昨夜からの報道によれば、バドミントン競技最終予選において、決勝トーナメントでの有利な組み合わせを狙って「故意に負けようとする無気力試合」が演じられ、それらを演じた中国、韓国などの4チームが失格を宣告された模様だ。
サッカーなども同じであるが、予選リーグの一位チームと二位チームが決勝に進むが、それぞれ決勝トーナメントでどこの国(あるいはどこの国のグループ)と当るか組み合わせが分かる仕組みになっている。「一位になって強い国と当るのなら二位になって弱い相手と当る方がいい」というわけで故意に負けようとしたらしい。
人類最高のスポーツ競技オリンピックであってはならない話で、唾棄すべき事態だ。無気力試合といえば聞こえはいいが、その裏には「あわよくばメダルをかすめ取ってやろう」という悪意に満ちた「やる気満々」の気力が見える。そのような気力は、人類最高の栄誉を競う競技の場には全く無用である。そのようなチームを抱える国は、オリンピックに参加する資格などない。恐らくコーチや監督の指示でやったに違いないので、役員を含めた全員オリンピックから永久追放したい。
それにつけても、開会式におけるジャック・ロゲ会長の挨拶が今更ながら輝きを増す。私はすでに7月28日付ブログで、その強烈な印象について書いたが、「…評価さるべきは勝ったか負けたかではなく 、いかに戦ったかということである。メダルの価値より人格の方がはるかに尊い」 というあの演説は、この醜悪な事件を見越しての発言ではなかったのか?
中国や韓国の選手たち、いや役員や監督、コーチたちはこの挨拶を聞いていなかったのであろうか? また、連日報道されている感動のドラマ――惜しくもメダルに手が届かなくても、あるいは病を克服し、あるいは怪我に苦しみながらも全力を尽くして最後まで戦いを挑んでいる姿を、彼らは何と思っているのだろうか?
まさに「メダルよりも人格の方がはるかに尊い」のである。