長野県埋蔵文化財センターは23日、2006年度から3年にわたって発掘調査した柳沢遺跡の報告書をまとめ公表した。
出土した弥生時代の青銅製祭器の銅戈 8点(長さ約 22~36cm)と銅鐸(釣り鐘形、高さ約21~22cm) 5点が、同じ「埋納坑」(縦約26cm、横約66cm)に埋められていた可能性が高いとする。 また、複数の集団が、同遺跡周辺だけでなく、長野市付近からも埋納坑に青銅を持ち込んだ可能性を指摘している。 銅鐸をまとめて埋める際、大きさをそろえる西日本と同じ傾向が、柳沢遺跡でも見られるという。
少なくとも長野県までは、西日本と同様に稲作や農耕祭事が行われていた可能性が高まったとしている。
また、同センターは、青銅製祭器13点全ての金属成分を調べたところ、「近畿型」の銅戈と「九州型」の銅戈とでは、スズの割合が異なることが新たに分かった。 スズは、近畿型の7本など11~15%と割合が高いグループと、九州型の1本など5%以下の低いグループに分かれた。 他の遺跡でも金属成分の分析が進めば、青銅器がどこから来たのかが分かってくるかもしれないとしている。
出土品の一部は、伊那市の伊那文化会館(7月28日~8月19日)で展示される。
[参考:信濃毎日新聞、読売新聞]
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