旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

カボス、憲法9条、大江健三郎・・・

2008-08-23 15:40:05 | 時局雑感

 

 昨夜帰宅すると、ふるさと臼杵の弟からカボスが届いていた。毎年この時期になると送ってくれる「秋の知らせ」である。まだ硬くて、しっかり絞らないと汁の出ないカボスを、何度も絞りながらふるさとの香りを懐かしんだ。
 そのカボス箱の中から、一通の封書が出てきた。開くと、「憲法9条の会・うすき」が主催した大江健三郎氏の講演会の模様を伝える各新聞記事や写真が出てきた。実は私の弟(三弟)は、その会の代表を務めている。
 「憲法9条の会」の発起人の一人である大江氏が、宮崎まで来ることを知った弟は、絵手紙を書き「(大江氏も親しかった)野上弥生子生誕の地である臼杵に是非来てください」と依頼、大江氏の快諾を取り付けて開かれた講演会で、会場の臼杵市民会館は1100人の聴衆で埋まったようだ。
 大江氏は弥生子や漱石の『こころ』などから説き起こし、自分の成長段階を語りながら、「今現在、平和憲法9条、あるいは13条、25条を持っている国民として、今この憲法の下でしっかり生きていこうと考えている」と語り(7月21日付大分合同新聞)、この憲法を次の世代につないでいく必要性を強調したという。
 しかもその後の、中学生から老人まで各層の質問に丁寧に答えたという。
 臼杵は、大友宗麟や野上弥生子など豊富な歴史は持っているが、人口わずか3万数千人の小さい町である。大分や別府でなく、臼杵で開かれたノーベル賞作家の講演会に、ふるさとの人たちはどんな思いで臨んだのであろうか。
 そのお膳立てに力を尽くした弟の努力を多とすると共に、ふるさとの人たちが、大きく世界に眼を広げていく契機になることを願ってやまない。

 カボスのすがすがしい秋の香りにとともに、大江健三郎氏を含めた憲法9条を守ろうとする人々の、実にすがすがしいニュ-スが運ばれてきた。
 「国民投票も出来ない子供は、9条を守るために何が出来るのか」という中学生の質問に、「国民投票は出来ないが自分たちの運命がかかっている。『今、おれは子供の意見を述べる権利がある』と思ってほしい」と答えた大江氏の言葉に、未来へのつながりが感じ取れた。
                             


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