毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 ますます深まる不況の中でワークシェアリングがいわれている。
 ここでも、何回か採り上げてきた。

 経営者側がすっと持ち出すこの方針に、危険性や問題点を指摘する声もある。
 ダイヤモンド社(1月21日)の「ワークシェアリング導入論に潜む二つの欺瞞」は、
 欺瞞として「政府が関わらないワークシェアリングは、単なる時短、賃金カットに過ぎない。」
 「例えば朝日新聞社説のように、工夫次第ではあたかもワークシェアリングに正規社員と非正規社員との格差是正の可能性があるかのような指摘がなされている点である。 」と指摘し、「ワークシェアリング導入論から浮かび上がるのは、正社員保護を核に堅固に組み上がった現行の労働ルールにメスを入れる必要性である」と結んでいる。
 一読あれ。

 トヨタ労組が今も賃上げを堂々と主張しているし、アメリカでは金融危機、不況対策におけるオバマや民主党の政策決定について、自動車労組の反発が足を引っ張っているらしい。

 視点が重要だと改めて感じる。

 ところで今日は、11時と11時15分から、岐阜地裁で被告岐阜県の住民訴訟。
 夕方16時半から、岐阜県庁裏金20年分返せの住民訴訟の弁護団会議。
 夜は懇談。
 
人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
ここのところ5位、6位あたり


●「8年半働いた 私は正社員」 派遣男性が三菱重工提訴  朝日
 2009年1月13日21時0分

 兵庫県高砂市の三菱重工業高砂製作所で約8年半働く派遣社員の圓山(まるやま)浩典さん(46)=同県加古川市=が13日、同社の正社員であることの確認を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。圓山さんは偽装請負状態だった3年前に派遣に切り替えられたが、3月末に派遣期限が切れるために提訴に踏み切った。

 偽装請負問題を受けて派遣に切り替えられた非正規雇用の労働者をめぐっては、今春一斉に3年の派遣可能期間の満期となる「09年問題」を迎える。世界的な景気後退で多くの企業がこの節目に直接雇用せずに「派遣切り」するとみられ、圓山さんのような立場の人たちの間で同様の訴えが広がる可能性がある。

 訴状によると、圓山さんは00年5月、三菱重工と発電用ガスタービンを作る業務請負契約を結んだ鉄工会社(高砂市)の社員として高砂製作所で働き始めた。06年4月、製作所側から直接指示を受ける偽装請負状態から3年間の派遣契約に切り替えられた。今年3月末に契約期限を迎えるが、三菱重工側は「今後の雇用形態は検討中」と回答したという。

 圓山さん側は「三菱重工の指揮下で8年半にわたって働き、労働時間なども管理されていた」と指摘。働き始めた00年5月の時点で事実上の労働契約が成立しており、三菱重工は原告を正社員として直接雇用すべきだと主張している。
 同製作所は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

 (参考 2008.12.31ブログ ●「雇い止めは違法」元派遣女性に東京地裁が画期的な判決)

●自動車業界 ワークシェアの動き トヨタなど、賃金カット  産経 2009年1月14日(水)16:15
 トヨタ自動車が2月以降国内全12工場で操業停止する計11日間のうち、2日間について賃金を2割カットする方向で調整していることが14日、わかった。マツダも今月から夜間操業を停止するのに伴い、賃金の一部カットに踏み切るほか、スズキも2月中の休業日増に対応した賃金カットについて労使が協議を進めている。自動車業界で、勤務時間と賃金をカットして雇用を確保する「ワークシェアリング」の動きが広がってきた。

 世界的な景気悪化から新車販売の低迷は深刻化。当初計画比の減産規模は、国内外でトヨタが100万台以上、スズキが27万5000台、マツダが20万台弱に上っている。

 トヨタは国内工場で、2~3月に通常の休みに上乗せする形で計11日間の操業停止日を設ける。これまでは操業を停止しても、おおむね「有給休暇」扱いとして賃金を全額支払ってきたが、収益が大幅に悪化していることも考慮し、うち2日間を2割の賃金カットとなる「休業日」に設定する。すでに労使が大筋合意している。対象は期間従業員を含む約3万5000人。

 マツダも1月から国内の全工場で夜間操業を取りやめたことに伴い、本社工場(広島県)など2工場に勤務する約1万人について賃金をカットする。社内規定に沿って、基本給が2割程度削減される見通しだ。

 スズキも2月中に相良工場(静岡県牧之原市)など国内6工場で平日に3~8日間の操業停止日を設定するが、休業日の従業員の給与の削減率などについて労使が協議中。「休業日を設定して1日あたりの生産量を増やすワークシェアリング的な動き」(トヨタ)が今後も国内製造業の間で広がりそうだ。
 労働基準法では、会社側の都合で休業日を設ける場合は「従業員に平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない」と定めている。

●マツダが「ワークシェア」導入、工場勤務の正社員1万人に  読売>
2009年1月14日(水)

 マツダは1月、工場勤務の正社員を対象に、雇用維持の代わりに勤務時間と給与をカットするワークシェアリングを導入した。
 自動車各社は新車販売の不振が深刻化しており、同様の動きが広がる可能性がある。

 対象は、本社工場(広島県)と防府工場(山口県)の完成車2工場に勤務する約1万人。従来は昼夜2交代制だったが、夜間操業を今月から中止し、1人あたりの勤務時間を半減した。

 マツダは人件費の削減額を明らかにしていないが、関係者によると、1月分の基本給が約2割削減されるという。時間外勤務や休日出勤などの手当も大幅に減るため、全体の削減額はさらに大きくなると見られる。2月以降も継続するかどうかは、新車の販売状況などを見ながら検討する。

 マツダは2009年3月末までに15万台規模を減産する方針を打ち出しており、派遣社員を1月末までに1500人削減して、500人にするなど、生産体制の見直しを進めていた。

●マツダも正社員賃金を2割程度カット 工場夜間停止で  朝日 2009年1月14日(水)11:24
 世界的な販売減で大幅減産に踏み切ったマツダは、生産現場で働く正社員1万人の賃金をカットする。工場の夜間操業休止で労働時間が実質的に半減したことに伴うもので、具体的な減額幅は公表していないが、休日分の基本給を約2割程度削減するとみられる。

 マツダは昨年10月以降、08年度の生産台数を14万8千台以上の規模で減産することを打ち出している。このため、1月いっぱいは本社工場(広島市・広島県府中町)と防府工場(山口県防府市)の夜間操業は休止している。工場の正社員は交代制で昼間と夜間の勤務に就いており、1月は「1週間働いて1週間休みの状態になる」(広報)ことから、12月に労使間で、休日分については社内規定に基づいて減額することで合意したという。

●ワークシェアリング導入論に潜む二つの欺瞞  辻広雅文(ダイヤモンド社論説委員)【第59回】 2009年01月21日
      ダイアモンド 2009年1月21日(水)11:15

 激しい雇用調整が進むなかで、「ワークシェアリング」がにわかに脚光を浴びている。労使あるいは社員同士が痛みを分かち合い、雇用を維持する助け合いのモデルとして、導入のための具体策を検討すべきだという指摘がさまざまになされている。大手新聞の社説も雇用問題解決の糸口になりえるとこぞって取り上げ、工夫次第では正規社員と非正規社員の格差まで是正できる可能性にすら言及している。

 だが、立場の異なる人々が救いを求めるかのごとくに賛意一色に染まる主張や制度ほど、落とし穴が隠されているものである。順を追って考えてみよう。

 不況で需要が大きく減退し、企業は生産調整をしなければならなくなった。仕事が減るのだから、経営者は二つの対応策を考える。第一に、雇用を削減する。第二に、雇用総数を維持する一方で、「時短」を導入する。「時短」をしたならば、その分を「賃金カット」したい。

 今回の世界同時不況による売上急減に対して、経営者たちはまず、派遣切りという第一の策を採った。さらに、ソニーや三洋電機のように、正社員の削減に踏み込むと明言している企業も少なくない。  

 他方、派遣を切った後、トヨタ自動車は第二の策を採用した。国内全12工場で操業停止する計11日間のうち2日間を休業日とし、労使はこの日の賃金を2割カットすることに合意したのである。この第二の策を、今日本ではワークシェアリングと呼んでいる。ちなみに、トヨタは過去に行った操業停止では、賃金は全額支払ってきた。今回は当然のように賃金カットに踏み込んだ。

 つまり、年初から御手洗冨士夫・経団連会長を初め経営者たちの多くがワークシェアリングに言及してきたのは、これまでは派遣などの非正規社員を中心に雇用調整してきたが、これからは何らかの形で正社員にも波及せざるを得ないという警告であった。そこには、正社員削減を明言している会社も少なくないのだから、削減されるのが嫌なのなら「時短」と「賃金カット」をセットで受け入れよ、というメッセージが込められていたのである。
   ()
 第一の策の衝撃が、第二の策を極めて導入しやすくしている。そして、「時短」と「賃金カット」を直接口にするより、「ワークシェアリング」と言い換えるほうが、雇用を守るというポジテイブなトーンがはるかに強い。経営者たちの戦術は、実に巧みである。
 
 そんな皮肉を言いたくなるのは、経営者たちも政府も、不勉強なのか理解していてあえて目をつむっているのか、ワークシェアリングの本来のあり方にいっこうに触れようとしないからだ。 

 守島基博・一橋大学大学院教授は、「ワークシェアリングは、労使に加えて政治の三者が関わらなければ長期的に制度として機能させることは難しい」と言う。経営者は雇用を維持する、労働側は時短、賃金カットを受け入れる。そして、政府は税制等を使って家計の教育費などを支援、補助する役目が期待されるのである。例えば、先進事例として知られるオランダモデルがそうだ。政府が関わらないワークシェアリングは、単なる時短、賃金カットに過ぎない。これが、一つ目の欺瞞だ。
 二つ目の欺瞞は、例えば朝日新聞社説のように、工夫次第ではあたかもワークシェアリングに正規社員と非正規社員との格差是正の可能性があるかのような指摘がなされている点である。

 10年前、文芸春秋の1999年10月号に、当時トヨタ自動車会長であり日経連会長でもあった奥田碩氏は、「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」という論文を寄稿した。リストラすれば株価が上がるといった風潮を憤慨し、企業にとって“従業員の長期雇用こそ最も重要な施策”であり、従業員が過剰になったとすればそれは経営者の責任であり、それらの人材を新しいビジネスに生かすのが経営者の義務である、と説き、それが守れぬ場合は当然、経営者は腹を切るべきだ、と強く主張している。

 現在はトヨタ相談役である奥田氏に、トヨタが派遣などの非正規社員を大幅に削減している現状をこの論文に照らし合わせてどう考えるか質問したら、いかなる答えが返ってくるだろうか。彼の本音は、「現実と論文の間には、何の矛盾もない。なぜならば、この論文にある従業員とは正規社員のことであるから」という思いだろうと推察される。

  ()
「企業に100の仕事がある。経営者はバブル崩壊後、その100をいかに少ない正社員でこなせるか限界まで絞り込むと同時に、プラスアルファの仕事量は派遣などの非正規社員で対処しようとしてきた。だから、プラスアルファの仕事がなくなれば非正規社員を切るのは当然だと考えるのだろう」と、前出の守島教授は指摘する。会計上、派遣の賃金が人件費ではなく物件費であることの意味は大きい。経営者の意識において、正社員は従業員であるが非正規社員はまったく別物の存在なのである。

 こうした意識が強い経営者が、例えば、正規社員の賃金を下げるなどして労働条件を下げ、それによって得られた原資を非正規社員の雇用費用に当てろ、それが新しいワークシェアリングだと言われたとして、意味するところがまったく理解できないであろうし、そうすることのインセンテイブは何ら働かないだろう。

 正規社員と非正規社員の格差是正を春闘方針に掲げる連合の高木剛会長ですら、「この問題をワークシェアリングで解決することは極めて難しい」と言う。高木会長が強調するのは、「正規社員と非正規社員の賃金をはじめとする待遇格差はあまりに大きい」点である。「それを埋めようとすると、正規社員の労働条件の大幅な切り下げとなる。正規社員が受け入れるはずがない」のである。

 言い換えれば、経営者と正規社員は互いに必要性を理解していて、強く結びつき、その結果、好況時においては非正規社員の待遇を低く抑え、不況期においては排除してしまう構造にある。

 私は、この正規社員と非正規社員のあまりの待遇格差が日本社会の最も深刻な問題である、と考えている。その理由と、その解決策をいくどとなく当コラムで書いてきた(【第13回】再度問う。正社員のクビを切れる改革は本当にタブーなのか?)。私たちは、正規社員の雇用保障をはじめとする現行労働法制に守られた既得権益を突き崩す改革に着手すべきである。
 ワークシェアリング導入論から浮かび上がるのは、正社員保護を核に堅固に組み上がった現行の労働ルールにメスを入れる必要性である。

 ●経済キーワード【ワークシェアリング】  経済キーワード から抜粋 ↓
 1ページ 【ワークシェアリングの意味と種類】
 その名の通り、仕事(ワーク)を分け合う(シェア)ということです。通常、仕事というと、正社員は平日9時から5時まで働く人がほとんどですが、この時間を変えようというのです。特に、日本では、現在の不況下での失業対策として期待されています。つまり、一人あたりの労働時間を短縮し、多くの人間で仕事を分け合うことにより、失業を解消しようというのです。

今までは、不況になって人件費を削減しようというと、リストラによって人員削減をしてきましたが、人員削減をせずに、各従業員の仕事を減らすことによって賃金を削減すれば、労務費の削減になるという発想です。

すでに、昨年12月に、三洋電機がワーク・シェアリングを導入することで会社と労働組合が合意したと報じられました。また、政府(厚生労働省)、経営者団体(日経連)、労働組合組織(連合)が、ワーク・シェアリングの具体策の検討しています。

日本では、不況の際の失業対策と思われがちなこのワーク・シェアリングですが、それ以外にも目的に応じていくつかの種類があるといわれています。

1.雇用維持型(緊急避難型)
不況の際の失業対策で行なわれるものです。現在、日本でも非常に注目されているものです。

2.雇用維持型(中高年雇用維持型)
定年後の雇用対策として行なわれるものです。

3.雇用創出型
法律で労働時間短縮を義務付けて、全国的に雇用人数を増加させるものです。

4.多様就業対応型
フルタイム以外にも、いろいろなパターンの就業ができるようにするものです。これにより、子育てをしながらでも仕事をしやすくなります。
なお、海外では、欧米で導入が進んでいますが、中でも、オランダはワークシェアリングに最も成功した国と言われています。現在では失業率は1-2%という脅威の実績です。

では、このワークシェアリングは、日本でも成功するのでしょうか?まず、欧米には、就業時間という観念が明確です。ですから、労働時間を分け合うということができます。しかし、日本のように、サービス残業が日常茶飯事に起こる社会では、労働時間の観念が明確ではないので、まずは、分け合う労働時間を明確にすることから始める必要があります。

また、オランダには、フルタイムの社員とパートタイムの社員の差別を禁止する法律があります。このようにパートタイムでも待遇が悪くならないようなシステムを作らないと、なかなかパートタイムになろうという人は現れません。

他にも、ワークシェアリングを行なうためには、業務領域が明確に決まっている必要がありますが、日本では業務領域が曖昧であることが多く、これも問題となりそうです。

以上のように考えると、日本の社会でワークシェアリングが根付くには解決すべき問題が多いように思われます。政府(厚生労働省)、経営者団体(日経連)、労働組合組織(連合)の検討していますが、なかなか、意見はまとまっていません。


コメント ( 0 ) | Trackback ( )