ロンドンオリンピックの日本選手団の活躍は素晴らしかった。序盤の水泳などで女性群の活躍や団体競技に強みを発揮する姿を見て、何か従来と違うものを感じていたが、その期待は最後まで続いた。
メダル総数で過去最高の38個を勝ち取ったのはすごい。金メダル数による順位では下の方に並んでいるが、メダル総数の順位では6位ぐらいにつけており、決して引けを取らない。
私はそもそも金メダル主義をとらない。「金メダルを取って来い」なんて期待をかけられる選手が可哀そうだと常々思ってきた。金メダルが取れなくて泣いて謝る選手に対し、豊田泰光氏(元プロ野球選手)が日経新聞コラム(毎週木曜日)で次のように書いていた。
「取材を受ける側にあった私は選手の側に立ってしまう。『勝手に金メダル候補なんて祭り上げて期待したのはあんたたちでしょ、といっちゃえばいいんだよ』とか『誰に迷惑をかけたわけでもなし、すみませんなんて謝らなくていいんだよ』と心の中でつぶやく」
一位と二位、三位の差、もっと言えば四位、五位などの入賞者との差はどの程度あるのか? 金メダルと銀メダルの差なんて、あるいは0.01秒、、あるいは数ミリの差ではないか。世界が集まるオリンピックの規模の大きさからみて、それらは差たり得ない。「評価さるべきは勝ったか負けたかではなく、いかに戦ったかである」(ジャック・ロゲ)とするならば、メダル差を越えた評価がいくらでもある。
その中でなお国力を見るとすれば、私はメダル総獲得数を評価する。また、入賞者を含めた幅広い競技での活躍を評価する。日本は長い低迷の時期をたどっている。その扉を切り開くものは、幅広い種目で「何十年ぶりのメダル獲得」を重ねた、これら若者たちの力かもしれない。
少なくとも、今回オリンピックのメダル獲得数が過去の記録を越えたことは、日本の国力の新たな発展を予感させる。