朝目覚めてカーテンを引くと、真っ白な雪景色であった。昨日から報じられていたが、本当に東京にも雪が積もったのだ。一日中降り続き、都心でも3センチぐらいは積もるようだ。この冬では2、3回目の雪であるが、このように積もったのは初めてで、珍しくもありうれしくもある。
すぐそばのコンビニに新聞を買いに行くにも傘をさして行ったが、
我が物と思えば軽し傘の雪 基 角
という風情はない。重く感じるほど積もりもしないし、そもそもそのような傘は”蛇の目”でなければ様にならない。白いビニール傘では色の感じも出やしない。
初めて積もった雪の上を歩くのなら、
初雪や二の字二の字の下駄の跡 捨 女
といきたいものだが、今や下駄などない(探せばあるにはあるのだが・・・)。濡れてもいいような古い靴をつっかけ、滑らないようにひょこひょこ歩いているのでは、これまたなんの風情もない。
それどころか、ワイフと二人で玄関周りの雪掻きをして、初めて積もった雪を片付けてしまった。物を配達してくれる人や、自転車で来る人たちに邪魔になる、というのがワイフの心配だ。都会人の生活には、少しの雪も邪魔なのだ。
書斎に落ち着くとまだ降り続き、猫の額のような庭に小さい雪景色が作り出されている。
このまま夕暮れを迎えれば、
おのづから雪見酒とはなりにけり 児玉南章
となるのであろうか・・・・・・。