司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

商業登記の機能と規制改革

2017-11-21 09:11:05 | 会社法(改正商法等)
 商業登記法は,商法(明治32年法律第48号),会社法(平成17年法律第86号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより,商号,会社等に係る信用の維持を図り,かつ,取引の安全と円滑に資することを目的としている(同法第1条)。

 この商業登記の公示的機能を維持するため,様々な真正担保の方策が用意されている。

(1)登記の申請書に押印すべき者は,あらかじめ,その印鑑を登記所に提出しなければならない(商業登記法第20条第1項)。
(2)登記の事由を証するため,添付書面を要求(商業登記法第24条第8号)
(3)無効又は取消しの原因があるときは申請を却下(商業登記法第24条第10号)
(4)登記懈怠に対する過料(会社法第976条第1号)
(5)登記官による本人確認(商業登記法第23条の2,準則第47条)
(6)不正登記防止申出制度(準則第49条)
(7)本人確認証明書(商業登記規則第61条第7項)
(8)取締役の辞任届と印鑑証明書(同規則第61条第8項)
(9)株主リスト(同規則第61条第2項,第3項)


 「登記制度の改正の歴史は,まさに不正な登記との闘いの歴史である」と巷間言われるところであり,商業登記法第1条が掲げる目的のために,登記実務に携わる様々の関係者の不断の努力によって,真正担保が図られているのである。安易なオンライン&ワンストップの議論は,これらの真正担保の部分を度外視しており,商業登記の公示的機能を大きく揺らがせるものである。

 規制改革関係の各会議においても,「商業登記制度の在り方」に関する適切な議論がされることを望みたい。

cf. 平成26年10月29日付け「商業・法人登記における真実性の確保(再掲)」

平成16年11月1日付け「登記事務の民間開放」
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