今日の新聞に、昨日、発表された学習指導要領の改定案についての記事があった。主要教科で、授業が1割増となり、「ゆとり教育路線」の転換が特徴であるとされている。
藤川洋子の『なぜ特別支援教育か』(日本標準、2007年11月)を読んだ。藤川は、元家裁調査官で、2006年よりノートルダム女子大學心理学部教授。この本は、日本標準の教育フォーラムで話したものに加筆して作成された。目次は以下。
1.非行を通してみる発達障害
2.対人関係の発達とは
3.虐待を考える
4.なぜ特別支援教育か
5.特別支援の必要な子どもたち
6.回復から再生へ
7.対応上の留意点
8.社会に望まれること
いくつか頭に残ったところを摘記しておきたい。
「2.対人関係の発達」を発達過程をサリバンに即して記述している。
乳幼児期では、ボウルビィの母性剥奪理論の批判をしたラターの研究が、ナチスによって母親を殺された子どもの追跡的研究だったこと、児童精神医学や心理学の研究の歴史性社会性を考える。
小児期では、「悲しい」「悔しい」「情けない」「うらやましい」「腹立たしい」「いらいらする」といったネガティブな感情に、名前を付けるいことの重要性が指摘されていること。たとえば、「お兄ちゃんに負けて、悔しい」「ああいうことあできるのがうらやましい」「転んでしまった自分が情けない」と感じているのであろう子どもに対して、「悔しいね、だから、がんばろうね」「うらやましいね、だから教えてもらおうか」「情けないと思っているのね、誰かになぐさめてもらいたいね」といった細やかな言葉かけをすることによって、役立つ語彙が増えて、その言葉を手がかりに自分の感情が整理しやすくなる。
児童期の後、「前思春期」(8歳半から10歳の時期)を位置づけている。この「前思春期」に重要性を置いているように思われる。別の所で、「前思春期という時期に、親友と豊かな時間を共有できたかどうか、そこに共感性獲得のカギが隠されている、というのがサリバンの発達論の魅力です」と記している。治療論として言うと、「前思春期のやり直し」という考え方がある。
事例は、PDDの系統のものが多かった。アスペルガーなど。そこでも、「対人関係力」が重視され、それを作る上で小学校時代、なかでも小が高中学年、高学年がとても重要であると指摘されているのである。
対応の所では、「否定の命令文を避ける」というものがあって、胃カメラ体験で「ダメダメ息をとめちゃ」といわれて、パニックになったこと、そのときに「息が吸えますよ」といってもらって、救われたこと。さらに、「ハアハアしていたらダメ」といわれてまたどうしたらよいか解らなくなり、頭が真っ白になったとき、「肩の力、抜いてください。楽にしてください」といわれてやっと落ち着いた経験が語られていて、よくわかった。
その他、法教育の重要性・有効性、そして対人感覚の養成、ルールを作る体験などが指摘されていることも重要さと思う。
施設や第三者の活用として、「子どもは施設とか、全寮制の学校などでしばらく生活させて、その間に親が子どもとの関係を見直したり、子どもとうまくやる技術を弁巨言う知るということが考えられてもよい」と指摘していることも重要である。
藤川洋子の『なぜ特別支援教育か』(日本標準、2007年11月)を読んだ。藤川は、元家裁調査官で、2006年よりノートルダム女子大學心理学部教授。この本は、日本標準の教育フォーラムで話したものに加筆して作成された。目次は以下。
1.非行を通してみる発達障害
2.対人関係の発達とは
3.虐待を考える
4.なぜ特別支援教育か
5.特別支援の必要な子どもたち
6.回復から再生へ
7.対応上の留意点
8.社会に望まれること
いくつか頭に残ったところを摘記しておきたい。
「2.対人関係の発達」を発達過程をサリバンに即して記述している。
乳幼児期では、ボウルビィの母性剥奪理論の批判をしたラターの研究が、ナチスによって母親を殺された子どもの追跡的研究だったこと、児童精神医学や心理学の研究の歴史性社会性を考える。
小児期では、「悲しい」「悔しい」「情けない」「うらやましい」「腹立たしい」「いらいらする」といったネガティブな感情に、名前を付けるいことの重要性が指摘されていること。たとえば、「お兄ちゃんに負けて、悔しい」「ああいうことあできるのがうらやましい」「転んでしまった自分が情けない」と感じているのであろう子どもに対して、「悔しいね、だから、がんばろうね」「うらやましいね、だから教えてもらおうか」「情けないと思っているのね、誰かになぐさめてもらいたいね」といった細やかな言葉かけをすることによって、役立つ語彙が増えて、その言葉を手がかりに自分の感情が整理しやすくなる。
児童期の後、「前思春期」(8歳半から10歳の時期)を位置づけている。この「前思春期」に重要性を置いているように思われる。別の所で、「前思春期という時期に、親友と豊かな時間を共有できたかどうか、そこに共感性獲得のカギが隠されている、というのがサリバンの発達論の魅力です」と記している。治療論として言うと、「前思春期のやり直し」という考え方がある。
事例は、PDDの系統のものが多かった。アスペルガーなど。そこでも、「対人関係力」が重視され、それを作る上で小学校時代、なかでも小が高中学年、高学年がとても重要であると指摘されているのである。
対応の所では、「否定の命令文を避ける」というものがあって、胃カメラ体験で「ダメダメ息をとめちゃ」といわれて、パニックになったこと、そのときに「息が吸えますよ」といってもらって、救われたこと。さらに、「ハアハアしていたらダメ」といわれてまたどうしたらよいか解らなくなり、頭が真っ白になったとき、「肩の力、抜いてください。楽にしてください」といわれてやっと落ち着いた経験が語られていて、よくわかった。
その他、法教育の重要性・有効性、そして対人感覚の養成、ルールを作る体験などが指摘されていることも重要さと思う。
施設や第三者の活用として、「子どもは施設とか、全寮制の学校などでしばらく生活させて、その間に親が子どもとの関係を見直したり、子どもとうまくやる技術を弁巨言う知るということが考えられてもよい」と指摘していることも重要である。