5月の丘の魅力の一つは、整備されたばかりの畑の土と
植え付けられた食物の苗が描く幾何学模様
滞在後日にちが経ち、ビートの苗の生育が顕著になり
よりくっきりとうねるようなラインが浮かんだ
【うねる畑と十勝連峰~北海道美瑛町にて 2022.05.18 撮影】
10月31日(火) 晴れのち曇り
本日も朝はいい天気、大雪山上空がうすいピンク色に染まった。
例のごとく、クロちゃんの現場へ。この日は最終的に計五名と、このところでは
異例にギャラリーが多く、そのせいだけではなかろうが、クロちゃんチラッとしか
姿を見せず、私は早々に現場を離れ、向かったのは9月に北海洋さんに連れて行って
もらった場所だ。
秋、ある個体が出ずっぱりのようなサービスをしてくれたので、いいイメージを
もって晩秋に初めて訪れてみたが、ここも基本シーンと静まり返り、時折チラッと
現れる姿や鳴き声から、秋に出会った個体の生存確認をするのがやっとこさであった。
ところが、先客(留萌市の方)がいて、今日彼は真っ白なオコジョを撮影していた。
写真を見せていただくと、とてもきれいで、先日の積雪で、冬毛への衣替えの
スイッチが入ったみたいだ。タイミングやなあ、一度白いオコジョを見てみたかった。
ナキちゃんの出が悪いのはこのせいなの? でっかい熊の糞が落ちていた。
彼によると、昨日の時点ですでにあって、突いてみたら木の実などが出てきたそうだ。
何を食べたらこんな白い色になるのか?
ここ数日以内の新しそうな糞なので、一人きりだったら、かなりビビっていたと思う。
10月30日(月) 晴れ時々曇り
ようやくスカッと天気回復、まずは本日もクロちゃん詣でからだ。今朝は動きが
活発で、まずまず写真を撮らせてもらった。
大雪山もきれい。しかし、雪はずいぶん少なくなった気がする。
下界はこの日も雲海状態。
続いて上部の現場へ移動。しかしここでは、この日も一度出たきりで、以降
ほとんど活動しなくなった。何がきっかけでスイッチが切り替わるのかが不明だが、
結局私は、この個体が活発に動き回っているのを一度も見ることができずに終わった。
この日は午後も天気がまずまず良くて、天気のいいうちに、少し丘の風景も
撮影しておいた。ただし、カラマツの黄葉はまだピークには早いし、山の雪は少なく、
しかも、肝心の場所に秋まき小麦がないなど目ぼしい撮影地点が見つけられず、
これでは仮に条件がそろっても、撮影意欲がわく地点がないやんかと、頭を抱える。
丘の木に張り付けてあった「熊駆除」の許可証。ついに登山者にも被害が出てしまうなど、
熊出没のニュースが道内、内地を問わず頻繁に伝えられていた。
10月29日(日) 曇り時々雨
昨日は完全休養日とし、回復傾向との予報の今日に期待していたが回復は遅れ気味、
午後望岳台へ到着時も周辺はガスっていて霧雨、あきらめ車内で待機した。ところが
13:30過ぎに雨が止んで、周囲が急速に明るくなってきたので、散歩がてら
ナキちゃん撮影現場へ行ってみた。
現場は最上部の場所、この二日間の雨で、周辺の積雪はほぼゼロになり、季節感のない
味気ない景観になっていた。元気者のナキちゃん、小出しに三回顔を見せてくれたが、
三回目にこちらの動きを気取られ、以降まったく出なくなったので、15:30頃あきらめ
下山した。
本日は満月だと知ってはいたが、夕方も周辺ガスが多く、山もほとんど見えていなかった
のでこれは無理だとあきらめていると、17:30頃一気にガスが晴れ、山上部がスカッと
晴れ渡った。下界雲海状態だったので、町や丘からは見えなかったであろう丸いお月さまを、
ここからはオプタケシケ右肩から登るのを拝むことができた。
10月27日(金) 曇り時々晴れのち雨
今朝のクロちゃん現場は東京のOさんと、岡山のAさんの三名。この日は早朝から
クロちゃんの動きが活況で、越冬用のエサを運ぶところを何度か見せてくれた。
一方ノーマルは、まったく姿を見せない。
のち、私とOさんは昨日と同じ地点へ移動。いきなり現れた個体はすぐ近くまで
寄ってきて、これは、今日はすごいことになるのではと期待が高まるも、
それ以降は全く音沙汰なし。
Oさんは、知床へ移動するため昼前に切り上げた。その前に稚内へ立ち寄り、
妹さんちへ海鮮品を送付するという。どんだけフットワークが軽いんだ!
昼過ぎまで粘るつもりでコンビニのおにぎりを用意していた私だが、山上部に
雨雲らしき黒い雲が増え始めたので危険を感じ、11:00過ぎあえなく撤退した。
こちらの思い描くようにはいかないのが、動物撮影の難しさと面白さで、
まったくの空振りでないのでよしとしたい。
10月26日(木) 晴れ時々曇り
この日もまずはクロちゃんの現場へ。メンバーは東京のOさん、岡山のAさん、
それに地元旭川のNさんとの四名だ。
クロちゃんはそこそこ活動してくれたが、もう一匹いるはずのノーマルな個体は
とても神経質なたちのようで、チラッと姿を見せるだけですぐに隠れてしまう。
そして、さらに別の現場へ移動。昨日Oさんは、ここで頻繁に姿を現す個体と遭遇、
バッテリーを2本使い切るほど大量に撮影できたとのことで、我々もその恩恵に
被らせてもらうことになり、同行させていただいたのだ。
ところが、毎日同じようなリズムで登場しないのがナキウサギ撮影の難しいところ。
この日は最初まったく姿を見せず、それでもNさんが下山した10:30頃から
ようやく活動開始、それ以降、そこそこは撮影させてもらえた。(私が現場を離れた
13:00頃にはほとんど出なくなっていたのだが、それ以降も夕方まで粘り続けた
Oさんは、再び動きが活発になった個体を写せたそうだ。相性もあるだろうし、
熊に、シマフクロにと、動物写真撮影に長けているOさんの粘り勝ちなのだろう)
夕刻、美瑛岳の背後から月が登り始めた。
待ってましたとばかり、昨日発売された「サッポロクラシック・富良野VINTAGE」
を箱買いで購入した。道中外箱は邪魔になるので、お店で処分していただいた。
富良野産の摘みたて生ホップを使用したこの期間限定バージョンは、香りが豊潤で
とてもうまいのだ。プレミアム級のお味が、レギュラー品と同じ価格で楽しめる
のでお得感いっぱい、この日以降、道中このビールがお供となる。
10月25日(水) 曇りのち時々晴れ
先行し、いつもの場所で撮影しようとしていた私に、あとからやって来た神奈川のSさんと
岡山のAさんがクロちゃん生息地に行くというので便乗し、ついていくことになって、
先にそこで陣取っていた東京のOさんとも合流し、四人でかしましくしゃべり倒しながら
撮影した。
クロちゃんとは、普通茶色やグレーっぽい色合いのナキウサギなのに、なぜか(遺伝?
あるいは突然変異で?)黒っぽい毛並みをしている珍しい個体のナキウサギの愛称で、
ちなみに東京のTさんはこの子にご執心らしく、ここ数年、いただく年賀状はクロちゃん
がモデルのものばかりだった。
ほどなくしてクロちゃん登場、なるほどTさんが熱中するわけだ、黒い毛並みが特徴的
なのもなることながら、表情、仕草がとても愛くるしいのだ。
欲を言えば、雪の残っている季節感あるロケーションのいいところへ出てほしいのに、
ほかの個体同様、雪にはあまり近づかず、極力避けているのが不思議だ。シーズン初めで、
雪慣れしていないからなの?
いったん引き上げ、午後再び同じ場所を訪ねた。しかし不発で、ここには少なくともほかに
ノーマルな個体が一匹いるはずが、この子は必要以上に警戒心が強く、まったく写真を
撮らせてはくれない。Aさんと共にお手上げ状態なところへ、場所移動し、そこで朝から
ずっと居座り続けていたOさんが引き揚げてきた。そこの子は出ずっぱり状態だったそうで、
運不運が分かれてしまった。明日はOさんの運にあやかろうということで話がまとまった。
やや雲の多い一日だったが、夕方には青空が多くなり、斜光が山肌を照らしたのを
活かし、再度紅葉と雪山の取り合わせを撮影した。ダケカンバはほぼ葉を落としても、
ナナカマドはどうにか持ちこたえているのが不思議。諸々条件の良かった前回には
及ばないにせよ、過去には戻れないのだし、今できることを精一杯やるしかなかろう。
ハーフムーンよりも少し丸みを帯びた月が、十勝岳の稜線から顔を出した。
真夜中、月明かりに煌々と照らされた十勝連峰上空にオリオンが鎮座していたので、
夜間撮影してみた。雪解けが進み、もう少し雪が多く残っているタイミングで
この安定した晴天がほしかったところだが、これまた、ないものねだりだろう。
なきうさ観察パート2と3の合間、東川町の笹一で「鳥からポン酢がけ定食・950円」
をいただいた。
先週の判断ミスをまだ引きずっている中、望岳台付近の紅葉が、ここ数日の雪雨に耐え、
見頃は過ぎたもののまだ健在だったので、今回は早めに下山して、夕方の光を入れつつ、
リベンジ撮影しておいた。
これですっかり気を取り直せたわけじゃあないけどね。
今回、出だしからちょっとしたトラブルが相次いだ。まずは長年使ってきた旅行用バックの
ファスナー故障。この鞄は父から受け継いだもので、私が使いだしてからも10年以上
使い続けていた。大容量でたっぷり収納できたので気に入って使っていたが、生地の一部が
ほつれ始めていたし、このあたりが限界だったのだろう。続いて車のインテリジェンスキー
作動不良。冷え込んだ早朝、急にうんともすんとも言わなくなったので焦った。普段
マニュアル(メカニカルキー)で使うことがないので、慣れない操作にも手間取った。
結果としてはバッテリー(リチウムイオン電池)が消耗していただけだったらしく、気温が
上がるとまた正常に作動し始めたが、これを繰り返されても困るので、ホームセンターで
電池を購入、そのお店で精密ドライバーをお借りして、ふたをこじ開け自分で電池交換した。
旅先では、小さなトラブルでも普段とは違う環境で対応しなければならないので、正直かなり
うろたえてしまう。
10月24日(火) 晴れ時々曇り
なきうさ撮影現場へ入れたのは約一週間ぶり、昨夜までの冷たい雨が山上では
雪になったようで、新たな雪がうっすら積もっていた。
陽が登り始めるとナキちゃんの動きがやや活発になった。散りばめられたナナカマドの
赤い葉などと雪の取り合わせが美しい。しかし、9月ほど積極的に動き回ろうとしないので、
こういった絵になる場所へのナキちゃんの登場は、まずもって期待できそうになかった。
昨日までの不安定さがうそのようなものすごいピーカンで、雪化粧し直した旭岳が素晴らしく
きれいだった。
ナキちゃんあまり出没せず、いったん下山し、午後再び現場へ。しかし昼からもナキちゃんの
動きが悪く、たった一回顔を拝めただけだった。
一段下にいた岡山のAさんと東京のOさんと合流、こちらの状況はさらにひどく、一度も
出現していないという。その代わり去り際、ヤマゲラのオス(羽が薄緑色のキツツキの仲間、
私は見るのはこれが初めて)が飛んできて、岩壁にへばりついてエサとなる昆虫を探っている
様子を撮影できた。