前回、ふるさと臼杵からカボスの届いたことを書いた。
カボスが届くとうれしいのは、毎晩の食事に不思議と魚介類が出てくることである。私がそれを望んでいることを十分承知のワイフの心使いであろうが、ワイフもそのような菜を望んでいるのであろうと思う。
カボスが着いた最初の晩は、「かますの塩焼き」であった。これは私の大好物の一つであるが、今年も、最初のカボスをかますに垂らして食べた。
次の夜は、かまぼこ、さつま揚げと豊富な野菜サラダなど・・・これらにもたっぷりかボスを絞って食べた。ねりものの好きな私へのワイフの配慮だ。
そして今日は、まぐろの刺身とアサリの酒蒸し。上等のとろを、わざわざ下高井戸(三つ先の駅)まで買いに行ったらしい。
総じて、素材の新しさが勝負だ。材料を煮込み、スープを造り、それらを混ぜ合わせてつくる外国の料理に比べ、日本料理は素材を生かす。
そして、その料理を最も際立たせるのが「季節の味」・・・たとえばカボスである。
以上の料理とカボスで飲んだ酒は、姫路の田中酒造場が造る「白鷺の城純米酒『天秤搾り稀代』」であった。山田錦100%、精米歩合60%で米の味を十分に生かした見事な純米酒である。日本酒度プラス4、酸度1.7、アルコール度数16.3度もちょうどいい。
米の味が生きる酒ほど、新鮮な魚介類を生かした日本料理にマッチする。そしてカボスの酸味が、それらの味の統合を引き立てる。
幸せなことである。