アガサ・クリスティ名作シリーズの第二弾、「そして誰もいなくなった」を読んだ。
ここ数日は、早朝ナキウサギ観察、午後は図書館で読書三昧が日課となっていた。
大雨が降っているなどならともかく、観光ができないほどの悪天候でもないのに
旅先で図書館に引きこもるってどういうこと? 一般の観光客からしたら到底理解不能
な行動様式だろう。このところ、私の北海道での旅行スタイルは、すっかりこんなのが
定着してしまっている。いいのか悪いのか… アクティブさからすると評価は最下級、
しかし今の体力からして、できるだけ省エネモードで長丁場を乗り切るしかないのが
実情だ。また、日差しの強い日中は、車内は耐えがたい高温で、車中泊旅行者は、
こうした公共の空調の効いた室内で、おとなしくやり過ごすのがひとつ手段であろう。
そして~は超有名作品、NHKBSで放映されたドラマ版(BBC制作?)を見た記憶も
あり、そのくせ詳細なストーリーや犯人はすっかり忘れていたので、まるっきり
新鮮な気持ちで読むことができた。ドラマ版は、登場人物の心象風景(恐怖心など)
を視覚化(具象化)して描かれていて、それでオカルト色が強まり、怖くなって、
もしかしたら途中で見るのをやめてしまった可能性もある。
これ以降現代にいたるまで書き続けられている孤島を舞台にしたサスペンスは、
いずれもこの作品の影響をなんらか受けていると言って過言でないし、童謡の
歌詞にそって連続殺人が繰り広げられる「見立て殺人」みたいな仕掛けは、
横溝さんも何度も挑戦している。
もちろん意識してではなかったが、こうした歴史的名作を、これまで読まずに
過ごしてきたことが、今となっては正解だったと思ったりする。結果的に、老後の
楽しみにとっておいたことになるからだ。細かな文字を読むのがだんだんつらく
なってはきたが、できる限り読書を、旅、人生終盤のお供にできたらと考えている。
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