて思い出されました。このところ、完全にジュヴナイルもの一色に、私の頭も
すっかり洗脳されていましたので…
3集での注目はやはり夜光~で、朝日ソノラマ版へ収録の際に山村正夫氏により
探偵役が由利鱗太郎から金田一耕助へ変更されるなどリライトされ、それがそのまま
角川文庫版へも引き継がれたので、オリジナルの形で刊行されるのは五十数年ぶりとなる
そうです。一口に探偵が変わると言っても、ただ記載されている名前をすべて形式的に
変更するだけでは済まず、住まいや服装、言葉遣いや性格、社会的立場等々、いちいち
これらをすべて正さなければならないでしょうから、作業量は膨大なものになりそうです。
夜光~には由利先生の相棒・新聞記者の三津木俊介も登場するので、これはどのように
して修正しているのだろうかと思いきや、やはりここは変えようがなかったらしく、
強引に金田一と三津木をコンビとして同時出演させているようです! これって禁じ手
ですよね。横溝小説での探偵役では、由利・三津木のほうがいくぶん早い登場となり、
時期は多少ずれているとはいえ後発の金田一とほぼ同時代に活躍しているし、両者とも
東京での警察関係者とのつながりは主に等々力(とどろき)警部を介して行われるので、
お互い知らぬはずがなく、むしろ同時に登場しなかったほうが不自然なようにも思えます。
しかもさらにすごいことになりそうなのは、夜光~では、最終局面で犯人を追いかけ、
主要登場人物があの獄門島へ向かう設定なのです。これって一種のファンサービスでして、
作品間を超えた交流により、横溝ワールドがより複層的となり、リアル感を増す仕掛け
でしょう。小説「獄門島」に出演した清水巡査や網元の鬼頭などがそのままスライドして
登場、由利先生らと対峙、共闘するラストへの盛り上がりに、元ネタを知る横溝ファンは
ワクワクするわけですが、リライトされ探偵役が変わることで間抜けな事態が発生し、
金田一が旧知であるはずの清水巡査と初対面の挨拶(由利は初見だったが)を交わす
筋書きがそのまま訂正されていないらしいんですね。どうせここまでやるのなら、
両者が再会を祝うシチュエーションとなるよう書き改めてほしかった気もしますが、
そうまですると原作を損ねてしまい、リライトの枠を超えてしまうのかな。
幸い手元には金田一ものへと変更されている角川文庫版の夜光~があるので、
このあたりのくだりを含め、読み比べてみても面白いかもしれないですね。
今日明日と穏やかな晴天となりそうな和歌山市です。
コマツナ(小松菜)の収穫第二弾です。あとから種まきしたほうが、先のチンゲンサイを
追い越すような形となりました。種の新しさなど、諸々好条件が重なったためだと思われます。
ボール二杯にてんこ盛り、品質、収穫量ともに満足しています。
先に収穫し、土を再整備しておいたカゴにコマツナの種をまいておきました。日に日に
日照時間が長くなるこの時期が、我が家では葉物野菜の育て頃なのです。害虫の心配も
ほぼ皆無ですしね。
チンゲンサイの二回目の間引きです。生育速度が上がってきたので、こまめな手入れが
必用です。
ナキちゃんに献上したたっぷりの間引き菜。
八重咲のツバキが花を咲かせました。
我が家の早咲きのスイセンで占められた生け花。
横溝正史少年小説コレクションの第2集「迷宮の扉」を読み終えました。
収録作品は表題作のほか、『仮面城』『金色の指紋』と短編2編の計5作品です。
いずれも金田一耕助が登場する作品ですが、第1集と違うのは敵役が怪獣男爵
と決まっておらず、犯人探しという、本来の推理小説の醍醐味が加味されている
ことで、どの作品も第1集収録作よりは面白みが増しているように感じました。
特に表題作は、中学生向け雑誌に掲載されたためか、金田一がスーパーマン的な
アクションまでこなす役割から外れて、元来の「一見、風采が上らない」普通人に
戻され、筋書きにもトリッキーな要素が多めに用意されるなど、一般向けとあまり
変わらないテイストで仕上げられており、掲載作では群を抜いた出来栄えでした。
巻末資料として、横溝さん自身による一部作品の前書き(以前の文集の再掲)が
掲載され、いずれにも共通して語られるのは、「少年少女向け探偵小説を書くとき、
私がいつも一番気をつけるのは、それが少年少女諸君に悪い影響を与えはしないか…」
といった風な懸念で、「推理小説に必要な怪奇、冒険、スリルなどを悪いものとは
思わないが、ちょっと誤れば、良薬変じて猛毒となる恐れがある…」ことを心配
されています。実際そのような猛毒的推理小説がまま見受けられると書かれている
ことにも注目したく、それは乱歩の少年探偵団シリーズではないことはまず明白で、
そうすると誰のどんな作品なのかが気になります。
同じく資料として再掲される「横溝正史のジュヴナイルと金田一耕助」と題された
山村正夫氏の評論には、テレビの普及やコミック週刊誌の登場までは少年少女向け
雑誌が多数発行され、多くの推理作家たちがそこで健筆をふるったとあるので、
面白さを競い、切磋琢磨するうちに、横溝さんの目には明らかに行き過ぎ、刺激が
強すぎると映ったものがあったのでしょうか。
山村氏は、角川文庫版などへ横溝作少年小説が掲載時にリライトされた方でもあり、
そのいきさつなども含め、横溝さんの少年ものの系譜などがまとめられてもいる
この評論は、大変興味深く読み応えのあるもので、とても参考になりました。
これによると、横溝さんはデビュー直後から、早くも少年向け小説を書かれていた
ことがわかり(乱歩よりはるかに早い)、しかも分量も相当なもので、なるほど
少年ものだけで今度のシリーズが全7巻にも及ぶことがわかるというものです。
角川文庫版で探偵役を由利鱗太郎や三津木俊介から金田一への変更を担ったのも
山村氏で、先にこの欄で「多くの作品が金田一に変更された」と記載しましたが、
実際に改作されたのは『夜光怪人』と『蠟面博士』の二作品のみだったことが
この評論で明かされており、私の勘違いでした、訂正しお詫び申し上げます。
さらに評論では、「戦後一般向けはほぼすべてが人気の金田一ものへとシフトしたが、
ジュヴナイルものでは由利・三津木ものが健在、活躍し続けた」とあります。これは、
スリルやアクションが多数登場する少年ものでは、金田一のふるまいの不自然さが
ぬぐいきれず、行動派の三津木俊介らのほうがまだしもしっくりきたからでしょう。
金田一が少年助手を伴い行動する姿は、あまりにも不似合いに思えます。
この点、少年探偵団シリーズの明智小五郎は違和感少なく、変わり身させる術では、
乱歩に分があったと言えるでしょう。明智は、一般向け作品とは別人のような快活さで、
特に登場初期、今で言うなら「犯罪心理学オタク」的でかなりの奇人として描かれている
キャラからすると、180度違ってますよね。いかんせん、金田一をイメチェンさせる
のは無理難題、トレードマークのもじゃもじゃの髪の毛を整え、よれよれの袴を脱がせる
わけにもいかず、さすがに生みの親の横溝さんも、これ以上金田一にいらぬ負担を
かけさせたくなかったんじゃないかな。