名古屋市の議会の解散を求めるリコールは一昨日10月4日に署名簿を提出、一つずつの署名の「有効・無効」の審査段階になった。
その数46万人分。
集め方が特殊だったので、無効も多いと予測されている。
● この名古屋市選管の署名簿の審査の際の方針や方向について、過去の判例や行政実例に従って「有効・無効」の判断をするという当然の方向が報道されていた。
ところが、この数日、厳しくしていくとの報道。
(中日新聞) 従来の判例や行政上の実例に従えば、名前の一部誤記や住所番地、生年月日の一部欠落があっても、ほかの項目が正しければ有効となるが、今回は無効と判断する。
(毎日新聞) 市選管は当初、国が示した行政実例などを基に、住所、氏名、生年月日のいずれかに誤字や脱字などがあっても場合によっては有効とする方針だった。しかし、・・4日の市選管の会合でも委員から「行政実例は基準が明確でなく、区によって判断が分かれる」「対面で本人が署名するのに誤字はありえない」などの意見が相次いだ。
行政機関は、過去の「判例」やその認識や当然の解釈に基づく旧自治省の「見解」(行政実例という)に従うのが原則の姿勢。
にもかかわらず、判例にも従わないというのだ。
「行政実例」はそのときの行政の解釈とはいえ、判例は基本的には中立な解釈というべき。
私のWebでは、関連する判例や行政実例の詳しくは次に整理してある。
《直接請求における署名の住民側から見た注意事項などのまとめ》
◎PDF A4版 4ページ 183KB ◎テキスト 8KB
ほか、9月19日ブログ⇒ ◆名古屋・リコール報道の問題点/間違い記事にまどわされるな
9月20日ブログ⇒ ◆ここ山県市のリコールの書類/選挙に関する選管と警察の「見解」/とはいえ修正・変更もある
◆ ともかく、「違法」に「無効にされた署名」が出た場合、その「署名の無効の決定」に異議を申し立て、場合によっては裁判で決着をつけるしかない。ただし、その権利があるのは、「無効と認定された当該署名者」「その署名簿を管理した受任者」「請求代表者」になるのだろうと推測する。
いずれにしても、その手続きは、「今の結果を求めているリコール請求」にはなじまない。
なぜなら、決着には時間がかかるからだ。
例えば、放射性廃棄物問題でゆれた高知県東洋町。
2007年3月に町長リコールが起こされた。
署名数は足りたけれど、「代表が不適格で手続的に無効」と訴えられ、最初は「署名は無効」との決定が出た。その後、最終的には、最高裁は無効を取り消し「有効」とした。この確定までに2年半近く。
順番では、ここで凍結されていた、住民による「リコール投票」になる。でもこのときは既に、新町長に替わっていた。
(関連 2009年11月18日ブログ⇒ ◆速報/きょう、大法廷で最高裁判例見直/高知県東洋町議リコール手続き訴訟/署名無効決定を取り消す )
★ とはいえ、今回の名古屋の選管の読みは違うだろう。
私の推測。
「有効無効に異議が出ても、それは一部の署名についてだけなので、法定数に足りれば全体の進行に影響しない。
仮に、足りなければ異議が出る余地はあるが、「今のリコール」を求めてなされた今回の市長主導の運動であることからすれば、「決着」する場を裁判所にはもっていかない。
だから、経過はともかく結論として、審査を通常通りにやっても、厳しくやっても状況に変わりはない、そういう功利的かつ政治的な判断をしたのではないか。
(もちろん、許されることではない)
こんな名古屋市の今の状況を記録・整理した。
なお今晩のNHKのクローズアップ現代は、「市長VS議会 ~地方政治 現場で何が~」という番組を流すらしい。再放送は深夜。
そうそう、昨夜のクローズアップ現代は「イクメン」、つまり「育児する男性」のことをとりあげていた。
タイトルは「“イクメン”で行こう! ~男の育児が社会を変える~」
私も、下の子二人は私が意識的に家でとりあげて(今でいえば「アクティブ・バース」か)、子育ても料理もやってきた。
とはいえ、今の「イクメン」、視点が違ってきていることもあると感じた。そんなことは、また改めて・・・
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5位、6位あたり
2010年10月 6日(水)放送 19:30~ ジャンル:政治 地域
市長VS議会
~地方政治 現場で何が~ (NO.2945)
NHK クローズアップ現代 放送予定

「市民税減税」「議員報酬の半減」などをめぐり市長と議会の全面対決が続く名古屋市。市長が議会を招集せず専決処分を乱発した鹿児島県阿久根市。首長と議会が協調し安定的な議会運営をめざす自治体が多い中、急進的な首長とそれに反発する議会の対立の行方が注目を浴びている。
名古屋では、“庶民革命”を掲げる河村市長側が猛反発する市議会の解散を目指して署名活動を呼びかけ、9月27日に署名活動は終了。市長側は解散請求に必要な36万6000人分を越えたとしているが、すべてが有効な署名か、今後チェックされる。
一方、一連の対立を受けて、全国の地方議会議員の間に、議会が十分に機能を発揮しておらず、それによって風当たりが強まっているとの危機感が広がっている。「市民目線に立って議員立法などにもっと取り組まなければ、議会の存在意義が問われる」と変革に向けた動きが起きている。地方自治とは何か、議会の役割とは何か…。市長と議会の対立が何を問いかけているのか考える。
新藤 宗幸さん(千葉大学法経学部教授) |
●名古屋市議会:リコール署名、46万5000人分 市長と議長、互いに注文 /愛知
毎日新聞 2010年10月5日
約46万5000人分の名古屋市議会解散請求(リコール)署名が各区の選挙管理委員会に提出された4日、河村たかし市長は会見で、「署名した人の民意を重く受け止めて」と市議会に求めた。これに対し、横井利明議長も会見で「市長の進め方に疑問を持つ市民もいる」と指摘。互いの姿勢に注文を付け合った。【高橋恵子】
◇市長「民意を受け止めて」
「署名していただいた皆さん、暑い中運動していただいた皆さん。サンキューベリーベリーベリーマッチ」。感謝の言葉を述べる河村市長は意気揚々としていた。
署名運動をした1カ月間を振り返り、「どえらい疲れた。精神的なプレッシャーもあった」。その上で「(市民が)『私が名前を書くことで議会を変える一歩になる』と気付かれて署名をしたことが大きい」と、多くの署名が集まった要因を分析した。議会に対しては「民主主義の生まれいずる苦しみを(市民は)良くぞ突破された。議会は民意を重く受け止めてほしい」と求めた。
河村市長は、以前から公言している通り、市議選に地域政党「減税日本」から40人の候補を擁立する強気の姿勢を崩していない。「4年に1回の選挙があるが、特定の争点では争われていない。これがきっかけに住民投票が広がれば」と期待した。
◇議長「疑問持つ人もいる」
横井議長は「大変重い数字と受け止めている。さらに議会改革をしたい」と語る一方で、「署名の数ほどの市長への民意は感じない。むしろ市長の進め方にも疑問を持っている人は結構いる」と市長への対抗姿勢を崩さなかった。
署名期間中は、超党派でのシンポジウムや街頭活動で恒久減税に対する考え方などを説明してきた議会側。横井議長は「署名をした人の気持ちも受け止めなければならない」と話し、議会改革に意欲を示した。
リコールという手法を取った河村市長に、横井議長は「二元代表制の中で、市長から不当な圧力をかけるべきではない。市長にも話し合いの原点に立ってほしいと改めて感じた」と批判した。一方、報道陣から河村市長への不信任を出さなかった議会側の対応を問われると、「気に入らんから『不信任だ』『議会解散だ』ではいけない。議論を尽くすのが議会だ」と反論した。
●名古屋市議会リコール署名の審査が始まる
日テレ 2010年10月5日 17:05
名古屋市議会のリコールを求める46万5000人を超える署名について、5日から本格的な審査が始まった。
名古屋市の千種区役所では5日朝から、担当の職員が提出された署名のコピーをとり、記載漏れがないかなど確認を行っている。
名古屋市選挙管理委員会が4日に受理した署名の数は計46万5582人分で、名古屋市の有権者の4人に1人が署名した計算になる。このうち、無効になるのが9万9787人以下ならリコールの成立に必要な署名数が確保されることになり、市議会解散の是非を問う住民投票が実施される。
有効な署名数は24日までには明らかになる予定。
●名古屋市議会:リコール署名、誤記は無効 選管が方針転換
毎日新聞 2010年10月5日 1時30分
名古屋市選管は5日、河村たかし市長の支援団体が提出した議会解散請求(リコール)の署名数を46万5582人と発表した。このうち無効が21%にあたる9万9787人以下なら法定数の36万5795人に届き、住民投票が可能になる。一方、市選管は4日、審査にあたって誤記載をすべて無効とすることを決め、作業を行う市内16区の選管に通知した。一部誤記載があっても有効と認める方針だったが、一転して厳格にした。【丸山進、高橋恵子】
市選管は当初、国が示した行政実例などを基に、住所、氏名、生年月日のいずれかに誤字や脱字などがあっても場合によっては有効とする方針だった。しかし、市民から「基準が甘すぎる」との指摘が複数寄せられ、4日の市選管の会合でも委員から「行政実例は基準が明確でなく、区によって判断が分かれる」「対面で本人が署名するのに誤字はありえない」などの意見が相次いだ。
このため、これまで有効とする方針だった▽生年月日が1日違い▽氏名に誤字があるが住所や生年月日は正しい--などのケースはいずれも無効と決めた。伊藤年一委員長は「市民の関心も高いので、原点に立ち返ってより厳正・厳格に審査しないといけない」と述べた。
●リコール署名、一部誤記でも無効 名古屋市選管、厳正に審査
中日 2010年10月5日 02時02分
名古屋市の河村たかし市長が主導する市議会の解散請求(リコール)で、各区選管は、4日提出された署名数を5日未明までかけて確認し、市全体で46万5582人分を受理した。仮に20%が無効でも住民投票に必要な数を満たし、河村市長は「名古屋ミラクルだ」と自賛した。市選管は「厳正な審査を徹底する」との考えを示し、無効署名の数が今後の焦点となる。
受理数は発表された提出数より197人分増えた。住民投票に必要なのは36万5795人分以上。20日間以内に1件ずつの署名を審査し25日には全市の有効署名数を発表する。
市選管は伊藤年一委員長の談話で「住所、氏名、生年月日の各項目が選挙人名簿と一致しない署名は無効」との審査基準を発表。
従来の判例や行政上の実例に従えば、名前の一部誤記や住所番地、生年月日の一部欠落があっても、ほかの項目が正しければ有効となるが、今回は無効と判断する。伊藤委員長は本紙の取材に「判例もあるが、必ずしも明確ではない部分がある。対面の署名集めで自分の名前や住所を間違えるとは考えづらく、明確な基準を設けた」と説明した。(中日新聞)
●署名集め、終盤加速 名古屋市議会リコール、序盤は混乱
朝日 2010年10月5日
名古屋市議会のリコールを求める46万5千人分の署名が4日、市選挙管理委員会に提出された。225万都市での前代未聞の署名集め。河村たかし市長や支援者はこの1カ月間、有権者の約4分の1を超える署名をどう集めたのか。
署名の提出を終えた4日午後、市長の支援団体「ネットワーク河村市長」は記者会見を開いた。広報担当の平野一夫氏は冒頭、「われわれ自身の反省が第一。署名したくてもできなかった人がいた」と態勢の不備をわびた。
1カ月にわたる署名集めは「見切り発車」で始まった。
8月27日。市選挙管理委員会から署名集めの開始を認める証明書の交付を受けたネットワークの担当者は、報道陣に対して「今日から庶民革命の開始です」と高らかに宣言した。だが、関係者の間には「準備が間に合っていない」との不安が漂っていた。市内16区ごとに設ける事務所の準備や、署名集め役となる約4万5千人の「受任者」に対する十分な手順の説明など、様々なことが整わないままのスタートだった。
ネットワーク側は「受任者1人が1カ月に10人集めれば成立する」という算段を立てていた。ふたを開けてみると、受任者全員が戸別訪問で期待通り活動しているという状況にはほど遠く、「実際に動いているのは2千人程度」(関係者)だった。
開始11日目までの署名は5万5245人分にとどまるなど出遅れが目立ち、市長の「応援団長」を務める俳優の菅原文太氏が「一番最初の作戦のミスがあった。市長のスタッフはあかん」と苦言を呈する場面もあった。
署名集めのルールの複雑さも混乱に拍車をかけた。署名集めは「対面で集めなければならない」「受任者は自身が住む区の住民の署名しか集められない」などの取り決めがある。しかし、受任者の知識不足のためか、一部でルールが徹底されず、違法な署名集めの通報が市選管に相次いだ。8月31日には異例の選管委員長談話が発表され、適正な署名集めを呼びかける事態にも至った。
それでも、河村市長は、朝日新聞をはじめとする報道各社が実施した世論調査で市長支持率が7割あったことを支えに「署名をしたいという潜在的な需要はある」と、希望を失わなかったという。9月18日からは市内の全駅や全区役所前に署名会場を設置。20日には橋下徹・大阪府知事の応援も得て、後半で街頭署名を中心に署名数を伸ばし、24日には「30万超え」の発表にこぎつけた。
27日の署名集め終了後は、未回収のまま受任者の手元に残っている署名簿の回収に全力を挙げた。29日夜には河村市長自らも街頭で署名回収を呼びかけ、ギリギリまで署名の上積みを図った。
署名が集まった理由について、河村市長は4日の会見で「中核は議員報酬(の高さ)でしょう。市民の皆さん、安月給で何とか工夫しながらみんな生きとる。だけど議員さんは自分で決める。日本中に広がる政治に対する怒りがあった」と話した。(寺西哲生)
●閉塞社会に風穴を開けた「46万5,385人の署名」~名古屋市議会リコール
データ・マックス 自立する地域社会 2010年10月 5日 09:00
●名古屋市議会:高まる「自主解散」の声 11月定例会中?
毎日新聞 2010年10月5日
「民意を受け止めて」と求める河村市長 河村たかし名古屋市長の支援団体が4日、法定数を大幅に上回るリコール署名を選管に提出したのを受け、市議会内では「11月定例会中にも自主解散すべきだ」との声が急速に高まっている。
河村市長は、リコールによる出直し市議選と自身の辞職による市長選を、11年2月に予定される愛知県知事選と合わせてトリプル選にする狙い。ある民主市議は「これまで(市長サイドは)署名運動にかかりきりだったが、今度は目標が選挙に変わる。2月まで待つのは我々が不利だ」と説明する。このまま住民投票を経て2月選挙になれば、市長が代表を務める地域政党「減税日本」の市議候補の選挙準備が整うため、その前に「先手を打って自主解散するのが得策」というわけだ。
別の民主市議は「みんなの党の存在も脅威」と打ち明ける。みんなの党が知事選と次期市議選への候補者擁立を表明したため、知事選との同日選になった場合、相乗効果で市議選でも票が同党候補に流れることを警戒する。自民市議の一人は「住民投票には金がかかる。これだけ署名が集まったのだから早く民意を問えばいい」と訴える。
地方議会の自主解散を認めた「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」に基づき、議員数の4分の3以上が出席し、5分の4以上が同意すると議会は解散に至る。【高橋恵子】
●追い込まれるなら…名古屋市議会に自主解散論
2010年10月5日09時53分 読売新聞
名古屋市議会の解散請求(リコール)運動で、河村たかし市長の支援団体が4日、法定数を大幅に上回る46万5582人分の署名簿を提出したことに、議会側からは「解散に追い込まれるぐらいなら、自主解散を検討すべきだ」との声が出始めた。
リコール運動に対し、議会側は民主党市議団が中心になって、市長の対抗馬の擁立と不信任案提出を模索してきた。しかし、出馬要請した同党衆院議員に固辞されるなど、擁立は難航。さらに、46万人超の署名が集まったこともあり、「住民投票で『ノー』を突きつけられるぐらいなら、自主解散に打って出るべきだ」などと、一部の市議から声が上がっている。
市議会側は署名簿の審査が終わる24日までは表向き静観する構えだが、「法定数を超えることが確実になれば、自主解散の動きは加速するだろう」(中堅市議)という。その場合、11月中旬に開会する11月議会の冒頭か、会期末が自主解散の時期とみられている。
また、河村市長は、自らが代表を務める地域政党「減税日本」の候補者を40人以上擁立し、“チルドレン”の過半数以上の当選をもくろむが、候補者選びは遅れており、ベテラン市議の一人は「市長側の態勢が整う前に選挙をする方が得策だ」と打ち明ける。
地方議会の解散を定める特例法によると、自主解散には4分の3以上の議員が出席した上、5分の4以上の賛成が必要。名古屋市議会の場合、民主(27人)と自民(23人)に加え、公明(14人)か共産(8人)が出席し、8割以上が賛成すれば可能で、40日以内の出直し市議選は12月下旬か1月中旬となる。ただ、公明、共産には慎重な意見もあり、実現するかは流動的だ。
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