旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

オリンピックへ行きたいという気力 … 琵琶湖マラソンを見て

2012-03-04 15:19:00 | スポーツ

 

 ロンドンオリンピックのマラソン代表選考最後のレース琵琶湖マラソンは、文字通り「オリンピックに行きたい」という気力が様々に交錯し合ったレースであった。
 最有力視されていた堀瑞選手(旭化成)は、昨夏の世界選手権7位(日本人トップ)を機に成長著しいと宣伝され、旭化成ファンの私も全面的な期待を寄せていたが、その重圧に負けたのか30キロを過ぎてペースを落とし、最後は11位と惨敗してゴールに倒れ込んだ。
 その堀端を38
キロで抜いたのが中本健太郎(安川電機)。一時は堀端に30秒ぐらい遅れていたので、快調に堀端を抜くペースにロンドン行きを確信したが、これを追っかけた山本亮(佐川急便)という一般参加選手が、最後の競技場トラックレースで中本を追い抜いた。記録は2時間8分44秒。これまでの自己ベストが2時間12分台というので、失礼ではあるがノーマークであった。しかし、今日の琵琶湖の悪コンディション、そのレース運び、加えてこの記録ならロンドン行は確定だろう。
 レース後のインタビューで山本は、「ただ、オリンピックに行きたい、オリンピックに行きたいとだけ思って走った」と語っていた。「オリンピックに行きたい」と思えば一挙に8分台を出して日本人トップになれるのなら、誰でもそう思って走るだろうが、そう思えば誰でも勝てるというわけにはまいるまい。相応の資質や練習による実力がなければ出せる記録ではない。山本はその力を持っていたのであろうが、、なぜ彼の「オリンピックに行きたい」という気力が他を上回ったのだろうか?
 みんなオリンピックを目指した。堀端にはそれが重圧となり、これまで堀端に勝てなかった中本は初めて堀端を抜いて、「オリンピックを手にした」という一瞬のゆるみが生じたのかも知れない。 その点山本のオリンピックを求める気持ちは、もっとも純粋であったのかもしれない。
 勝負の機微ほど分からないものはない。


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