宮崎県都城市教委は26日、同市山之口町花木の王子山遺跡から、約1万3000年前・縄文時代草創期のネギ属の鱗茎(りんけい、地下茎の一種)とドングリの炭化物、土器についたツルマメの圧痕が見つかったと発表した。 食用植物の遺物としていずれも国内最古で、当時は氷河期が終わって気候が暖かくなってきた時期に当たり、植生の変化に対応した縄文人の生活様式がうかがえる。
山之口小校増改築工事に伴い、2010年11月~11年3月に約280㎡を調査し、縄文草創期~早期(1万1000~7000年前)の集落跡を確認した。火を炊いた跡とみられる炉穴約30カ所の周辺から植物の炭化物が見つかり、これらは、1年をかけて、熊本大学、国立歴史民俗博物館などに分析を依頼していた。
分析の結果、ドングリ53点、ネギ属の鱗茎68点を確認し、放射性炭素年代測定で、約1万3000年前と判明した。 土器の圧痕も、大豆の原種とされるツルマメの跡と確認された。 遺跡からは石皿や摺り石のような加工具が大量に見つかっており、野草や豆類を擂りつぶしていたと考えられるという。
ドングリは鹿児島県・東黒土田遺跡で出土したものが最古だったが、ほぼ同じ年代。 ネギ属の鱗茎は宮崎県・別府原遺跡(びゅうばるいせき)、ツルマメは長野県・山の神遺跡の土器の圧痕がいずれも縄文早期で最古だったが、これを大幅に遡る。
[参考:読売新聞、NHKテレビ、UMKテレビ宮崎共同通信、時事通信、毎日新聞]
最古の食用植物を発見=縄文のネギ、マメも―宮崎(時事通信) - goo ニュース
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2011.3.6 都城に縄文草創期の集落、竪穴式住居跡など出土
都城市教育委員会は、王子山遺跡から、縄文時代草創期(約1万2000年前)と、縄文時代早期(約9000~7500年前)とみられる竪穴住居跡や土器が見つかったと発表した。 県内で縄文時代草創期の集落跡が確認されたのは、上猪ノ原遺跡(かみいのはるいせき、宮崎市清武町)に続いて2例目。
草創期の集落跡からは、長径2・2m、短径1・5mの竪穴住居跡が確認され、土器の破片や、黒曜石が見つかった。
近くには火を起こして調理したとみられる配石炉(はいせきろ)があり、中央部には何かを焼いた後の炭化物もあった。
穴の中に焼いた石を入れ、葉でくるんだ肉を蒸し焼きにする集石遺構の跡もあった。
氷河期が終わり、暖かくなった1万2000~1万年前頃、日本列島南部の海岸沿いから人が定住するようになったとされている。
3月中旬まで調査され、校舎を建てるため、埋め戻されるという。 [参考:2011.3.6読売新聞]