昨日(8/24)は、浄山寺(越谷市野島32)の地蔵菩薩立像が公開(ご開帳)され、拝観に行ってきました。
ご開帳日に併せて、山門および本堂には葵の紋の幕が飾られています。
十六菊花紋が浮彫で飾られている厨子の中に納められた像高約1mの地蔵菩薩立像は、彩色された後も残り、胸の筋肉が張った力強さを持ちながらも、袈裟の襞(衣文)も緻密に彫られ、端正な佇まいに見えます。右手には錫杖、左手には宝珠を持っています。
埼玉県の最古の古仏と云えば、数年前には桂木寺(毛呂山町)の木造伝釈迦如来坐像(平安時代10世紀後半)でした。
真言宗智山派密蔵院(上尾市平塚)にある日光・月光菩薩立像は平安時代後期の作といわれていましたが、日光菩薩立像は、カヤ材の一木造りで、平安初期の特徴を受け継いでいるといわれ、制作時期は11世紀ごろに遡りました。月光菩薩立像はヒノキ材の寄せ木造りで、定朝様であり、12世紀の制作とみられています。
そして、野島山浄山寺の木造地蔵菩薩立像は、これまで秘仏として調査されたことがなく、慈覚大師(円仁、794-864)の作と伝えられてきました。ところが、2011年3月11日の東日本大震災で、倒れて両足が損壊したため、修復と鑑定を行った結果、平安時代初期にあたる9世紀に作られた非常に古い像であることが判明したそうです。したがって、この地蔵菩薩立像が埼玉県最古の仏像となります。
現在の埼玉県の古い仏像を古い順に並べてみると下記のようになります。
浄山寺(越谷市野島)の木造地蔵菩薩立像
一木造 彫眼 カヤ材 彩色 像高92.5㎝ 平安時代9世紀。(9世紀初期に遡る見解もあるが要観察)
桂木寺(毛呂山町)の木造伝釈迦如来坐像
一木造 掘眼 カヤ材 像高 75cm 平安時代10世紀後半
密蔵院(上尾市平塚)の日光菩薩
一木造 掘眼 カヤ材 像高106.7cm 平安時代11世紀
密蔵院と同時期のもの、あるいは調査が行われていない古仏もありますが、ここでは省略します。