昨年12月リコール投票で市長が失職した鹿児島県阿久根市。
その市長選挙が始まった。
報道では、新人の西平氏が少しリード、という。
「現職優位」がたいていの選挙なので、竹原前市長に見込みがないわけでもない。
経過からして、「注目」の選挙の一つであるのは間違いない。
ところで、12月から市長の失職で職務代行者となっている仙波副市長が、1月になって、「(1月21日までは)議会開会中」であるにもかかわらず、議案を提案せずに「補正予算を専決」したという。
過去は、議会が開かれていないときに「専決」していたのに。
ここまでくると「法律違反」は疑いない。
総務大臣の片山氏は「議会を開会していて、議案を出さないで専決するというのはあり得ない。何を考えているのか。二元代表制を踏みにじるという議会側の批判が出ているが、それ以前の問題だ」と批判している(産経新聞/1月5日)。
この副市長、成人式の挨拶では、失職している市長・市政を称賛する話をして、賛否を呼んでいる。
他にも、保育園の民間委託を保護者に「通告」して、反発を受けている。
ところで、「ブログ市長」と冠されて来た竹原市長、選挙前も選挙中も、何も発信していないようだ。
住民至上主義/竹原信一市長のブログ
「 明日は死ぬつもりで、今できる事をひとつだけ 」
人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
6位あたり
●選挙:鹿児島・阿久根市長選 告示 市民二分、熱く 「騒動終わって」の声も
毎日新聞 2011年1月10日
支持を呼び掛ける竹原信一氏(左)と、
「対立より対話を」と訴える西平良将氏
市役所や市議会の「改革」をうたい、特異な手法を続けた竹原市政の是非を争点に9日告示された鹿児島県阿久根市の出直し市長選。元リコール委員会監事の養鶏業、西平良将氏(37)と竹原信一前市長(51)による舌戦が始まった。議会出席を拒否し議会招集をも拒んで専決処分を乱発する市長、その竹原氏が解職され、今度は市議会解散を目指す運動--。08年秋の竹原市政スタート以来、混迷を重ねる中で2年半近く市を二分してきた戦いは、最大の節目を迎えた。【馬場茂、村尾哲、川島紘一、黒澤敬太郎】
西平氏は午前9時、阿久根市港町の事務所前で第一声。小雨の中、市長リコール署名運動を担った若者ら約500人が集まった。
「阿久根はどうなるのかという憂いをこの1年間、いろんな方々から聞いてきた」と、監事を務めたリコール運動を振り返った西平氏は「私は阿久根を盛り上げ、新しく変えていきたい」と訴えた。
竹原氏は午前9時、同市赤瀬川の事務所前に約200人を集めて出陣式。大勢の報道陣を横目に「メディアがこんなに来ており、全国が注目している」と切り出した。
「私が目指してきたことは社会の真実の姿を知っていただくこと。公務員はどれだけ給料をもらっているかを隠し、特権をさらに拡大しようとし、政治家とも裏で手をつないでいる」と公務員批判。「改革」継続を呼び掛けた。
◇
出直し市長選の激戦ぶりそのままに阿久根市民の意見も二分されている。
同市の旅館業の女性(74)は「ごみ袋代が少し安くなったからといって生活が楽になるわけではない。竹原さんは水産業、農業を活性化させ、観光客を呼び込む努力をしていない」と竹原市政を批判。同市赤瀬川の主婦(34)は「若い世代が引っ張って阿久根を元気にしてほしい」と期待を込めた。
一方、竹原氏の写真をプリントしたTシャツを着た同市大川、大工、大田勇一さん(62)は「公務員と民間との格差を是正して、改革ができるのは竹原さんしかいない」と熱っぽく語った。同じく同市大川の女性(71)は「竹原さんが市長になってから市職員の対応が良くなった。待ち時間も少ないし丁寧に説明してくれる。批判されているが、目に見える結果が出ているからいいのでは」と話した。
ただ、08年夏から市議選、住民投票も含め5度目の「選挙」に食傷気味の声も。同市波留の自営業の女性(66)は「とにかくこの騒動が早く終わってほしい。選挙を何度もして税金の無駄」とあきれた様子で話した。
●阿久根市長選 改革へ決意口々に
朝日 2011年01月10日
●西平候補
「一人でも多くの人と直接会ってコミュニケーションを取りたい」と西平候補。選挙カーで市内をくまなく回りながら街頭演説を行う手法で戦っている。
金色のネクタイと必勝はちまき姿。漁港周辺から住宅が少ない山間部まで選挙カーで一日中走り回った。「37歳、若さを力に阿久根を再生します」と拡声機で呼びかけ、人の姿を見つけると車を降りて握手を求めた。手を振って答える人や、車のライトを点灯させて応援の意思を表す人も多い。しかし、「手応えがあっても気を緩めてはいけない」と表情を引き締めた。
街頭演説は約1時間おきに9カ所で実施。聴衆は各回数十人程度だが、駐車場や支持者の家の軒先などを借りてマイクを握った。
「食のまち阿久根のブランドを確立する」「4年間で職員給与の15%削減」といった公約通り、改革は継続することを強調。「子どもたちが将来、阿久根の名前を恥じるようではいけない。市長一人で物事を決めるのではなく、みんなの知恵を集めて阿久根を変えていこう」と呼びかけると拍手が起こった。
演説を聞いた主婦(63)は「西平さんは若さが魅力。市民みんなの意見を聴く姿勢もあり、改革の意気込みを感じる。頼りになる息子のよう。立候補してくれて本当にありがたい」と話した。
夜は2カ所で個人演説会を開いた。浦公民館では約40人が集まり、中には「よく立ってくれた」とすがるように涙ぐむ人もいた。演説会は毎日数カ所で開く予定だ。(森本浩一郎)
●竹原候補
竹原候補は早朝から郡部を中心に選挙カーを走らせた。コースは本人いわく「行き当たりばったり、風任せ」。
車がやっと1台通れるほどの狭い山道が続く山間部を選挙カーが行く。タスキをかけた竹原候補は時折、車から降りて歩いて回った。握手を求めてくるのは高齢者が中心。何度も手を握られ、笑顔で「頑張ります」と答えた。
ある40代の男性会社員は選挙カーが近づくと、妻とともに家を飛び出した。唇に人さし指を当てるしぐさ。小声でエールを送った。選挙カーを見送った夫婦は「すぐ近所に公務員の人がいるから」と理由を話した。「公約を通させない議会が悪い。市職員も給料に見合った仕事をしていない」と口にした。
選挙カーでの選挙運動ではほとんど政策や主張を口にせず終始笑顔の竹原候補。だが、街頭演説や会合でのあいさつでは一転して厳しい表情、激しい口調で持論を展開する。「議会があって良かったと思っている首長はどこにもいない」。午後、牛之浜漁港であった北さつま漁協の寄り合いではこう主張した。
夕方、県営寺山団地前での街頭演説では「この国全体が公務員に乗っ取られた状態。それを阿久根市は変えるかもしれない。皆さんがもう一度竹原を選ぶならば、竹原は必ずそれをやってしまう」と訴えた。そして「市民が勇気を出してこの試練を乗り越えることができれば阿久根は必ず変わる。そして日本が市民のための国に変わる。一緒にこの国を変えようではありませんか」と締めくくった。
(三輪千尋)
●「対話」と「公務員批判」激突…阿久根市長選
(2011年1月10日11時52分 読売新聞)
●阿久根市長選の焦点は「どこまで市長の独走を許すか」
産経 2011.1.9 19:12
日曜日にもかかわらず、人通りがほとんどない駅前の商店街=9日午後、鹿児島県阿久根市 首長の“独走”はどこまで許容されるのか。新人の西平良将氏(37)と、前市長の竹原信一氏(51)の一騎打ちとなった鹿児島県阿久根市の出直し市長選の焦点は、この一点に集約される。
議会を招集せず職員ボーナス削減などを専決処分によって断行してきた竹原氏。その特異な手法が反発を招き市長失職に追い込まれはしたものの、経済の停滞や所得低迷が著しい地方都市にあって、「官民格差の是正」という旗印が市民から一定の評価を受けていることも否定できない。
対抗馬の西平氏もその点は認めており、「行政改革を進める姿勢をすべて否定はしない」と強調。職員の役職定年制導入や給与カット、議員定数削減などを公約に掲げた上で、「対立だけでは何も生まれない」と“竹原流”の政治手法に批判の的を絞る。
「改革の敵は職員労働組合と、組合に結託した議員だ」と主張する竹原氏は、多くの首長が腐心している「根回し」「説得」「取引」といった議会対策を軽視し、自身が「官民格差」の解消につながると信じる施策を推し進めてきた。
独断専行の結果、市政の混乱を招いた張本人として竹原氏に退場を突きつけるのか。それとも「職員団体と癒着しうまい汁を吸ってきた議員」(竹原氏)に挑んだ改革者として返り咲かせるのか。有権者の判断を注視したい。(松本学)
●期日前投票初日前回上回る438人 阿久根市長選
=2011/01/11付 西日本新聞朝刊=
鹿児島県阿久根市の出直し市長選(16日投開票)の期日前投票が10日、同市役所で始まった。初日の投票者数は、438人。前回市長選(2009年5月)初日の255人を183人上回り、有権者の関心の高さをうかがわせた。
同市長選は新人で養鶏業の西平良将氏(37)と3選を目指す前市長の竹原信一氏(51)が市を二分する激戦を展開。竹原氏の政治手法の是非が最大の争点になっている。
投票を終えた土地家屋調査士の男性(70)は「竹原さんは有言実行。職員給与削減など改革を続けてほしい」。主婦(59)は「対話をして改革する西平さんに期待したい」と話した。
期日前投票は15日まで。竹原氏と元国土交通省職員の新人による一騎打ちだった前回は、全投票者数の21・2%に当たる3490人が期日前投票をし、最終的な投票率は82・59%だった。
●市長選、西平氏がわずかに先行 阿久根市、竹原氏追う
2011/01/10 18:48 【共同通信】
鹿児島県阿久根市の竹原信一前市長(51)に対するリコール成立に伴う出直し市長選で、共同通信社は9、10の両日、電話世論調査を実施し、取材結果を加味して情勢を探った。リコール運動を進めた市民団体の元役員で新人の養鶏業西平良将氏(37)がわずかに先行し、3選を目指す竹原氏が激しく追い上げる展開となっている。
ただ、14・6%は投票する人を「まだ決めていない」と回答しており、16日の投票日に向け、情勢は大きく変化する可能性がある。
市長選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」と回答したのは計93・0%に達しており、有権者の関心は極めて高い。
市長に取り組んでもらいたい課題は「市長と市議会の対立・混乱の解消」を挙げた人が46・3%と最も多かった。
●議場立てこもった阿久根前市議2人、補選で当選
(2011年1月9日22時41分 読売新聞
鹿児島県阿久根市で昨年9月に市議会本会議中に議場に立てこもった市議2人が除名処分となったのを受けて9日告示された阿久根市議補欠選挙は、除名失職した前市議の山田勝(65)、牟田学(52)両氏の届け出しかなく、2人が無投票で当選した。
●鹿児島・阿久根市:市議会解散請求、住民投票は来月20日に
毎日新聞 2011年1月8日
鹿児島県阿久根市の市民団体、阿久根市議会リコール実行委員会(石沢正彰委員長)は7日、市議会解散の直接請求(リコール)を市選挙管理委員会に本請求した。これを受け市選管は住民投票の日程を1月31日告示、2月20日投開票と決定。昨年12月の竹原信一前市長解職の住民投票に続く住民投票となる。
竹原前市長を支持する実行委が提出した9265人分の署名のうち8768人分が有効で、住民投票に必要な有権者の3分の1(6635人)を超えた。住民投票で有効票の過半数が賛成すれば議会は解散、40日以内に出直し市議選となる。
本請求後、会見した石沢委員長は「民意を聞かない議会では絶対ダメだという思いが集約された。必ず解散に追い込みたい」と話した。一方、浜之上大成議長は「ルールにのっとって努力してきたつもりだが、説明が不足していた点もある」と語った。【馬場茂】
●阿久根市選管委員長、就任1カ月で辞任 体調悪化?
朝日 2011年1月9日21時13分
鹿児島県阿久根市選挙管理委員会は8日、臨時委員会を開き、有田勇吉委員長(71)の辞任を承認した。理由は「一身上の都合」という。後任には芝越博美委員(61)を選任した。
有田氏は前任者の辞任に伴い先月7日付で就任したばかりで、在職期間はわずか1カ月間だった。関係者は「精神面や体調の悪化で委員長職が続けられなくなったようだ」と話す。有田氏の前任者は、竹原信一前市長(51)の解職の賛否を問う住民投票の投開票日の翌日(先月6日)付で辞任している。
●阿久根市:市長職務代理者の仙波氏、議会開会中に専決処分 議会側は反発 /鹿児島
毎日新聞 2011年1月5日
阿久根市長職務代理者の仙波敏郎氏は4日、16日投開票の出直し市長選経費を計上した補正予算5件総額約1億5000万円を専決処分した。9月定例市議会は今月21日まで開会中で、開会中の異例の専決に対し議会側は「議会に提案すべきだ。いつでも審議に応じる」と反発している。
総務省は「議会開会中にも専決処分はできるが、議会が審議に応じないなどの場合に限る」との見解を示しており、有効性に議論の余地が残りそうだ。
仙波氏は取材に対し「地方自治法で年4回開くことになっている定例議会を4回開かず、9月議会の会期を延長したのは違法。違法議会に提案できない」と自説を展開。これに対し、浜之上大成議長は「予算などを審議できるよう会期延長した。専決処分は違法行為を重ねたとしか言いようがない」と話した。
補正予算にはほかに議会リコール署名審査経費、生活保護世帯給付金などが計上されている。仙波氏は「臨時議会を招集し提案することも考えたが、時間的余裕がなかった」と話した。また、伊藤祐一郎知事は「阿久根議会は開会中。想定外の事態がまた一つ起きた」と話した。【馬場茂、福岡静哉】
●片山総務相、阿久根市・市長代理の専決処分に「法治国家で論外だ」と無効の考え示す
産経 2011.1.5 12:33
片山善博総務相は5日午前の閣議後の記者会見で、鹿児島県阿久根市の市長職務代理者が議会開会中にもかかわらず、出直し市長選関連費を盛り込んだ補正予算を専決処分したことに関して、「法治国家で法律を守らないのは論外だ」と批判。法的要件を満たさない同市の専決処分は、無効との考えを示した。
地方自治法では、首長は議会招集の時間的余裕がない場合などに専決処分できると規定しているが、阿久根市議会は21日まで開会しており、市議会側は反発している。
片山氏は「議会を開会していて、議案を出さないで専決するというのはあり得ない。何を考えているのか。二元代表制を踏みにじるという議会側の批判が出ているが、それ以前の問題だ」と批判した。
阿久根市は竹原信一前市長へのリコール成立に伴い、市長職務代理者が就任。16日に出直し市長選の投開票が行われる。
●式辞で前市長を称賛 阿久根市成人式で仙波氏 新成人も選挙戦の渦中へ
2011年1月5日 20:45
出直し市長選(9日告示、16日投票)を間近に控えた鹿児島県阿久根市の成人式が5日、市民会館であり、市長職務代理者の仙波敏郎氏が新成人約270人を前に、市長選への立候補を表明している竹原信一前市長を称賛する式辞を述べた。市を二分する戦いに選挙権を得たばかりの若者も巻き込む格好となり、反竹原派は「晴れの場に政争を持ち込んだ」と反発している。
仙波氏は式辞で「成人の義務は投票。投票しない人に政治を語る資格はない」と述べた上で「阿久根が変われば日本が変わる」「失職をいとわず、市民と市職員の給与差が3倍以上という不条理を直そうとした」と竹原氏をたたえる言葉を並べた。竹原氏のスローガン「平成維新」も用い「平成維新の年になると信じている」と訴えた。
これに対し、市PTA連絡協議会長として成人式に出席し、竹原氏の市長解職運動を進めてきた住民団体の川原慎一会長(42)は「晴れの場にふさわしくない話であきれる。大人が二つに分かれている状況を持ち込み、若い人たちに恥ずかしい」と批判した。
新成人の反応は賛否両論。専門学校に通う男性(20)は「竹原さんは市民のために力を尽くしてくれた。仙波さんの言う通り」。歯科助手の女性(19)は「こういう場でなぜ竹原さんの話をするのか。嫌な気持ち」と感じたという。
●阿久根市:保育園民間委託 市の方針に、保護者ら不信感 /鹿児島
毎日新聞 2011年1月8日
阿久根市議会産業厚生常任委員会(木下孝行委員長)は6日、市立みなみ保育園の民間委託計画について、保育園保護者から意見聴取した。「保育園は知育でなく集団生活を通じ豊かな情操を養うところ。事前説明や話し合いもなく、一方的に民間委託する市のやり方に不信感を覚える」などの声が保護者から出た。
市は財政改革の一環で08年から市立2保育園を候補に、民間移譲を模索したが、計画はいったん白紙に。
ところが昨年11月、当時の竹原信一市長が民間委託を指示し、市長失職後の12月20日、専決処分で副市長に選任された仙波敏郎氏が、民間委託方針を保護者会に伝えた。
これに対し、保護者らは「民間委託は人件費削減と、いわゆるヨコミネ方式による保育導入のためで、大きな不安がある」と反発。同27日に「方針を撤回し十分な説明と議論を求める」との陳情書を市と市議会に提出した。
| Trackback ( )
|