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てらまち・ねっと



 国は都合が悪いと、法律を変えてしまうことが時々ある。
 昨年秋から大きな問題に発展している学力テストの結果の公開、非公開のこともそうだ。

 たとえば。
 12月に秋田県の寺田典城知事が全国学力テストの市町村別成績を公表した。
 それに対して、文科省は「自治体の情報公開条例に対抗するには、例えば『学力調査法』といった手だてが必要になるかもしれない」強くけん制。
 地方自治体の情報公開条例に対抗して、国が法律を作って規制してしまおうというわけ。

 3年ほど前だったか、毎年3月末までに提出するべし、とされている政治団体の収支報告書についてもそう。
 以前から、国は秋(点検や集計が済んで公表できる時)までは公開しては駄目、と指示していた。
 でも、県の持っている文書だから県の情報公開条例に従ってすぐに出してと、「秋までだせません」という県に対して、こちらは論理だてた文書もつけて情報公開請求をしたら、岐阜県は4月なのに出してくれた。

 マスコミの人たちは、これはいい、(政治家の追及に早く)使えると喜んでいた。

 その後、関西で情報公開の裁判になって、「(秋より前でも)公開せよ」と判決が言い渡された。
 それを受けた国は、全国に徹底するのでなく、法律の方を変えて、「秋までは公表してはならない」としてしまった。
 だから、今は、「秋まで」は閉ざされてしまった。

 先日流れた報道。
 「政府は株式会社などの法人登記簿に記載した代表者の住所について、正当な利用目的がない限り非公開とする制度改正を検討する」

 また、法律を変えて制限を強くしてしまう。
 国家の権力者たちの常套手段。

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●文科相「立法で対抗も」 秋田県の学力テスト公表  日経 2008.12.27
 秋田県の寺田典城知事が全国学力テストの市町村別成績を公表したことについて、塩谷立文部科学相は26日の閣議後の記者会見で「自治体の情報公開条例に対抗するには、例えば『学力調査法』といった手だてが必要になるかもしれない」と述べた。

 塩谷文科相は「(秋田県内の)市町村教育委員会は公表に反対していた。知事の権限で黙って公開してしまうのは問題だ。公開することで教育をどうしたいのか分からず、公開のための公開になっている」と知事の対応を強く批判した。
 そのうえで「テストに参加しない市町村が出てきて、全員参加が崩れるのは問題だ。今は条例に対抗する手段はなく無力だが(非開示を徹底するためには)法的な対応が必要かもしれない」と、成績開示を禁止する法的措置を検討する可能性を示唆した。

●全国学力調査、秋田県内15教委「不参加も」 朝日 2008年12月27日8時25分
 全国学力調査の市町村別の結果が公表された秋田県で、県内25市町村教育委員会のうち、少なくとも15の教委が、来年度の参加について、見合わせを含めて検討することが26日分かった。朝日新聞が各教委に取材したところ、寺田典城知事が文部科学省の実施要領に反する形で公表に踏み切ったことへの反発が強く、態度を硬化させていた。

 不参加を含めて検討すると答えたのは15市町村。小・中学校とも1校の藤里町教委の古川弘昭教育長は「(町の成績が公表されると)次はどの子の成績がどうだ、という話にならないか。子どもたちを見る周りの目が心配だ」。大館市教委の仲沢鋭蔵教育長は「実施要領を無視された。県や県教委を信用できない」と話した。

 井川町や能代市など、すでに参加を決めていた教委も、「公表で事情が変わった」として再検討する。いずれの教委も年明け以降、、参加、不参加を決めるという。

 これまで学力調査に不参加だったのは、愛知県犬山市だけ。文科省は来年1月下旬までに各都道府県教委を通じて、全国の市町村教委の意向を聞くことにしている。

 また、塩谷文科相は26日、会見で「公開で何をしようとしているのか。知事が教育的にこういうことでやりたいというなら、教育委員会と話をすればいい。無視して独断で発表したのはやっぱり問題じゃないですか」と批判した。

●学力調査「公表なら参加せぬ」 秋田・藤里町が決定  朝日 2009年1月9日
 秋田県の寺田典城知事が全国学力調査の県内の市町村別の成績を公表した問題で、同県の藤里町教育委員会は8日、「公表するなら参加しない」という方針を委員の全会一致で決めた。国公立でこれまで不参加だったのは愛知県犬山市だけで、成績公表を理由に不参加の意思を示したのは藤里町が初めて。

 秋田県では、昨年末の朝日新聞の取材に対し、全25市町村教委のうち15教委が「不参加も含めて対応を検討する」と回答し、県教委が知事に「極めて遺憾」と申し入れる事態になっている。県内の町村教育長会は9日の臨時会議で4月実施の次回調査への対応について情報交換する予定で、離脱の動きは今後さらに広がる可能性もある。

 藤里町には小中学校が1校ずつしかなく、自治体別の成績はそのまま学校の成績を示す。同町の古川弘昭教育長は「具体的な数値を出して比較され、子どもたちがやる気を無くすと大変だ」と決定の理由を説明した。

 全国学力調査は小6と中3を対象に07年に開始。文部科学省は序列化や過度な競争を招かぬよう個別の成績を公表しないよう求めてきたが、寺田知事は昨年12月25日、「公教育は公開が原則」として市町村別の結果を県のホームページで公表した。同県は都道府県別成績が小学校で1位だが各教委は「無用な序列化につながる」と反発していた。

 調査について、鳥取県は09年度以降、請求があれば市町村別や学校別の成績を開示できるよう条例を改正しており、一部の教委に参加を再検討する動きが出ている。各地で離脱の動きが広がれば、全国調査という制度の根本が揺らぐ恐れがある。(伊藤綾)

●【日本の議論】全国学力テストの成績公表 序列化か、カンフル剤か
  産経 2008.12.28 12:00
 「実施要領は参加するに当たっての約束だから、約束は守ってくれなくちゃ困る」(塩谷文科相)のが、文科省の本音だ。

 次回の全国学力テストは21年4月21日。それまで情報開示はどのような展開をみせるのか、参加取りやめの市町村は出るのか。教育関係者だけでなく、一般国民の間でも、成績公表をめぐる議論を深めることが必要だろう。

【全国学力テスト】 子供の学力低下が指摘される中、全国的な状況把握と課題を明らかにするため、平成19年度から小学6年と中学3年の全員を対象に43年ぶりに実施。テストは国語と算数・数学の2教科で、それぞれ基礎的知識を問うA問題と活用力を調べるB問題の2種類。学習環境や生活習慣なども調査した。

■情報公開VS教育的配慮
 これに先立つ18日、鳥取県では来年度からの全国学力テスト市町村別・学校別成績の開示を可能にする情報公開条例の改正案が可決。埼玉県でも24日、県情報公開審査会が、市町村別と学校別の成績について「開示すべき」と判断し、県教育委員会に答申した。

 こうした動きに対し、塩谷文科相は26日、「公表をめぐって『教育的な配慮』と、『情報公開のための公開』という異なる議論が交錯している」との現状認識を示し、「情報公開条例に対し、実施要領は無力だ」と嘆いた。

 すべての“震源”となっている実施要領の配慮事項には、こう書かれている。
 「都道府県教委は、市町村名・学校名を明らかにした公表は行わない」「市町村教委は、個々の学校名を明らかにした公表は行わない」

 24日に決定された来年度の実施要領では、さらに、国から成績データの提供を受けた都道府県教委がそれを第三者機関に提供する場合、提供先も実施要領を守るのが前提という項目が加わった。大阪府の橋下知事や、秋田県の寺田知事は府県教委から提供された成績データを公表しており、知事たちに実施要領の網をかけるのが狙いだ。

 「知事を縛るつもりか」。文科省の“規制強化”方針が伝わった15日夜、橋下知事は早速反発し、翌16日には「文科省は本当にバカ。選挙で選ばれた文科相以外は全員、入れ替わった方がいい」と激しく批判した。

 18日には文科省を訪れ、萩生田光一政務官と会談。「(結果公表以降も)大阪では過度な競争とか、序列化は起きていない」と強調。萩生田政務官は「バカ」発言について「職員がショックを受けている」と撤回を求めたが、橋下知事は撤回しなかった。

■43年前の“あやまち”
 実施要領では、市町村や学校が自主的に自分の成績を公表する場合でも、結果を受けてどのような教育改善策を行うかも併せて示すことを求めている。数字が独り歩きしないよう、細心の注意を払うべきという姿勢だ。

 文科省はなぜここまで「序列化」「過度の競争」の懸念にこだわるのか。担当者らが必ず引き合いに出すのは、平成18年3月の小坂憲次文科相(当時)の国会答弁だ。

 「過去にあった学力調査における意見として、自校の成績を上げるために学力の差のある生徒に対して受けさせないというような事例が生じたりという弊害が指摘をされたこともあります」

 全国学力テストは平成19年4月、43年ぶりに実施された。復活に当たって、国会や有識者会議では以前の「過度の競争」を繰り返さないための慎重な議論が繰り返され、その結果が実施要領の配慮事項に集約されたという経緯がある。

 文科省としては「成績開示に踏み切る自治体が出てきても、実施から2年で早々に変えるわけにはいかない」(同省幹部)という事情があるのだ。

 さらに、成績公表基準をゆるめようとしない理由の一つには、橋下知事ら「公開派」の声が、教育現場ではノイジー・マイノリティー(声高な少数派)に過ぎないという現実がある。

■現場は「公表しないで」
 全国連合小学校長会の池田芳和会長は、文科省の有識者会議で、都道府県が各市町村の結果を公表することについて「数値だけが独り歩きし、結果だけが尊重されがちになる」と危惧した。全日本中学校長会の壷内明会長も足並みをそろえ、「学校名を明らかにした公表は序列化を招くだけだ」と訴えた。

 こうした不安は現場にも根強い。関西地区の小学校教諭の女性は「多くのデータから、子供一人ひとりの長所・短所が明確になるのは参考になる。しかし、いくらデータがきめ細やかでも、それに対応できるだけの人員も時間もない」とこぼす。
 その上で、「データ公表で周囲の地域と比較されると、『隣の地域よりもいい成績を』と保護者が要求してくることは避けられない。そのとき、今の状況では対応できない」と訴える。

 教師だけではなく、保護者も不安を訴える。
 日本PTA全国協議会の曽我邦彦会長は「全国一斉のテストだからこそ、データを使いたくなるのは当たり前。しかし、序列化が起きたとき、自分の子の順位も明確になってしまう。厳しい順位にいる子供の親ほど反対するのはやむを得ない」と話す。

■秋田の“前例”
 一方、秋田県の根岸均教育長は寺田知事と同様、公表推進派だ。文科省の有識者会議でも「公表してこそ、市町村や学校は、より充実した教育を実践できる。子供たちの学力の保証するためにも、公表は不可欠だ」と強調した。

 文科省が1839市区町村の教育委員会を対象に実施したアンケートでは、約6割にあたる1094教委が「調査結果を公表しない」と慎重な姿勢を示した。都道府県も、公表に前向きなのは、全体の4分の1以下のわずか11教委で、7割を超える34教委が「市町村別の公表はしなくてよい」と回答している。
 こうしてみると、公表に積極的な秋田県の姿勢はかなり異例といえるだろう。だが、それには理由がある。

 昭和39年度に実施された全国学力調査で、秋田県は各科目とも全国平均を下回るなど、成績は決して芳しくなかった。特に県内では、農村部が都市部よりも学力が低いという結果が出た。中3数学では、商業市街の平均点が49・6点に対し、山村地域では18・0点と30点以上もの差が開いていた。

 根岸教育長は「この結果を乗り越えて、今の秋田がある。教師も学校も市町村も、そして県も学力の全体的な底上げを図ろうと必死になった」と話す。 
 過熱な競争を生んだとして多くの教育関係者の中でトラウマになっていた全国学力調査が、秋田県ではプラス要因となっていた。

 今回の全国学力テストで、秋田県は小学生で全4科目がすべてトップ、中学生も1~3位に入った。それでも、自治体の間には、まだ差が生じている。19年度では、小6の「国語B」で、平均正答率が最も高い自治体で80・0%、一方、最も低い自治体は55・0%。小6の「算数B」でも、最も高い自治体と低い自治体との間で25・0ポイントの差があった。

 だからこそ、根岸教育長は公表の意義を力説する。「市町村の教育委員会は『十分に対策を取っている』というが、自分たちの置かれた状況を認識することが重要。地域を信頼してデータを公表することが、全体的にいい影響を与えるはず。出血している患者を止血するのは当然のこと。その義務が教師にはある」

■本当に序列化を招くのか
 塩谷文科相は「大方の国民は実施要領に納得していると思う。情報公開請求は、教育的な意味より、興味本位の方が強いのではないか」と疑問を呈する。それは本当だろうか。

 情報公開条例を改正した鳥取県の担当者は、文科省に対し、その狙いをこう説明したという。
 「鳥取は情報公開が進んでおり、そうした地域性の中で教育改善を進めるには、調査結果を開示する姿勢を示すことが必要だった」
 「学校だけで教育改善を進めることは難しい。県が開示することで請求者を含む地域のグループが独自の分析を行い、学校が一緒になって学校の改善に取り組むことが可能になる」

●記者の目:鳥取の学テ学校別開示、議論を=宇多川はるか   毎日 2009.1.12 鳥取支局
 鳥取県が09年度から、全国学力テスト(学テ)の市町村別と学校別データを条件付きで開示する。学校別は全国初となる。開示に向けた県情報公開条例の改正案は先月成立したが、そこへ至る経過は「迷走」というほかなかった。原因は、県教委と県議会が情報公開制度というルールを「軽視」し、開示による教育現場への悪影響を十分に検証しないまま、条例改正作業を進めたことだった。

 県議会は「開かれた県政」を標榜(ひょうぼう)する片山善博前知事時代の03年、県独自の学力調査のデータについて、個人の成績が察知されかねない「10人以下の学級のもの」を除いて開示するルールを定めた。この条例がある以上、学テについても請求があれば、市町村別、学校別データを開示することになり、県情報公開審議会は08年7月、学テの市町村別と学校別データについて「開示すべし」と答申した。

 しかし、県教委は翌8月、答申を覆して非開示を決定。「ルール無視」という批判の中、09年度以降について一転して開示の方針を決め、開示派と非開示派の双方が妥協できる案作りに腐心し始めた。

 作業はぶれ続けた。開示にあたって条件を付けることにしたが、その内容は「公表の制限」「序列化などを生じさせない配慮」「学校が識別されることで序列化や過度な競争などが生じないように情報を使用しなければならない」と変遷。結局、開示派からは「情報公開制度を曲げた」、教育現場からは「現場が混乱するだけ」と批判を浴びることになった。

 鳥取県では02~06年度に4回実施した学力調査の市町村別と学校別データを開示している。市町村別データを県教委のホームページで公開し、学校別データも請求があれば開示してきた。学テの開示を巡る県教委と県内19市町村教育長、PTA会長らとの意見交換会では、この時に弊害があったのかが再三問われた。

 報告されたのは、県東部の中学校長による「暴力行為が増えた」「結果が悪かったため教科担任に地域から批判が寄せられた」の2件だけだった。暴力行為について取材すると、校長は「内容の報告は受けていないが、あまりなかった暴力行為が年間約30件あった」と話した。しかし、暴力行為と開示との因果関係は「テスト結果が悪かったため自尊感情が傷つけられた」という推測でしかなかった。教科担任への批判も、開示の影響なのか判然としなかった。

 私は、開示するかどうかは、教育を取り囲む環境を考慮して地域ごとに決めればいいと思っている。しかし、鳥取県では、非開示の理由とされる「過度の競争や序列化」が漠然とした「懸念」のまま独り歩きしたように思えてならない。

 鳥取市の中川俊隆教育長は「開示したらどこの学校が最下位かという話になる」とし、石谷充・県中学校長会長は「『足を引っ張っている』といじめられる子供の顔が目に浮かぶ」と話す。一方、米子市内の養護学校長は「子供たちが自分の将来の選択肢を考えるためにも情報はあった方がいい」と語った。取材を通じて、保護者は「どちらかと言えば非開示」という声が多いように感じたが、「子供はどちらでもいいと言っている。教育関係者が過剰反応しているだけ」と話す父親もいた。

 情報公開の面からも、今回の条例改正の意味は決して小さくない。データ利用の一定の制限について県教委は「開示請求者のモラルに訴える規定で、知る権利を侵害しない」とするが、情報に誰でもアクセスできるようにして市民による参加や監視を促す情報公開の趣旨を曲げてしまったからだ。片山前知事は「これは情報公開ではなく、一部の人に限られるインサイダー情報だ」と痛烈に批判し、堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)も「情報公開制度の理念に反する。これでは、学校別開示のメリットより、デメリットの方が大きい」と指摘している。

 ルール違反はもう一つある。県教委と県は今後、データを開示した相手に配慮を求める「不適正な使用」を例示する「指針」を策定することにしているが、役人が情報公開の運用のあり方を決めることは、議会制民主主義のルールから外れてはいないだろうか。

 鳥取県の学テデータ開示論争は、教育現場への影響が本当にあるのかをあいまいにしたまま、県是として大事にしてきた情報公開制度をゆがめた形で一応決着した。しかし、このままでいいはずはない。もう一度議論をやり直し、「開示しても構わない」のなら使用制限を撤廃し、「不可」なら非開示情報にすべきだ。

●法人登記簿、代表者住所を原則非公開に 政府検討 悪用を懸念  日経 209.1.18
 政府は株式会社などの法人登記簿に記載した代表者の住所について、正当な利用目的がない限り非公開とする制度改正を検討する。登記簿は手数料を払えば閲覧や謄本の取得が可能。経済界から個人情報の悪用を懸念する声があがっており、図書館での公開情報に基づく昨年11月の元厚生次官の襲撃事件なども考慮した。

 全国の法務局が保管する法人登記簿は会社名や所在地、代表者の氏名と住所などを記載。政府内では「会社を被告とする訴訟手続き」などの理由がない限り、住所は非公開とする案を検討している。どういう場合に閲覧を認めるかの制度設計は、法務省や法相の諮問機関である法制審議会などで詰める。早ければ2009年度の会社法改正も視野におく。


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