保証人保護の方策の拡充として,「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約」又は「主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約」において,保証人となる者が個人である場合に,その契約の締結に先立ち,保証人となる者が「その締結の日前1か月以内に作成された公正証書」で「保証債務を履行する意思」を表示していなければ,保証契約はその効力を生じないものとされた(改正後民法第465条の6第1項)。
ところで,改正附則第21条第2項の規定によれば,施行日前においても,新法の規定による公正証書の作成を公証人に嘱託することができる。
ただし,施行期日に関する附則第1条ただし書第3号によると,附則第21条第2項及び第3項の規定は,同号の政令で定める日から施行されるとのことである。
改正附則
(保証債務に関する経過措置)
第21条 施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による。
2 保証人になろうとする者は、施行日前においても、新法第465条の6第1項(新法第465条の8第1項において準用する場合を含む。)の公正証書の作成を嘱託することができる。
3 公証人は、前項の規定による公正証書の作成の嘱託があった場合には、施行日前においても、新法第465条の6第2項及び第465条の7(これらの規定を新法第465条の8第1項において準用する場合を含む。)の規定の例により、その作成をすることができる。
改正附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三十七条の規定 公布の日
二 附則第三十三条第三項の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
三 附則第二十一条第二項及び第三項の規定 公布の日から起算して二年九月を超えない範囲内において政令で定める日
改正後民法
(公正証書の作成と保証の効力)
第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
四 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。
ところで,改正附則第21条第2項の規定によれば,施行日前においても,新法の規定による公正証書の作成を公証人に嘱託することができる。
ただし,施行期日に関する附則第1条ただし書第3号によると,附則第21条第2項及び第3項の規定は,同号の政令で定める日から施行されるとのことである。
改正附則
(保証債務に関する経過措置)
第21条 施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による。
2 保証人になろうとする者は、施行日前においても、新法第465条の6第1項(新法第465条の8第1項において準用する場合を含む。)の公正証書の作成を嘱託することができる。
3 公証人は、前項の規定による公正証書の作成の嘱託があった場合には、施行日前においても、新法第465条の6第2項及び第465条の7(これらの規定を新法第465条の8第1項において準用する場合を含む。)の規定の例により、その作成をすることができる。
改正附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三十七条の規定 公布の日
二 附則第三十三条第三項の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
三 附則第二十一条第二項及び第三項の規定 公布の日から起算して二年九月を超えない範囲内において政令で定める日
改正後民法
(公正証書の作成と保証の効力)
第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
四 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。