猛烈な残暑が続いている。予報によれば今月いっぱい、最高気温が30度を、最低気温が25度を下回ることはないらしい。立秋を過ぎてすでに20日を越えるが、秋はまだ来そうにない。
「歌いつがれた日本の心・美しい言葉」と題して懐かしい日本の歌を連載してきた。春の歌5曲、夏の歌5曲を書いてきたので、秋の歌を書きたいと思っている。しかしこの暑さではとてもその気になれない。通年なら、8月の下旬ともなれば朝晩は涼しくなり、雨戸を開き冷たい風を迎え入れるとスズムシやマツムシの鳴き声が一緒に入ってくる。「ああ、秋が来たんだ」と季節を実感する。そして「歌いつがれた秋の歌」の最初の一つを書くはずであるが、今年は未だ夏が続く…。
そもそも虫の鳴き声も聞こえてこないようでは秋を実感することはできない。この暑さの中でも夜ともなれば虫は鳴いているのだろうか? 考えてみれば、今年はこれまで夜になっても雨戸をあけ放つことがない。熱帯夜を逃れるために窓を閉め切って一晩中冷房だ。鳴いているとしても虫の声が聞こえないはずだ。
季節の歯車は狂ってしまったのだろうか? ただ、先日秋田に向かった早朝のバスから見上げた空には、確かに“秋の雲”が高く浮かんでいたのだが…。もっともそれは、東北に近づくにつれて夏の雲に代わり、秋田も西馬音内も東京と変わりなく暑かったが。
8月17日早朝の関東の空(秋田行バスの中より)