バレンタインデー(2月14日)の前夜、娘から「お父さんにピッタシのチョコレートよ」と、『利き酒ショコラ』なるチョコレートをプレゼントされた。驚いて開けてみると、「厳選した蔵元の6種類の日本酒それぞれの特徴を凝縮したSAKEショコラ」として、次の六つの酒の説明書がついていた。
大阪呉春の『呉春特吟』、東京田村酒造の『田むら純米吟醸原酒』、青森西田酒造店の『田酒特別純米本生原酒』、愛知関谷酒造の『蓬莱泉純米大吟醸しぼりたて生原酒』、京都佐々木酒造の『聚楽第純米大吟醸』、岐阜中島醸造の『小左衛門純米大吟醸』の六つがそれである。
いずれも著名な銘柄で、しかもほとんどが純米酒であることに気をよくして、さっそく一つを取り上げ、噛み分けて味わった。言われてみれば、かすかな酒の香りがしないでもないが、芳醇、強烈なチョコレートの香りで、それぞれの酒を利きあてるどころではなかった。
しかし、何とも美味しいチョコレートであった。ウィスキーボンボンのように中に酒の液体が入っているというようなものではなく、中身の柔らかい部分に酒を凝縮してあるのだろうが、チョコの味を濃純な旨味に高めこそすれ、酒の味をそれぞれ味わうというまでにはいかない。しかしそれでいいのであろう。料理の味を高めるのに必ず酒が調味される原理と同じだろう。
それにしても面白い試みだと思った。それぞれの蔵の宣伝にいくら役だったかは分からないが、少なくともチョコレートの宣伝、売れ行きには寄与したであろう。丸の内の「ショコラティエ パレドール」の製作となっていた。
箱の帯には、日本酒らしく稲穂があしらわれていた。