共同通信「検証・中国漁船衝突事件」から
●逮捕報告「なぜ6時間後だ」 首相一括、時刻を修正 代表選の最中 野党追及懸念
(岐阜新聞10月11日朝刊1面トップから)
・・・ 衝突事件をテーマにした衆院予算委員会集中審議を翌日に控えた9月29日午後。政府関係者によると、首相菅直人は答弁準備のため官邸執務室に秘書官らを招集。政府対応をまとめた答弁書に目を通すや、いきなり怒鳴り声を上げた。船長逮捕は同8日午前2時3分。菅への報告は、夜が明けた「午前8時」と明記されていた。
「何だ、これは。おれが逮捕後6時間も知らなかったということでは、『総理は何をしていたのか』と言われるに決まっているだろっ」。
野党の追及を懸念した菅は続けた。「おれのところには、いろいろな報告が来るから、誰が何を言ってきたかいちいち覚えていないが、おまえたちのうちの誰かが『そろそろ逮捕します』と言ってきたはずだ。なあ、そうだろう?」
うつむき加減でひと言も発しない官邸スタッフの面々。結局、答弁資料は「修正」され、誰が伝えたのか不明確なまま「8日午前0時ごろ、総理に逮捕方針を報告」との一文が付け加えられた、という。 ・・・
●中国漁船・尖閣領海内接触:検証 船長の釈放/衝突の経緯/逮捕の判断
毎日新聞 2010年10月1日 東京朝刊
<検証>
船長逮捕を主張した海保には実はハードルもあった。巡視船への衝突を公務執行妨害容疑で立件した経験がなかったのだ。
ただ、海上保安庁と同じころ届いたビデオを見た那覇地検の判断は違った。「ばっちり撮れている。公務執行妨害でいこう」。漁船と「みずき」のGPSデータから航跡を描くと、巡視船は直線なのに対し、漁船は左へ曲がるカーブを描いていた。尖閣の領海内で外国漁船を初めて立件する証拠は固い--。地検側の強い意志のもと、検察と海保の腹は決まった。
その後、午後4時40分と同9時ごろに、官邸で関係官庁の非公式会議が開かれた。2回目の会議。海保側からビデオでの説明と公務執行妨害容疑で逮捕状を請求する方針が、仙谷由人官房長官にも示された。10時半、逮捕状が請求された。
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