13日朝刊・各新聞(ウェブサイト)が、私学助成について取り上げていた。
文部科学省は12日、定員割れの学部・学科がある私立大・短大に対する経常費補助金を本来の額から削減する減額率を、本年度から強化することを決めた。
定員充足率が50%以下の場合は現行と同様、補助金交付の対象外とする。
これは助成額の削減を求めた政府の「骨太の方針2006」に沿った措置。
記事について高校の進路指導担当教師として考えた。
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定員充足率が50%超で59%以下の学部・学科に対する減額率は以下の通り。
平成18年度まではマイナス15%
平成19年度はマイナス18%
平成20年度はマイナス23%
平成23年度にはマイナス45%~50%まで強化する方針とあった。削減率50%とした記事もあった。
平成20年に入学した大学の学部学科の定員充足率が、60%未満の場合は、本来もらえる補助金が23%カットになる。仮に〇〇大学□□学部の定員が100人として、新入生が60人以下だと、本来もらえる補助金のおおよそ四分の一カットである。平成20年度から4年間で45%まで削減すると、同じ状況が続く場合、平成21年度は30%か31%、次が38%程度のカットになり、今年の4月に入学する学生が卒業の時に、45%になる。50%だと、削減の比率はもっときびしくなる。さらに、平成18年度までマイナス12%だった定員充足率59%~68%の学部・学科に対する助成についても、本年度はマイナス15%。今後さらに減額率を上げることになったようだ。
仮に学生数が定員の50%だとしても、募集を止めないかぎり(学生がいる限り)、一定数の講義と担当の先生は必要である。従って、学生からの納付金も減り、補助金も減れば大学の経営はきびしくなる。
もちろんこれらの私学助成のカットは、定員の充足状況が改善しない場合を前提にしている。学生の未充足状態が改善されれば削減はされない。ただ、現在のように特定の大学への受験生の集中傾向があり、大学の新規開設(大学入学定員の増加)が継続される状況では、学生の取り合いが起こり、定員未充足の大学はなくならない。1、2年定員未充足になった大学の学部学科が、定員を満たすことは至難の業であることは、高校の進路指導部の職員ならば予想ができる。
文部科学省は、公式には「定員規模を適正化し、経営改善に取り組んでほしい」ようだが、定員規模の適正化の方法は二つしかない。一つは言うまでもないことだが、定員まで学生が集まればいい。だが、これは繰り返しになるが、至難の業である。もう一つは定員減員を行うことだ。しかし、ただでさえ学生が集まらない大学・短大の学部学科が募集定員を減らしても、よくて現状の学生数にあうだけ、悪ければそれでも学生が集まらない。仮に減員した学部が定員一杯になっても、学生からの納入金(収入)は減るのだから、経営が好転するわけではない。
平成19年度入学者数で見ると、定員充足率が50%~68%で、今回の減額率強化の対象となる大学・短大などは計196校あり、1校当たり平均224万円減額されることになるということだ。文部科学省としては、徐々に補助金をカットし、学生募集の難しい学校には、「おだやかに」店じまい(募集停止、在校生の卒業をめどに廃校)を考えてもらう。そんなところではないか。