旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

小さな旅~あしたの城の想い出

2012-09-01 20:43:01 | NHKに捧げる歌


今朝、テレビをつけたら「小さな旅」をやっていて、舞台はサロベツ原野~宗谷岬、
民宿「あしたの城(ジョー)」が出てきて驚きました。懐かしいなあ、もうずいぶん御無沙汰しているよ。
オーナー、髪は白髪になったけどあまり変わっていない、奥さんはさすがに老けたけど(失礼、30前後の
お若い頃を知っているので)、相変わらずおきれいでした。


あしたの城は、北海道の安宿の中でも老舗級、「とほ」ができる前から営業されています。
初めて訪れたのは無職の旅時代、二枚の周遊券を使っての北海道・夏編、5月終わりから
スタートした旅はずっと天気が良くて予定通りにスケジュールを消化して、一枚目の券が
期限切れの日に夜行で稚内へ。ここから周遊券空白の10日間で、礼文、利尻、浜頓別とまわり、
ここでもずっと天気が良くて、おしまいにサロベツ原野にたどり着いたら天気が悪化、この旅で初めて
天候回復待ちの「停滞」となり、ここで4連泊したんです。

原野の中にぽつんとたたずむ宿だけに、乗り物がないとにっちもさっちもいかないところ、
奥さんが稚内市で手芸を習っていて、これに出かけるのに便乗して、一緒にお出かけです。
喫茶「おてんきや」さんでひたすら粘り、奥さんを待ちました。これは私としては楽しいデートでしたが、
奥さんにとっては、単なる事務的な行動だったにすぎないんですがね。当時奥さんは
「荻野目洋子」似の美人として有名で?? 私の頭の中では、奥さんの顔と荻野目ちゃんが
完全にオーバーラップしちゃってるよ。喫茶店で一緒に撮った写真が、アルバムに貼られている
はずなんだけどなあ。オーナーとは一緒に温泉に行ったりしたけど、そちらの方は記憶が
ほとんど風化してたりして…

最初数名だった宿泊者が、悪天候でライダーたちが次々に停滞し出したので雪だるま式に
膨れ上がり、最後は20名前後いたんじゃないかな。建て替え前の古い小さな宿時代なので
居心地はけっしてよくなかったけど、ワイワイガヤガヤ楽しかったよ。待った甲斐あって、
最後はすっきり晴天に。レンタサイクルであちこちの展望台、沼など走り回り、最後は「夕日ツアー」。
利尻富士を背景に沈む夕日を皆で見ることができました。蜃気楼の浮島現象で、礼文島の端っこが
浮き上がって見えたな。


この宿でヘルパーのお誘いを受けました。当時私がヘルパーを依頼された宿は、みな奥さんが
美人なのが私の自慢です(で、それがどうしたわけ?)。周遊券を持っているので…と
お断りしたんだけど、その期限が終わってからでいいからぜひ!と切り返されてねえ。迷った末に、
結局それも断っちゃったんだけど、あとで考えるとやっとけばよかったなと後悔したりね。
若いうちに北海道に長期滞在する…もしかしたらその後の人生が大きく変わっていたかも
しれない。もっと強く移民を決意できたかもしれないし、逆に、それに満足して、きっぱりと
北への想いを断ち切ることができて、今のように中途半端にくすぶり続けなかったかもしれないし。
まあ、結果的には大きな変化はなかったにせよ、なにかしら財産にはなった気がするんですよね。

仕事は、掃除、調理補助、お客さんの駅への送迎。もしかして、夕日ツアーの案内も私が
していたんだろうか? 毎日毎日利尻に沈む夕日を見ていたら、大抵のことがどうでもよくなって、
人生放り投げられたかもしれないなあ。今もある意味崩壊しちゃってるけどさあ。


その後新築され立て直されたあしたの城、その時に訪れてからでも、もう20年以上経ちます。
たぶんすっかり忘れられてしまっているでしょうけど、また行ってみたいなあ。


過去の思い出に浸るのっていいねえ。この間、私の魂は嫌なことだらけの現世を離れ、
北の大地を彷徨っているんですから。



コメント (2)
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