もしこの事件が明るみに出なければ、今もニセ但馬牛、ニセ丹波地鶏は高値で売られ、高級食としてありがたがられていたことだろう。実に滑稽な話だ。他の名品、高級店とされているものにも似たり寄ったりのものもあるかもしれない。
日本人はブランドや権威に弱いし、周りに迎合しやすい。「高級」とされるものをありがたがり、「マズイ」と思っても裸の王様よろしく自分の味覚を疑われるのが怖くて「ウマイ」と言ってしまう。自称料理自慢が作ったものには「マズイ」とは口に出せず「ウマイ」と調子を合わせてしまう。そんな料理は往々にして多くが食べ残されていたりする。
人間の味覚は結構いい加減なものだし、地域の文化や習慣によっても「ウマイ」「マズイ」と感じるものは違ってくる。あのマツタケもヨーロッパ人は大半が「マズイ」と食わないそうだ。重要なのは、味の好みは人それぞれであるということを認めることなのだ。身近にあって自分がおいしいと思う食品を素直に食べればよい。
「高級」とされるものや「有機」ブランド、有名店に高い金を出してありがたがったり、わざわざ海外まで行って買ってきたり輸入したり、そんなことをして無駄なエネルギーを浪費していることも「地球温暖化」に少なからず寄与しているのだということを、環境にうるさい方々でさえ概して自覚していない。